ここのところ恒例となりつつある年頭の『ラグナロクオンライン』の運営チームインタビューですが、今年もしっかりとお届けしていきます! 2018年を振り返りつつ、2019年に予定されている施策やアップデートなどについてお聞きしてきましたので、ぜひご一読いただければと思います。


 相変わらず長めのインタビューとなりますが、この「週刊ROチャレンジ!」は、筆者自身が管理しているブログということもあり、通常のゲームサイトの記事では省くような細かい会話のやり取りも記載するようにしています。その分、若干流れが悪かったり、重複する部分も出てくると思います。しかし、実質的に文字制限のないメディアであるネット上において、せっかくうかがうことができたお話をカットしてしまうことはないと考えています。短くまとめて読みやすさを優先するのは他のメディアさんにお任せして、当サイトではできるだけインタビュー時のやりとりを掲載することで、読んだ方それぞれがその方自身に必要な情報を受け取っていただければと思います。


 まぁ本来は、短く、わかりやすく、かつ、必要な情報を掲載するのがライターの腕の見せどころなのでしょうけれど……(苦笑)。


 ということで今回ご対応いただいたのはガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社の『RO』運営チームの中村聡伸氏と山本兼寛氏のおふたり。なお、インタビュー内容は予定のものも含みますので、実装タイミングや実装内容は変化することがあります。ご了承いただければと思います。



■話題となった「新種族 ドラム」や、調整の難しかった「ティアマト攻城戦」など、2018年を振り返る


――2019年のお話をうかがう前に、まずは2018年を振り返っていかがでしたか?


★中村聡伸氏(以下、中村氏):

 昨年の一番大きなアップデートというと、やはり「新種族ドラム」だったと思います。初心者向けということで、冒険の指針にもなる「ドラム育成サポートプログラム」なども実装しておりまして、かなりご好評いただきました。初心者向けとは言いつつも、3次職のキャラクターと一緒に遊んでも遜色のない強さになっていて、一方で、「ドラム育成サポートプログラム」をクリアすることで必要な装備なども手に入るため、『RO』を久々に遊ぶ方でも“復帰”しやすい職業になっています。


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▲『RO』運営チーム、中村聡伸氏。

――有料ですが、「ドラムスターターパック」の販売も大きいと思います。リベリオン実装のときと違い、期間限定というわけではないのが驚きでした。


★中村氏:

 今回の「ドラムスターターパック」の販売に関しては、リベリオン実装のときの経験を活かして、という感じですね。(ああいったスターターパックがあると)例えば初心者さんが1年中いつ『RO』を始めても、ドラムを遊ぶ際に購入していただくことによってよりズムーズに楽しめるようになるかなと。


――「ドラム始めるなら買っときな」という声もあるくらいですからね(笑)。


★中村氏:

 また、このインタビューが掲載される頃にはすでに発表になっていると思いますが、2019年には3次職用のスターターパックの販売も順次予定されていて、こちらは毎月1職業ごとに販売予定です。おまけの「転生チケット」がついていまして、転生までの行程をスキップする感じで、いきなり転生後のキャラを作成できるようになっています。同時に転生後のキャラクターの育成をサポートするクエスト()なども実装されます。

「3次職マスタープログラム」のこと。詳しくはこちらを参照してください。


――それは2018年にイベントで配布された「ブースターチケット」みたいな感じで、特定のNPCに話しかけるとレベルアップが始まるって感じですか。


★中村氏:

 そうですね。今後は初心者の方であっても、3次職をより身近に感じていただければと考えています。ちなみに、第1弾は修羅のスターターパックを予定しています()。

修羅スターターパックはすでに販売中。詳しくはこちらを参照してください。


 おっと、2018年の話でしたね。昨年もうひとつの大きなアップデートはYggdrasillワールドですね。そしてそれに関連した「攻城戦YE」(攻城戦 Yggdrasill Edition)と「ワールド倉庫」。まず、「攻城戦YE」に関してはイベントとして4回ほど開催させていただきました。毎回アンケートを実施させていただき、ユーザーさんのご意見を反映させるかたちで、回を追うごとにブラッシュアップされていき、だいぶいい状態になってきたのではないかと考えています。


※Yggdrasill(イグドラシル)ワールド
:発表当初は「ロビーワールド」と呼ばれていたワールド。全ワールドから人が集まって、攻城戦YE(攻城戦 Yggdrasill Edition)を行ったり、イベントを行ったりするワールドになる予定。メインの活動ワールドとして設定したワールドで育成したキャラクターの情報を“アイテム化”し、「ワールド倉庫」を通じて移動、擬似的にキャラクターを複製して活動可能にする予定とのこと。

★山本兼寛氏(以下、山本氏):

 「攻城戦YE」に関しては、最初は申し訳ないことにボロボロだったんですが、第4回ではだいぶよくなってきていて、現在は定期の実装に向けて動いているところです。詳しい話はあとでまとめてお話させていただく予定です。


★中村氏:

 また、「ワールド倉庫」に関しましても、導入直後にユーザーさんにご迷惑をおかけする事態がいろいろ発生しまして、申し訳ありませんでした。そういった事態の発生要因としては、簡単にまとめると、主にサーバーへの負荷だったんですね。ある程度の負荷はもちろん想定していたのですが、想定以上の負荷がかかってしまい、このままではマズイだろうということで、対策を取らせていただくことになりました。具体的には、「プレイ層の集中」と「露店の集中」を分けるため、露店専用ワールドの「Noatun」を実装しました。


 また、「ワールド倉庫」は2018年の年内には装備やカード以外のアイテムに関しても流通を解禁する予定とお話ししていましたが、若干遅れているのが現状です。とはいえ、確認が取れ次第、徐々に流通可能アイテムを増やしていく予定です。


※ワールド倉庫:同じアカウント内の全ワールド共有の倉庫。ワールド倉庫の実装によって、各ワールド間でのアイテム移動が可能になりました。

――使用可能アイテムや収集品などに関しても、近いうちに解禁になると。


★山本氏:

 はい。ただ、そういったアイテムの中には、そもそも全ワールドで流通することを想定せずに実装しているものも多いんですね。たとえばみなさん、クエストで「ロックリッジコイン」などを入手していますよね。あれって、「1ワールドで複数のキャラクターを使って集めるとこのくらい生産されるから……」という想定を元に最大入手数が決定されているんですよ。これが、全ワールドから入手できてしまうと、極端な話、13ワールドで13キャラを使って集めた「ロックジッリコイン」を1ワールドに集中して使用するということも可能になるわけです。そういった事態が起こっても問題はないのかと……。多くのアイテムに関して、それらをすべてチェックし、検証していかなくてはならないため、ちょっとお時間をいただいている感じです。


