2015年最後の更新は、特別企画のインタビュー。おなじみ、『RO』運営チームの方々を代表し、ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社の千葉亮一氏、中村聡伸氏、長澤誠吾氏のお三方にお話をうかがうことができました。
怒涛のように実施された2015年のアップデート&イベントの舞台裏や、ほかではちょっと聞けない話など、現役『RO』プレイヤーはもちろん、絶賛休止中の方(!?)にも興味深い話題満載でお届けします! 聞いてきたお話はほぼ全部ノーカットで載っけていますのでちょっと長めですが、年末年始のお休みなどを利用してご一読いただければと思います。
▲今回お話をうかがったお三方。ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社『RO』運営チームの千葉亮一氏(中央)、中村聡伸氏(左)、長澤誠吾氏(右)。
■2015年のキーポイントはアップデートとイベントの「連動」
――2015年はこれまで以上にイベントもアップデートも多かったという印象なんですが、振り返ってみていかがですか。
長澤誠吾氏(以下、長澤氏):
僕が思い出を本気で語り出すと2時間コースになりますよ?
中村聡伸氏(以下、中村氏):
実は今年のアップデートはほとんど長澤が手がけているんですよ。
――そうなんですか。ではそのアップデート関連の話からおうかがいしたいと思います。
長澤氏:
さっきおっしゃられたように、今年はアップデートが多かったんですが、実は開発元のグラヴィティ社さんから、弊社のほうに、ある程度アップデートの内容調整の裁量権を認めていただけたということも関係しているんです。そのおかげで、2015年のアップデートでは、イベントとの連動に力を入れることができました。たとえば「Episode:Memory Record ~ジュピロスと眠る都市~」(関連記事:「Episode:Memory Record」先行レポート&インタビュー)の直前から「マスターヌヌヌのシュバルツバルドマスター」を開催したりしました。カードなども一気に実装した「ピラミッドナイトメア」(関連記事:「ピラミッドナイトメア」先行レポート)に際しては、ぷちイベントを2週連続で行い、さらにそのぷちイベントでもらった「スプレンディッドコイン」や「モーラコイン」は、6月30日(火)に実装された「アルティメットモードチェンジャー」の交換に使用できるといった流れでした。さらにさらに、7月になると「ポリン団ウェルスに行く」イベントで「ウェルス発掘地」に再びスポットを当てつつ、続く「まにゃん島」でのイベントへの誘導も行っていました。
▲「マスターヌヌヌのシュバルツバルドマスター」イベントでは、シュバルツバルド関連のクエストの手助けに加え、クリア経験値の上乗せによって、キャラクターのレベルアップも狙うことができました。
――もう毎月なにかしらやっていましたね……。
長澤氏:
そうなんですよね。そこからまだまだ続いていまして、「まにゃん島」ではストーリーを連動させて、夏のイベント「僕のドキドキ冒険記II ~ポリン海賊団と魔Qの秘宝~」から「にゃんにゃん幽玄祭」へというように、「まにゃん」から「マラン」へ、アップデートの導線になっていました。
▲夜の状態のマラン島で繰り広げられた「にゃんにゃん幽玄祭」。
――「にゃんにゃん幽玄祭」が8月で、それが終わると9月の「英雄の痕跡」3ダンジョンの連続アップデート(関連記事:「フェンリルとサラ」先行レポート&「飛行船襲撃」先行レポート)になりましたよね。
長澤氏:
はい。同時進行で大変だった覚えがあります(苦笑)。もともと「英雄の痕跡」というのは、1本1本はしっかりした内容になっているのですが、対象となるキャラクターが絞られているというような状況も見受けられたんですね。そこで、「英雄の痕跡」全7ダンジョン、すべてを巻き込んで、多くのユーザーさんに認知してもらい、楽しんでもらおうということで、「時空英雄戦記SPECIAL ~スーパー次元の狭間バトル~」を実施しました。こんな感じで、2015年は、アップデートと日本独自のイベントを絡めることで、多くのユーザーさんに楽しんでいただくというのを心がけてきました。
▲「英雄の痕跡」連続実装を記念して行われた「時空英雄戦記SPECIAL(ときぞらひでおせんきスペシャル)」。このシリーズとしては第3弾でした。
――単なるアップデートだけでなく、そのアップデートをあまり気にしていなかった方にも注目してもらえるということですね。
中村氏:
アップデートに備えて準備しておこうという告知に関しても、これまでは「こんなアイテムを用意しておくといいよ」とお知らせすることしかできなかったんですが、2015年に関しては、「事前のこのイベントをやっておくとアップデートをすぐ楽しめるよ」という感じで、誘導しつつ、アップデートをより楽しく遊んでいただけるようになっていたと考えています。
長澤氏:
その点は2014年以前と大きく違うところだと思います。
――逆に、2014年以前はそういったイベント連動などはやりにくかったと?