★中村氏:

 そういった全ワールドへの対策として、昨年のイベントなどでは、アカウント用のフラグを使うことで、1アカウントにつき全ワールドで1キャラクターのみがイベントに参加できるという仕組みを導入させていただいています。


 今までのイベントは、所持キャラクターすべてで順番にログインしてイベントを回すというのが定番になっていましたが、今の時代の遊び方には合っていないように感じていたんですね。そこも含めて解消するかたちになっています。そのぶん、イベントの1回の報酬も多めにしていますので、ユーザーさんに手間を取らせないようになっているのではと。ただ、すべてのイベントでそういった仕組みが使えるわけではないので、これまでどおり、複数キャラで回すイベントなどもあるかと思います。


★山本氏:

 この仕組みのイベントに関しては、だいたいにおいて、報酬の総量だけ見れば、以前13キャラ全部で回していたときに比べると若干減少しています。もちろん13キャラ回すと手間や時間はかかるのですが、そういった部分を比べてみて、ユーザーさんがどうお感じになるのか、不安だったところもありました。


――手間がかかっても報酬が多いほうがいいという意見が多数出てくるかもしれないと?


★山本氏:

 はい。ただ、これまで反応を見させていただいた感じでは「1キャラですむならそれはそれでいいかな」と、だいたい肯定的な意見が多くなっているかなという感じでホッとしています。


★中村氏:

 その他、昨年は「イリュージョンダンジョン」のシリーズを実装させていただきました。こちらも多くの方に遊んでいただいておりまして、BaseLv170以上のキャラの3割以上がイリュージョンダンジョンで遊ばれているという結果も出ています。ダンジョンによっては5割を超えるところもあるんですよ。


 あとは、「深淵の回廊」を再び実施させていただきまして、新たに「ティアマト攻城戦」が追加され、かなり人気を博したコンテンツになりました。


※「ティアマト攻城戦」:「深淵の回廊」イベントのラスボスとも言える敵キャラ「ジラント」が潜む「王城ティアマト」に、プレイヤーキャラクター全員で攻め込むというシチュエーションのPvEイベント。基本的にはメモリアルダンジョン「深淵の古城」をベースにしているものの、さまざまな仕掛けの施された広大なマップに多数の強力な敵が配置されており、完全攻略は至難。報酬経験値がかなり美味しかったことと、完全攻略することにより、報酬の「浮遊するジオイア[0]」に「アルカナ」のエンチャントを付与できるアイテムがもらえたため、ワールド内のプレイヤーがこぞって参加する人気イベントになりました。


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▲2018年の「深淵の回廊」イベント時に開催されたティアマト攻城戦の様子。


――「ティアマト攻城戦」に関しては、予想以上の拡張コンテンツがきたなーと驚きました。人気がありすぎて、Breidablikワールドなどでは、人の集中のせいで重くなってしまい、うまく戦えないという意見もあったりなかったり……。


★中村氏:

 定員を設けてほしいというご意見もいただいたりしました。が、難しいところなんですよね。定員を設けた「モンスター大襲撃」()がどのようになったか、熱心にプレイされていた方はご存知かと思いますが……。


2018年アニバーサリーイベントの中のアトラクションのひとつ。「侵攻されたプロンテラ」とほぼ同様のマップ内で、制限時間内に全4ウェーブのモンスターの襲撃を撃退するというもの。

――ああ、参加するために開始時間と同時に乗り込まなくてはいけなかったり、反面、参加申請だけして戦わずにお座りするというのが一部問題になっていましたね。そのせいで戦力が集まらずに完全クリアできないという開催回もあったりと……。


★中村氏:

 Breidablikワールドなどでは、参加枠がすべて埋まってしまい、イベントそのものに参加できないという事態も起こっていまして、急遽参加エリアを増設したりもしました。


 「ティアマト攻城戦」などに関しては「参加人数に応じて出現するモンスターの強さや数を増減してほしい」というご意見もいただいているのですが、これもまた難しいんですよ。『RO』の良さのひとつに、キャラクターの育て方の自由度が高いというのがありますよね。なので、たとえば、参加枠1に対して、モンスター数を1増やしていいのかというと、必ずしもそうではないんです。支援キャラが100体増えた回にモンスターを100体追加投入しても倒せないかもしれないんです。


――ああ、単純に、キャラクター1が戦力1で計算できないということですね。


★中村氏:

 そうなんですよ。人数に応じてモンスターの数を増やしましょうというのは非常に危険だと思うんです。その逆も同様で、人数制限のあるイベントというのも同じことが言えるんです。「モンスター大襲撃」に関しては、比較的、難度低めで設定してありまして、“戦える人”がそれなりにいれば、時間はかかるかもしれないけれどクリアできる想定になっていました。ただ、「ティアマト攻城戦」はわりとガチで作ってあったので……。いろいろご意見をいただく中で、最も調整が難しいところではあります。ある程度はイベントを開催しながら、その状況を見て随時調整していくという形式で対応させていただければと考えているんです。現に、「ティアマト攻城戦」に関しては定期メンテを待たずに調整メンテなども行わせていただきました。


――確かに、難度調整の結果、人気もアップしていきましたね。


■新スタッフの募集が行われましたが、中村さんも山本さんもご健在です(笑)!


★中村氏:

 プロモーションの面では、Twitterを使ったリツイートキャンペーンなど、ご参加いただける人数がかなり増加してきています。ポ三郎のフォロワー数、2018年の始めは7,000ちょいだったのが、年末には14,000になっていまして。


――倍増ですね。


★中村氏:

 ほかのゲームさんに比べますとまだまだ少ないんですが、『RO』のユーザーさんもだんだんTwitterのほうを気にしていただけるようになってきたのかなという印象です。


――これまでTwitterキャンペーンなどがあまりなかったので、そもそもTwitterのアカウントを持っていなかったという方が、最近のキャンペーンに影響されて新たにアカウントを取得するという光景もありますよね。


★中村氏:

 ありがたいですね。『RO』関係のつぶやきや、キャンペーンや情報のリツイートを行ってくれる方も増加しています。


――ポ三郎は「今日は○○が実装された日なんだってー」という小ネタなども発信していて、それがつぶやきのネタになったりもしていますよね。


★中村氏:

 はい、ちょいちょいネタをぶっ込んだりしています(笑)。懐かしいネタなどに反応していただける方も多いんですよね。「えっ、○○実装からもう10年経ったの!?」とか。また、そういった情報発信の変化もあったりしたので、公式ブログのほうは週1の更新にさせていただく感じになりました。


――そういえば、直前にスタッフ募集のお知らせがあったせいで「中村さんいなくなるの?」って噂が……(笑)。「今回のインタビューは誰が出てくるんだろう」とまで言われていたのはちょっと苦笑してしまいました。


★中村氏:

 あれは本当にタイミングが悪かっただけなんですよ。ご覧の通り私も山本も健在です(笑)。


 それはさておき、2018年は、久々に「アイテムデザインコンテスト2018」を開催したり、年末に行われた「イラストコンテスト」ではNPCとしてユーザーさんの描かれたキャラを実装するという企画も行っています。アニバーサリー企画の一環としてオーケストラコンサートで演奏される曲の投票なども行わせていただきました。もうすぐ結果を発表できると思いますが、予想外の結果になっているかもしれません。ご期待いただければと。


 また、同じく年末には、前回ご好評をいただきました「ラグナロクオンラインLINEスタンプ 第2弾」を発売させていただきました。今回もヤバげなネタ含めて話題になりそうなスタンプを作らせていただいています。前回は「ポリン」を入れ忘れるという痛恨のミス(?)がありまして、あとになってツッコまれて「しまった!」と頭を抱えたんですが、今回はちゃんと入っています(笑)。


――言われてみれば前回は「ポリン」がいませんでしたね!


■2019年はロビーワールドこと「Yggdrasillワールド」を中心とした施策が盛りだくさん! まずは「攻城戦YE」が毎月開催に……!


★中村氏:

 という感じで2018年いろいろやってきて、2019年で一番力を入れる要素は何かというと、やはりYggdrasillワールド関連ではないかなと。もちろん、アップデートなどはこれまで以上に行っていくわけですが、Yggdrasillワールド絡みの企画を中心に進めていきたいなと考えています。


★山本氏:

 本当はもうちょっと早く展開させていきたかったのですが、調整などに時間がかかってしまい、2019年、ようやくYggdrasillワールドが本格的に始動ということになります。


 Yggdrasillワールドではまず「攻城戦」を移行しようということで、さきほども話が出たようにイベントとして「攻城戦YE」を行ってきました。これまでの開催でだいぶ安定して遊べるようになってきていまして、正式実装前の最終調整を兼ねたイベントとして、2月ごろからはしばらくの間、毎月開催させていただく予定です。


 なぜ毎月開催かと言いますと、既存の攻城戦では戦う相手が少なくなってしまったという声が増加してきているというのが1点。もう1点は、当初「攻城戦YE」の参加に抵抗感があったという方が徐々に減ってきて、むしろ早く移行してほしいという声が多くなってきたというのがあります。


 毎月の開催ということで、これまでのように(開催ごとに)大きくルールを変更したりすることは難しいかもしれませんが、できるだけ早く開催できるよう、作業を進めています。今回の変更点は、「ワールド倉庫」を通じて、装備を持ち込めるようになることです。また、自分のワールドで育てたキャラクターのレベル(BaseLv/JobLv)もYggdrasillワールドのキャラに反映させられるようになります。

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▲『RO』運営チーム、山本兼寛氏。

――以前から予定されていたように、いよいよキャラクターのレベルもアイテム化して移動できるようになるんですね。


★山本氏:

 はい。元のキャラクターのデータをアイテム化することになるので、たとえば、Yggdrasillワールドで作ったキャラクターを消したとしても、何度でもデータを反映させて作り直すことが可能になる予定です。もちろん、装備は元のワールドからワールド倉庫を通じて持ち込み可能になるので、同じステータス、同じスキルにすることで、ほぼ同様のキャラクターが出来上がるはずです。


 ただ、攻城戦で使用する消耗品に関しては、初回開催分に関してはこれまでどおり貸し出しルールを採用しています。こちらは開催後に再びアンケートを実施し、持ち込みにするのか貸し出しのまま継続するのかご意見をいただければと思います。


 ということで、今回の「攻城戦YE」のポイントは、自分の装備とキャラを持ち込むことによって、現状の「攻城戦YE」のダメージ補正が適切かどうかというところを確認したいと思います。これはユーザーさんが最も気にされている点でもあるかな、と。


 それと……今回、敢えて「緊急招集」を使えるようにします


――おっ、そうなんですか!?


★山本氏:

 Yggdrasillワールドを3つ設置してからは、実際の「攻城戦YE」時に「緊急招集」を使えるようにした状態でのユーザーさんの動向を見られていないので、まずはいったん「緊急招集」を復活させつつ、負荷対策を極限まで行った状態で開催してみようと。ただし、我々の想定だと、結構重くなるのではないかと考えています。ですので、この状態でプレイしてもらって、「緊急招集」があったほうがいいかどうかを検討していただければと考えているんですね。


――なるほど。重さと「緊急招集」、どちらを取るかの判断というか……。


★山本氏:

 ええ、「緊急招集」を残すかどうか、これで判断してみてほしいという感じですね。これでもし戦いができないくらい重いという事態が発生したり、以前のフラッグ復帰ルールのほうがいいという意見が多かったりしたら、そちらのルールを採用していく感じになると思います。とはいえ、以前のテストでは「緊急招集」があったほうがいいという意見も多かったので、もし重さが許容できる範囲なら「緊急招集」を残したルールにするのもアリかなと。


――なるほど。「緊急招集」が使えるのと使えないのとでは戦略が大きく変わってきますから、重要なところですね。


★山本氏:

 それと、マッチングに関しても少々手を入れる予定です。マッチング自体はこれまでと同様に行っていく予定ですが、これまでは主に人数差などを見てマッチングを行っていたんですね。そのまま続けていくと、毎回同じようなギルドと対戦することになってしまうと思うんですよ。


――ああ、人数はそうそう変わりませんから、長い目で見るとそうなりますね。


★山本氏:

 でも強さの要素というのは人数だけではありませんよね。そこで、内部的にパラメータを持てるようにしていまして、ギルドごとに攻城戦における勝敗によってレーティング分けができるようにしました。このレーティングに応じて次の対戦相手をマッチングするようになります。


――それはあくまでも内部パラメータで、レーティングや強さの数値がどこかに表示されるというわけではないんですか?