長澤氏:
これまでも「マスターヌヌヌ」シリーズなどは行っていたんですが、アップデート自体を日本独自に調整できるようになった結果、よりイベントと連動させやすくなったという感じなんですよ。今後も、アップデートを実施するときは、極力そういったことを心がけていこうと考えています。もちろん、イベントを絡めなくても、目的となる層をカバーできるようなアップデートであれば、そのままいきなり実装することもあるとは思いますが。
――なるほど。キーとなるのは楽しめるプレイヤーの層ってことですね。
長澤氏:
ほかにも、イベントは期間限定ということもあり、ユーザーさんが集まりやすく、その流れでアップデートに触れてもらいやすいというのもあります。永久実装物だと“あとで行けばいいや”という方もいると思うんですよ。そういう方々に、とりあえず触っていただくというのはどうすればいいか、課題のひとつだったんですよ。
――まずプレイしてもらうというのは確かに重要ですね。
中村氏:
その関係で、「Episode:Memory Record」を始め、いろいろなところで、実装直後は期間限定で報酬をアップさせたりする施策も実施し、“今行こう!”という雰囲気作りを心がけていました。ユーザーさんはもともといろいろなコンテンツで遊ばれていると思うのですが、運営チームとしては“今はここで遊んでみてほしいな”という誘導ができるようにした感じですね。
■強力になったキャラクターと腕試しができる場所の提示
――期間限定という話が出ましたが、今年は期間限定でキャラクターがすごくパワーアップするイベントがあったり、そもそも強力な装備が多く実装されたように思います。個人的には「こんなにプレイヤーキャラをパワーアップさせちゃって大丈夫なの!?」と不安に思ったりもするんですが(笑)。
中村氏:
例えばホワイトデーイベントの「CMB(ちょこっとミラクルブースト)効果」っていうのは、後々実装された「アルティメットモードチェンジャー[0]」の効果を一部先取りした形になっていたんです。まずは事前に期間限定で体験していただき、「こういうのもアリだよね」と味わっていただいたうえで、いざ「アルティメットモードチェンジャー[0]」が実装された際に「これはあのときの効果みたいだなー。あれ強かったし、手に入れてみようかな」と思っていただけるような流れになっていたかなと。MMORPGとしては、“強くなった自分のキャラを実感していただける機会”が欲しいところです。
――なるほど。確かにそれはありますね。
中村氏:
また、強い装備に関して言えば、どちらかというと、痒い所に手が届く系の装備が多く実装されたと思っています。レンジャーであれば罠が強くなります、ルーンナイトは「ウィンドカッター」が“使えるスキル”になる装備ですとか。今まであまり主力としては扱われにくかったスキルをメインにしても楽しめるようなキャラクタービルドが可能になる、そんな装備が多かったと思います。おっしゃったように、確かにキャラクターは強くなっていると思うのですが、強さのベクトルがいろんな方向に伸びるようになったって感じなんですよ。『RO』の特徴である、自分だけのキャラクターメイキング、キャラクタービルドがより楽しめるようになったという認識ですね。
――そうですね。自由度の高さを求めて『RO』を続けている人は多いですからね。
中村氏:
ただ、自分のキャラが強くなったら難度の高い場所へ行ってみたいと思うじゃないですか。そういう方々のために、「生体工学研究所拡張アップデート:獄」であるとか、アニバーサリーイベントの「深淵の回廊」(関連記事:「深淵の回廊」先行レポート)など、腕試しになるような場所も提供させていただいたという感じです。
長澤氏:
「深淵の回廊」はいったんクローズしましたが、以前より告知している通り、今後も定例イベントとして開催していこうと思っていますので。「深淵の回廊」に挑むために、ふだんのプレイで強くなっておこうという流れになってくれればいいなと。
中村氏:
今回はここまでしか行けなかったけど、次の開催までにはキャラの装備や強さをグレードアップさせて、もっと先までクリアしようと計画してもらえればと。ユーザーさんのひとつの目標にしていただければいいなと思っているんです。
――かなり難しいと評判だった「深淵の回廊」……というか「深淵の王墓」ですが、ニコ生で行った13周年記念生放送「RO充の240分」で実際にプレイ風景とヒントを見せたこともあり、最終的には、クリア人数は増えた感じですか?