★山本氏:

 内部的なものですが、見えるようにするかは検討中です。この仕組みによって、たとえば、50人オーバーのギルドが負け続けたりすると、次の回には、勝ち続けている30数人のギルドとマッチングするという展開も起こりえます。


――なるほど。データが蓄積されていくと、いい勝負ができそうなギルド同士がマッチングするようになるんですね。


★山本氏:

 一方で、主に小規模戦の参加者に多いのですが、マッチングそのものを敬遠する方もいらっしゃいます。また、複数の砦を確保したいという意見もあります。そういった方々への対応策として、従来の攻城戦に近い方式の戦いも実施したいと思っています。


――マッチングをせずに、これまでの攻城戦に近い感じの「攻城戦YE」ですか?


★山本氏:

 「攻城戦(First Edition)」の20砦を取り合うかたちですね。「攻城戦SE(SecondEdition)」の砦は使わない予定です。ただ、これだけだと、いわゆる大手と呼ばれるギルドが“降りて”きて、複数の砦を占拠することも考えられます。ですので、マッチングを使って対戦する大規模戦で勝利したほうが、小規模の砦を複数占拠するよりも美味しいという感じに報酬差をつける予定です。まあ大手ギルドが報酬度外視で小規模戦に降りてきて、複数の砦を占拠するということも可能は可能です。


――お話からすると、マッチングを行わないのは、いわゆる小規模戦用のサーバーのみということですか?


★山本氏:

 はい、現状の予定ではそのつもりです。小規模戦は、マッチングを使って戦わない、またはマッチングを使って戦いたくないギルドの方々が遊ぶ場所、一方でマッチング戦は大人数をそろえて実力のある人たちが集うランカー戦みたいなイメージでしょうか。そのふたつのルールを並行して運用していくことで新たな「攻城戦YE」にしたいと考えています。マッチングを主体としたスポーツのような攻城戦とフリーの攻城戦になります。


――なるほど。ところで今回の「攻城戦YE」ではドラムは参戦できる予定ですか?


★山本氏:

 あっ、今回からドラムも参戦できます! 実はもともと「攻城戦YE」の企画がスタートした際はドラムが実装されていなくて、レンタル装備など、テスト用の設定を改めてイチから作らなければならず、(開発側の)準備の手間を考えると途中からの参戦が難しかったんですよ。今回は装備も持ち込み可能となりますので、そういった準備が必要ないですからね。


――ちょうどドラムが攻城戦で猛威を振るっていますのでユーザーとしても気になるところだと思いまして……。


★山本氏:

 ドラムに関してはもうひとつ。いまのところ、「攻城戦YE」では「うずくまる」を禁止スキルに設定しようと考えています。


――おおっ!?


★山本氏:

 「攻城戦YE」のダメージ補正って、全員うずくまる状態みたいな感じなんですよ。そこでさらに「うずくまる」が使えてしまうと、ほとんどダメージを受けなくなってしまいますから。ということで、いったん「うずくまる」は使えない状態でテストしてみようと。


――なるほど。次回の「攻城戦YE」では、「緊急招集」解禁と「うずくまる」制限は注目ポイントかもしれませんね。


★山本氏:

 なお、テスト段階では「攻城戦YE」は月1回の開催ですが、正式実装になったら週1の開催を予定しています。そうなった場合、通常の攻城戦を廃止するのかどうか、検討しているとお答えしていたと思うんですが、現状でもまだ「検討中」という感じです。が、“だいぶ廃止に近い検討中”だと思ってください。


 というのも、現行の攻城戦は戦いを楽しむというよりも、砦を占拠して資産を増やすという方向に比重が移ってしまってきていると思うんです。もともとはそういう遊び方を提供していたつもりではなかったんですね。運営側としては、どちらかというと戦闘を楽しんで欲しいなぁと思っているんです。また、「攻城戦YE」用の装備の移動が面倒だから複数用意しなければ……ということにもなりかねませんし、ギルド内でもどちらを遊ぶのか、意見も分かれる事態になると思うんです。


 ということで、現状では通常の攻城戦を廃止して、「攻城戦YE」への完全移行を検討している感じです。今回、「緊急招集」を復活させるのも、通常の攻城戦の雰囲気をそのまま移行したいという想いもあるからなんですよ。逆に今回「攻城戦YE」で「緊急招集」が使用不可になったら、「やっぱり通常の攻城戦を残したほうがいいかも?」という意見に傾くかもしれません。まだちょっと揺れているところなんですよね……。


――なるほど。となると、今回の「緊急招集」のテストはさらに重要に思えますね……。


★山本氏:

 攻城戦といえばもうひとつ。「攻城戦TE」がありますが、こちらはYggdrasillワールドに完全移行を考えています。これは「攻城戦YE」の月1回開催をしている間のどこかのタイミングで移行する予定でいます。既存のルールはそのままで、報酬のみ調整する予定となります。


――「攻城戦TE」も参加人数が少ないという問題が顕著になっていますよね。


★山本氏:

 現在は参加希望者がOlrunワールドに集まって対戦しているという感じになってしまっているんですよね。それならYggdrasillに集まってもらっていいんじゃないかなと……。


――ですよね(笑)。


★山本氏:

 それと、攻城戦関連では毎回アンケートを設置してきましたが、今回からもう少し具体的なご意見がいつでも書けるように、常設のWEBヘルプデスクでの受付にしようと考えています。


――「攻城戦YE」に関して、アルケミスト系の作成した「ホワイトスリムポーション」を持ち込めるかどうかという問題に関してはまだ検討中という感じでしょうか。


★山本氏:

 そうですね。今のところはまだ決定していません。案としては、「ホワイトスリムポーション」以外にも攻城戦にしか使わないような消耗品に関して、そういったものを一定数集めてくると、「攻城戦YE」などで使える“ポイント”に変換してくれて、その“ポイント”を消費して自動補充が受けられるとか。“ポイント”自体はZenyでも購入できるようにしておけばいいのかなとも思ったり。その仕組みを作ろうと思ったら、どのアイテムで何ポイントもらえるのか、調整していかなくてはいけないので、バランスチェックに時間を要しそうなんです。ですので、最初は消耗品はレンタルという形式にさせていただいく予定です。


 ただ、以前もチラッとお話ししましたが、「ホワイトスリムポーション」に関してはランカーアルケミストの銘柄かどうかはシステム的に判別をつけるのが難しいんです。ランカーのものもそうでないものも単なる「ホワイトスリムポーション」として扱わざるをえないと思われます。「攻城戦YE」ではそんな感じになってしまうのですが、逆に(各ワールド内において)「ホワイトスリムポーション」を使う必要のある場所や狩場、そういったものを考えていく必要があるとは思っています。


■なんと「ティアマト攻城戦」がYggdrasillワールドで毎週開催に!? 「モンスターハウス」も移行予定!


★山本氏:

 ここまではPvP関連のお話をしてきましたが、YggdrasillワールドはPvPだけのワールドではありません。ここからはPvEイベントの話題もお伝えしていこうと思います。まずは「モンスターハウス」のYggdrasillワールド移行を考えています。また、さきほども話題に出ましたが「ティアマト攻城戦」に関しても、Yggdrasillワールドで定期開催をしていきたいと考えています。


――「ティアマト攻城戦」ですか!


★山本氏:

 「ティアマト攻城戦」は「深淵の回廊」の1コンテンツという形式でお披露目させていただいたのですが、今後はYggdrasillワールドにおいて、毎週○曜日に開催という感じの定期イベントになります。もちろんそのまま移行するわけではなく、多少の調整は必要になってきますが、前回開催では「浮遊するジオイア[0]」が目玉アイテムだったように、一定スパンで報酬の目玉アイテムを変更したり追加したりといった要素も入ってくると思います。


 という感じで、Yggdrasillワールドにいろいろ実装されていくことを考えると、今日は「ティアマト攻城戦」、今日は「モンスターハウス」、今日は「攻城戦TE」、今日は「攻城戦YE」……と、週の大半がイベントで埋まる感じになってきます。


――週1開催だとしても、すでに4日埋まっていますね(笑)。


★山本氏:

 Yggdrasillワールドは、そんな感じでいろいろと進めていきつつ、新規コンテンツなども投入していきたいと思っています。


――いずれのイベントに関しても、最初におっしゃったように、メインで活動している「登録ワールド」のキャラクター情報をアイテム化し、装備を持ち込んで参加するという形式になるんですか?


★山本氏:

 基本的にはそうなります。ただし、YggdrasillワールドではBaseLv99までのキャラが自由に作成可能になる予定です。ですので、「攻城戦TE」参加用のキャラなどはレベル情報の持ち込みをする必要はないと思います。もちろん、BaseLv100以上の3次職相当のキャラなどはデータをアイテム化して持ち込まないと作成できない予定です。


――で、報酬はYggdrasillワールド倉庫を通してメインの活動ワールドに持ち帰る、と。


★山本氏:

 たとえば「ティアマト攻城戦」であれば、達成度に応じて参加チケット的なアイテムをお渡しして、自分のワールドに持ち帰って、好きなキャラで報酬をもらうといった感じですね。このあたりは前回開催された「ティアマト攻城戦」の流れと同じなので、イベントに参加した方はおわかりいただけるかと思います。


★中村氏:

 そんな感じで、Yggdrasillワールドでは、みんなで集まって遊ぶ、MMORPGらしい楽しさをキチンと再現していくというのが目標です。ひいては、それが2019年のメインの施策かなと考えています。


 それと、Urdrワールドのみ、ワールド倉庫が使えない問題があります。そこも考えていることがあるにはあるのですが、まだちょっと言える段階ではないんです。


――すみません、てっきりUrdrはそのままなのかと思っていました(苦笑)。


★中村氏:

 いえいえ、ちゃんと考えていますのでご安心を。


■メインエピソードアップデートは2019年中盤以降? 結婚システム改修など、システム的なアップデートも随時実装予定!


★中村氏:

 Yggdrasillワールドの各種施策とは別に、もちろんメインのエピソードアップデートも予定しています。まだ日本での正式名称は決まっていないのですが、「EPISODE:TERRA GLORIA ~ルーンミッドガッツ王国の胎動~」の続きのエピソードとして、韓国ではEpisode17.1というナンバリングになっています。


 盗まれたテラグローリアを巡ってたどり着いた先で、さらに複雑な事件に巻き込まれる感じになりますが、イラストに描かれているように、「クラナネミエリー」の女性キャラお三方など、前回のキャラクターたちも登場します。リベリオンの昔の話が垣間見える部分もあったりしますよ。それ以外にも、生体工学研究所絡みの話も出てくるので、そういった方面のキャラの登場も楽しみにしていただければと思います。


 予定としてはまだざっくりとした感じですが、2019年中盤あたりには情報をお出ししていけるのではないかと思います。

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▲次期エピソードアップデートのイメージイラスト。

★中村氏:

 もうひとつ、こちらは2019年後半になる予定ですが、生体工学研究所のEDDAを予定しています。以前、アルナベルツ教国の教皇様を中心とした「EPISODE:EDDA ~教皇と少女の覚めない夢~」を実装しましたが、あんな感じで生体工学研究所をフィーチャーした物語のアップデートを予定しています。


 実は、2018年の時点で、韓国ではWebtoon(ウェブトゥーン)、つまりWebコミックが公開されています。Webtoonというのは、普通のWebコミックとはちょっと違って、スクロールとともにセリフや擬音が表示されたりする凝ったものになっているんですね。内容は「生体工学研究所」に出てくるキャラクターたちが登場するものです。こちらは日本向けに翻訳を進めていまして、生体工学研究所のEDDAの実装にあわせて日本でも公開をしていこうと考えています。


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▲韓国にて公開されているWebtoonの一部。実際にはセリフや擬音などが動的に表現されるそうです。


★中村氏:

 前々から何度かお伝えしていますが、そもそも生体工学研究所に関しては日本でも人気が高くて、弊社でも開発元さんにプッシュしていたんですよ。「ストーリー作ったらいいんじゃないですかねー?」みたいにささやく感じで(笑)。


――そんなロビー活動を(笑)。「生体工学研究所拡張アップデート:獄」の際も、韓国でも公開されていなかった“生体キャラ”のプロフィールなどを先んじて公開したりしていましたね。


★中村氏:

 そうなんですよ。EDDAは韓国では2018年の年末にアップデートされたばかりですが、待望の生体工学研究所ストーリーです。日本での実装はまだちょっと先、メインストーリーのエピソード実装よりあとになると思いますが、期待してお待ちいただければと思います。いろいろと力を入れていますので。


――さきほどのWebtoonの公開もありますし、楽しみですね。


★中村氏:

 それと、システム的なアップデートに関してもいろいろと予定していまして、まずはご要望もいただいているドラムの結婚システムなんですが、実はこちらを実装しようとすると、同時に同性婚も可能になるんですね。


――おお、そうなんですか!