中村氏:
はい。最終的にはだいたい想定通りの人数がクリアなされた感じでした。生放送中に想定数を言いましたけど、おおむねそんな感じでした(笑)。
――えーと、たしか1ワールドで5~10パーティーくらいでしたっけ。生放送開始時点では全ワールドで8パーティーしかクリアできていないとか、すごい状況でしたよね。まぁ、先に全狩場の討伐クエストをクリアしなければならず、そこに時間がかかっていたというのはありましたけど。
長澤氏:
それもありました。ただ、運営チームの予想よりも、攻略情報が拡散されなかったなという印象もありましたね(苦笑)。
中村氏:
そう。クリアされた方がそのログだけ見せて「やったぜ」で終わってしまっていて、攻略に触れられていなかったりして。
長澤氏:
ドロップアイテムが強力な装備だったので、独占状態を維持するためというのも、若干ですがあったとは思います。そういった状況が、生放送でいろいろ公開したために、だいぶオープンになった感じでした。こういう状態は今まであまり見られなかったので、運営チームとしても興味深い結果になりましたね。
――初期にクリアできた人があまりにも少数だったというのもあるんでしょうね。
中村氏:
きっと少数しかクリアできないだろうというのは予想として立てていたので、想定通りと言えば想定通りなんですよね。クリアしたという話を聞いて「いいな。自分もクリアしたい」という、ある種の憧れみたいなものを持って、次回は自分で挑んでいただけるといいなと。
――クローズしてから思い出話的に情報も広まっているというのもありますよね。
中村氏:
最後の「深淵の王墓」まで行けなくても、通常のダンジョンでの狩りやアイテム収集でも楽しんでいただけたのかなというのもあります。わりとカードも産出されましたし。
――生放送のクイズの報酬でドロップ率2.5倍期間があったじゃないですか。あのときに躍起になってアイテムドロップを狙っていたというのもありましたよね(笑)。
中村氏:
そうですね(笑)。ソロで遊ぶ方のために、獲得経験値量も高めで攻略しやすいダンジョンの作りにしていたので、そういう点でも結構遊ばれていたのではないかなと。
――生放送の話が出たので、「RO充の240分」などのお話も聞かせていただければと思うのですが。
(編注:ニコニコ生放送プレミアム会員の方はこちらからタイムシフトで視聴することができます)
中村氏:
ちょっと今までと雰囲気が違ったと思われたかもしれませんね。あんな風に運営チームのプレイを見せるというのはほぼ初めてでしたし。今回は新しい発見をしてほしいというテーマで放送させていただいたんですね。運営チームが想定した攻略法や、プレイヤーさんの主流とは異なる攻略法など、そういったところもお見せできたらいいなと思って。そういうコンセプトで放送してみたら、結果的にこれまでの放送と雰囲気が違ってきた感じです。実はスタッフもこれまで以上に楽しんでしまいました(笑)。
――見ている側としても興味深かったですね。
中村氏:
長澤の「フェンリルとサラ」のプレイがある意味神がかってしまっていましたし(苦笑)。
長澤氏:
はっはっは。狙い通りです! ……いや、ホントは偶然ですけど(笑)。
――そういえば、観覧希望の倍率が高かったと聞いていますが。
中村氏:
スペースの関係上、10名様しか呼べなかったこともあり、倍率的には15倍以上になってしまいました。ただ、お越しいただいた方には楽しんでいただけたようでなによりでした。そういえば応募の際、コメント欄も設置しておいたのですが、そこにも多くの暖かいメッセージをいただき、大変嬉しく読ませていただきました。
■裁量権の拡充によってもたらされたもの
――千葉さんからはどうでしょう。
千葉亮一氏(以下、千葉氏):