★中村氏:

 また、結婚だけではなく、養子システムにも調整が入りまして、ドラムの養子キャラなども実装される予定です。そういった家族のシステムに紐付いて、なぜかメモリアルダンジョンの調整も必要になってくるんですよ。


――ええ!? どこでつながっているのかよくわかりませんが……。


★山本氏:

 ユーザーさんにとっては「なんでだよ!?」って思われるところだと思いますが、我々も最初聞いたときには「なんでだよ!?」ってツッコミました(笑)。でもよくよく調べてみると、そこを調整しないとゲームがまともに動かなくなってしまうポイントなどもあって、きっちりと修正をしないといけないなと。


★中村氏:

 そういった芋づる式の修正に手間取っていまして、昨年中には導入できなかったんですが、今年はそのへんを終わらせて早めに実装をしていきたいと考えていますので、もう少しお待ちいただければと……。


――ちなみにその結婚システムの調整は6月までには間に合いますか?


★中村氏:

 ジューンブライドイベントもありますから、そこまでには導入する予定です。ただ、チラッとお話ししたように、ユーザーさんの“できること”が広がるアップデートになる予定ですので、楽しみにお待ちいただければと思います。


■「イリュージョンダンジョン」の追加や待望のカードの実装予定も!


★中村氏:

 2019年には「イリュージョンダンジョン」の追加実装も予定しています。まず、直近では「イリュージョンオブテディベア」と呼ばれるダンジョンですね。


★山本氏:

 「イリュージョンダンジョン」はもともと8ダンジョンが予定されていまして、そろそろ後半戦に突入という感じですね。こちらも順次アップデートというかたちになると思います。


――現在は4つ実装されていますから、「イリュージョンオブテディベア」で5つ目という感じですか。


★中村氏:

 それから、既存のマップのモンスターにカードが追加実装される予定もあります。こちらは2019年1月15日(火)にアップデート予定でして、このインタビューの掲載と同時期くらいに実装されると思います。今回のカードは「決戦」関連のメモリアルダンジョンなどが対象になります。もちろん、実装直後の期間限定で、カード入手イベントなども予定していますので、ご期待ください。


 そして、まだまだカードが実装されていないモンスターもいますので、2019年はもう1回、カードの実装を行う予定です。


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▲2019年1月15日(火)に実装された新カード。

――おお、どのあたりのマップでしょうか。


★山本氏:

 一部ユーザーさんの間ではカードイラストに首があったりなかったりと話題になったアレとか……。


――もしや「首なしラバ」!? ということは……。


★中村氏:

 えー、これまで「カードないじゃん」と言われてきたマップがいくつかありますので、そのあたりのカードを一緒に入れていこうかなと考えています。


――第2弾のカードの実装はいつごろになるのでしょうか。


★中村氏:

 うーん、今のところの予定では秋くらいと考えています。


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■一番最初の難度でクリアできる想定だったのか? さらに深く「ティアマト攻城戦」について聞いてみた!


★中村氏:

 それと、これはイベントに絡むことなのですが……2018年に実施した「深淵の回廊」では、初めて「亡国の硬貨」を持ち越しできるようにしています。すでに告知しているように、2019年第1クォーター(1~3月期)に再び「深淵の回廊」を実施する予定だからなんですね。また、ご存知のように、前回の「深淵の回廊」から、仕組み自体に少し手を入れています。すぐに「古王グローザ」に挑めるように討伐クエストを簡略化するなどです。これには、「深淵の回廊」自体の開催の頻度を少し上げていこうという思惑があったりするんです。たとえば、イベントとイベントの隙間が1週間くらい開いたとしますよね。そういうときに「深淵の回廊」を突発的に開催するなどもアリかなと。


★山本氏:

 これまでは「夢幻の迷宮」の調査強化週間などが突発イベント的な位置づけになっていますが、同じような感じで「深淵の回廊」を実施していけたらなと。ですので、プロンテラの街の中に、「深淵の回廊」関連のNPCが残っているんです。


――消し忘れじゃなかったんですね!?


★山本氏:

 消し忘れじゃないです(笑)!


――ちなみに、次回開催の「深淵の回廊」は前回同様に「ティアマト攻城戦」がある状態なのでしょうか。それとも「ティアマト攻城戦」はYggdrasillワールドで実施するので次回の「深淵の回廊」には含まれない感じでしょうか。


★山本氏:

 その場合は、Yggdrasillワールドでは毎週開催の「ティアマト攻城戦」、通常ワールドでは「深淵の回廊」イベント内の「ティアマト攻城戦」という感じで、それぞれ別のコンテンツとしてお楽しみいただく形になります。


――おお、そうなんですね! それと、Yggdrasillワールドでは全ワールドから人が集まるため、かなりの人数になると思うのですが。


★山本氏:

 たぶん「ティアマト攻城戦」自体を、同時にいくつか開催することになると思います。ただ、「モンスター大襲撃」のように上限人数は設定するつもりはありません。そのため、力押しがさらに加速するかもしれませんし、モンスターの強さなど、難易度調整が必要になってくると思うんですよね……。


――再び地獄の難度に……!?


★山本氏:

 そのあたりはお楽しみにという感じでしょうか。


――ちょっと話は逸れますが、「ティアマト攻城戦」に関して、気になることがあるので聞いてもよろしいでしょうか。そもそもとして、最初の難度でクリアは想定されていたんでしょうか?


★山本氏:

 可能か不可能かで言ったらクリアはできるとは思っていました。が、実はのちのち定期開催をするつもりで設計していたので、お披露目的な意味合いで、クリアできなくてもしょうがないかなと思っていた部分もあったんです。ただ、状況を見ていると、我々の想定した連携や攻略にたどり着く前に諦めの意見が多くなっていってしまったんです。それを踏まえたうえで、Yggdrasillワールド版を遊んでいただければ「ああ、こういうことだったのね」というのがわかるかもしれません。


 「モンスターハウス」のときもそうだったのですが、クリアできないコンテンツを作っているつもりはないんです。ただ、そんなに簡単にクリアできるコンテンツのつもりもありません。みんながチャレンジしてなんとかクリアできる、という難度にしたいなという気持ちでバランス取りをしているので……。


★中村氏:

 「ティアマト攻城戦」に関しては、最終的にギリギリ倒せる(完全クリア)かなという難易度になったかなという気はしています。最初のころには諦めムードが漂ってしまっていたので、それに影響されて、そもそもチャレンジしないという人が増えてしまうのはイヤだなと思っていたんですよ。それもあって、やや難度を落として「これならクリアできるかもしれない」という線に持っていかないとダメかなと。


★山本氏:

 最終的には15分くらい時間を余らせてクリアしたワールドもあったくらいでしたが、その練度(プレイヤー側の習熟度)で挑んでいたら、最初の難度であってもクリアできていたと思います。ただ、最初からあの難度のままだったらユーザーさんの練度や攻略が進んだかというと……。


――攻略は進まなかったでしょうね。


★山本氏:

 先まで進めるとどんどん慣れてくるので、効率のいい方法も発見できて、時間もどんどん短縮できるようになるんですよね。ですので、最初のバージョンは、難易度そのものはクリアできない難しさではないのですが、初見で挑む難度ではなかったのかな、と。


★中村氏:

 想定していたモノ、想定していた数があればクリアできると考えてはいるんですが、(プレイヤー側が)そこまで到達できるかどうかというのは、なんともいえないという感じなんですよね。逆にそのラインをちょっとでも越えてしまえば超カンタンなコンテンツになりますし、ラインに到達できないとみんな諦めてしまって挑戦者が減って戦力が想定を大きく下回ってしまうことになるんです。


――そうですね(笑)。


★山本氏:

 想定と戦力のラインがぴったりになるということはまずありませんし、それなら状況を見てラインを下げていこうと。ただ、いったん下げた想定ラインって上げられないんですよ。「は? なんで急に難しくするんだよ」って言われてしまうので。


――確かに(笑)。


★中村氏:

 そうなると、難しくするなら難しくする理由が必要なんです。たとえば、報酬が増えましたよ、とか、新しいボスのドロップアイテムが追加されましたよ、とか。そういった感じで、新しいコンテンツを導入する際には、みなさんのプレイの動向に向き合いながら、キッチリと調整していくというのを徹底していきたいと思っています。


――なるほど、わかりました。


★中村氏:

 そんなわけで、今のところお話しできそうな2019年の主な施策は以上のような感じですね。2019年もアップデート面でもイベント面でも楽しんでいただける『RO』を目指していこうと思っています。ぜひ17年目の『RO』もよろしくお願いいたします。


■2019年施策とは別に、プレイヤーが気になるあの情報の進捗は? 急遽、突撃Q&A番外編へ突入!


★中村氏:

 2019年施策とは少し離れますが、あらかじめユーザーさんから質問が来そうだなという点に関して、いくつか先にお答えしておきたいと思います。ひとつ目はスーパーノービスの拡張について。


――はい。当サイトにも、ハンドルネーム・あかさんから結構前に質問をいただいています。ブレイブ装備(全職装備可能)や一部アビス装備で、スーパーノービスも装備可能とありますが、装備条件がBaseLv165以上ということで実際には装備できません。スーパーノービスの上限解放はまだでしょうか?」とのことです。


★山本氏:

 すみません。忘れているわけではないんですよ。現時点の情報としては、スーパーノービスの上位職にあたる職業の開発が進められています。これに関しては2019年の始めごろに韓国で実装される見込みでして、日本での実装はそこから調整を行ったものになる予定です。最大BaseLv175、最大JobLv60まで成長できる予定です。また、物理系と魔法系の追加スキルもいくつか実装予定になっています。


――それはそのスーパーノービス上位職の専用スキルですか?


★山本氏:

 はい。これまでのスーパーノービスは既存の職業のスキルを使えるというかたちでしたが、そのあたりが若干整理される予定です。ただ、これはまだ本当に予定の話で、韓国側でそのように調整していくつもりだという情報を聞いているという感じです。韓国側での調整が終わらないと日本での実装はできないので、まだまだ先になってしまうのですが、そろそろ情報は出てきそうだというところですね。


 また、拳聖の上位職の「聖帝」とソウルリンカーの上位職の「ソウルリーパー」(いずれも仮称)ですが、こちらは日本側でもスキルの確認などを始めていますが、まだ時間はかかってしまいそうですね。今の感触だと日本で実装するのは2019年内にはやや厳しいかなと……。

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▲拳聖とソウルリンカーの上位職(※韓国にて開発中の画像です)

★中村氏:

 リベリオンのときもドラムのときもそうでしたが、ある程度韓国側で安定した状態のものをさらに日本で調整するという流れになると思いますので、2019年内は……難しいかなと。また、それらを乗り越えてからようやくBaseLv185への上限解放などができるかなと。


――おお。ついに上限解放の話が!?


★中村氏:

 ただ、BaseLv185への上限解放に関しても、システム的に先に入れておかねばならない項目があったりするかもしれないので、実装のタイミングに関してはまだ確定したことは言えないんです。ひょっとしたら聖帝などの新職業と同時に実装できるかもしれませんし、逆にBaseLv185に解放してからでないと聖帝が実装できないということもあるかもしれません。


★山本氏:

 そのあたりは実際のデータをさらに詳しく検証してみないとわからないんですよ。


――韓国のほうでは既存の2次職や3次職スキルの仕様変更も実施されていますよね?


★山本氏:

 そうなんですよね。


――「スペルフィスト」が6発チャージじゃなくなるとか小耳に挟んでいますが……。


★山本氏:

 ええ、「マグヌスエクソシズム」が普通の聖属性魔法になる予定だとか、いろいろ調整中なんですよ。そのへんも含めて、BaseLv185の解放が先にできるのかどうか、検証を進めつつも、一応、大まかな目標としては、日本でも年内にBaseLvの上限解放を予定しています。


★中村氏:

 韓国側でもまだ調整中だったりテスト中だったりする項目も多々ありますので、日本での状況が見え次第、テストに入らせていただこうと思っています。


――せっかくなので、突撃Q&A番外編ということで、読者さんからいただいているご質問にもお答えいただけたらと思います。


★中村氏:

 ご質問、結構前にいただいていたのですが、お答えできるタイミングがなくてすみません。


――いえ、2018年後半はワールド倉庫やNoatunワールドの件でお忙しかったですし、ゲーム内の実装を最優先にしていただいたほうがありがたいと思いますので。スーパーノービスの質問にはさきほどお答えいただいたので、次はハンドルネーム・しーらかんすさんからの質問を。「公式ツールの「露店取引情報」と「モンスターサーチ」で読み方が違うものがあります。例えば「露店取引情報」では「異形(いぎょう)のシーラカンスカード」、「モンスターサーチ」では「異形(いけい)のシーラカンス」 となっています。どちらの読み方でも正しいと思うのですが、統一されていたほうがいいのではないでしょうか。例以外にも結構ありますので気になっています」とのことです。


★中村氏:

 実は漢字の表記とハングルの表記など、いろいろな状態のものを同時に作業していて、ごっちゃになってしまうことがあったりするんですよ。こちらでも間違いを発見次第訂正はしているのですが、もしお気づきの点がありましたらWEBヘルプデスクなどからご投稿いただけますとありがたいです。


――ひらがなで入力しても候補が表示されるので、そこで初めて読み方を知るアイテムなどもあったりしますからね。


★中村氏:

 いろいろな国の言葉とか、神話関係の単語とか、読み方が難しいものも結構ありますからね。


――では次に匿名さんからのご質問です。「イリュージョンダンジョンが実装されましたが、ラグ缶などで手に入る最上級の装備で固めたキャラでないと楽しめないと感じました。少人数パーティーやソロで遊ぶ人は、そういった豪華装備の人に“引率”してもらうか、既存の狩場で遊ぶしかないのですか?」


★中村氏:

 うーん、難しいところですが、このご質問に関しては、半分は正解と言えなくもないんですよね。たとえば「イリュージョンオブムーンライト」などはパーティー向けを想定したマップなんですよ。壁役、釣り役、攻撃役、回復役など、役割分担をしっかりした状態で遊んでいただくのが我々の想定したオーソドックスなスタイルなんです。ただ、装備が非常に整っている方や、いわゆるプレイヤースキルが高い方など、条件が整えば整うほど、もっと少ない人数で攻略できるようになっています。正直、極まればソロでもなんとかなるかもしれません。それくらいこだわって育成をしている方が狩りをして満足できる場所であり、逆にライトな方であれば、セオリーどおりに人数を集めて攻略していただくという感じです。今回こういうご意見をいただいたということは、ある意味でちゃんと機能しているのかなという気もしないでもないというか……。


★山本氏:

 MMORPGですので、自分を補ってくれる方と一緒にひとつのチームになって攻略していくというのも醍醐味のひとつだと思うんです。そういった状況の中で、突出して強い人たちが少人数で攻略していってしまうというのもまたMMORPGなんですよね。逆に、自分に欠けているものがあっても、他人と協力することで補って進める。そういうところが楽しいところじゃないかなと思うんです。協力してくれる人を探す道もありますし、頑張って装備を整えるという道も選べます。やりようはいくらでもあると考えています。


 ソロで攻略できる方が羨ましいという声もあると思うのですが、例えば特定の職業にこだわって何キャラも同じ職業を育てている方などはその職業に合った装備を何パターンも買い揃えることになり、様々なステータスのキャラがいるので、いろいろな狩場に対応できるようになりますよね。逆に、いろいろなキャラで遊びたいと思って多数の職業を育てている方だと、1キャラクターにかける資産や知識が分散してしまうため、一点突破的な強さでは前者の方には敵わないということもあるかもしれません。もちろん、どちらの遊び方が優れているということはなくて、それは人それぞれだと思います。


――そうですね。なかなか難しいところだとは思います。


★山本氏:

 もし、ご質問の方が満足できるような狩場を用意したとしても、強い方はさらにその上を行ってしまうでしょうし、となると、結局、難易度に応じたリターンのある狩場を用意するしかないのかなと。


★中村氏:

 難度の高いところをどのように攻略していくか、そういうのを考えることも含めて、楽しんでいただけるといいなと思いながら制作を行っています。「新しいダンジョンが実装されたけれど、余裕過ぎてつまらない」と言われてしまうと悲しいですからね。もちろん、その時点でのキャラクターの強さというのは人によって違いますので、そういうこともあるとは思うんですが……。ただまぁ、イリュージョンダンジョンに関しては、デスペナルティがないということもあり、どんどん挑戦していただいて「これじゃダメだ」「これならいける!」という試行錯誤がしやすい場所になっていると思うんです。ぜひそんな風にチャレンジしていただけると嬉しいですね。


――ハンドルネーム・けんすけさん、ハンドルネーム・彩音さんから、実質的にワールド倉庫でZenyの移動ができるようにはならないのか、といったご質問もいただいていたのですが、これに関しては小為替が実装されたので、現状ではZeny移動ができる状態になっていますね。


※小為替:Noatunワールド開設とともに実装されたアイテム。通常ワールドでは1,000zenyと交換することができ、Noatunワールドでは1zenyと交換できる換金アイテム。

★中村氏:

 小為替の実装より前にいただいた質問にお答えできずにすみません。


――ハンドルネーム・Rollbackさんから、「ワールド倉庫に入れられるものも増えてきましたが、逆にワールド倉庫に入れられないアイテムはどんなものを考えているのでしょうか?」。また、匿名さんから「消耗品や収集品の移動に関して、実装の優先度などは考えていますか?」という質問も来ています。


★山本氏:
 基本的に、名前つきのアイテムなど、システム上の制限があるアイテム以外はすべて移動可能ですので、ゲームバランスなども考慮して、許可アイテムを追加したいと考えています。優先順位としては攻城戦関連のアイテムや、クエストで使用するアイテムなどからですね。


――いろいろご質問にお答えいただきありがとうございました。2019年の『RO』も楽しみにしています。


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 ということで、2019年の年頭インタビューはいかがだったでしょうか。期待の新職業に関してはまだちょっと先ということで歯がゆい気もしないでもありませんが、その分、しっかりした調整をしていただきたいところですね。お話にもあったように、2019年はYggdrasillワールドでの定例開催イベントなども多数始動予定のほか、まだ見ぬ新企画もありそうな雰囲気です。今回のインタビューでお披露目されていない企画がいきなり実施されたりと、サプライズ的なイベントもあるのかも……?


 毎月、職業ごとのスターターパックが発売される予定もあり、順調に実装が進めば2019年を通して話題になる施策になりそうです。もちろんリアルマネーはかかるでしょうけれど、「今さらイチからキャラを育てるのは面倒」と感じる復帰者さんなどには渡りに船と言えるかもしれません。


 また、コメントでのご質問もいただいていたドラムの結婚システムについては、同性婚を始め、養子の拡張など多数の要素が改修予定とのことで、期待度が高まったように感じます。まずはそのあたりを期待しつつ、2019年も引き続き『RO』を楽しんでいくことにしましょう。


 なお、運営チームへの質問コーナー「突撃Q&A」に関してはこうしたインタビューのタイミングでお答えいただくこともあります。今回のいくつかの質問のように、状況によってはすぐにお答えを掲載できるわけではありませんが、引き続きコメントでご質問をお送りいただければと思います(過去の「突撃Q&A」に関してはこちらへ)。