はっ、思わず聞き入るだけになってました。2015年で印象的だったものといえば、やはり『LORD of VERMILION ARENA』(LoVA)とのコラボと、セカンドコスチュームですよね。ちょっと話は戻ってしまうんですが、2015年になって多くのイベントや新装備が実装になったということに関して、“今までもやりたかったけれどできなかった”というのもあるんですよ。2014年、私がBlogで謝罪したこともあったんですが、2015年はその宿題を消化したという感じなんですね。
▲『LoVA』コラボは永久実装コンテンツ。「転成儀」から強力なカードが入手できる可能性もあり、初心者から熟練者までそれぞれのスタンスで楽しめます。
▲待望のセカンドコスチュームも2015年中にジェネティックとギロチンクロスが実装済み。引き続き2016年も継続的にアップデート予定とのことです。
――それは先ほど長澤さんがおっしゃった、裁量権が拡充されたという話に関係しているんですか?
千葉氏:
詳しくお話ししますと、これまで、アップデート内容に関しては、デベロッパー(編注:開発元、つまりグラヴィティ社)側が制作したものをパブリッシャー(編注:販売・運営、つまりガンホー社)側が調整し、日本向けにローカライズ、カルチャライズして導入する流れでした。ただそこには、スケジュール的にも交渉的にもものすごく課題があったんですね。そこを、デベロッパー側が「日本のことは日本運営であるパブリッシャーにある程度任せよう」という決断をしてくれて、その裁量権の幅を広げてくれたんです。今では、『RO』はパブリッシャー側がかなりの裁量権を持つ作品になったと思います。さきほど長澤と中村が言ったように、アップデートに合わせたイベントができるようになったというのは、一言で言えばいろんなことのスケジュールの確定がしやすくなったからとも言えるんです。
――ああ、なるほど。アップデートのスケジュールが日本側で確定できないとイベントを組むこともできませんよね。
千葉氏:
私は“やるやる詐欺”って言われていたことが多いと思うんです。ただ、今までは、アップデートの内容を検証してみて、“このままじゃ入れられないよ”という結果になったとき、そこから改修の内容とスケジュール交渉を改めて始めなければならなかった。そこをデベロッパーの裁量で決められてしまった場合、パブリッシャーとしては導入スケジュールは決められないんですね。結果、調整内容を見てからイベントを組むという余裕はなくなってしまうわけです。現状では、“こういう調整内容がこの期日までに導入できる”というのがわかっているため、導入に合わせてイベントを組めるようになったんです。イベント自体に関しては、だいぶ前から独自制作・実装の裁量権をいただいていましたので。
――なるほど。イベント自体は自由に行えるようになっていたものの、アップデートそのものに関してはデベロッパー主体で動いてきた関係で、パブリッシャーとしては待ちの状態だったわけですね。それはちょっともどかしい気分ですね。
千葉氏:
実は、「英雄の痕跡」の導入が止まっていたのも、日本の状況では元のままでは実装できないという判断からだったんですよ。それが2015年に入って一気に導入できたのも、裁量権の拡充によって、ある程度決定権がいただけて、日本向けの調整スケジュールが確定できたからなんです。そこで、我々としては、さらに考えを進めて、「英雄の痕跡」をどういった位置づけで遊んでもらいたいかという点まで踏み込めるようになったんです。ご存知の方もいるかもしれませんが、「フェンリルとサラ」などで入手できる装備は韓国で実装されているものとまったく違うものになっていますし、新装備も追加しています。今まではこういった大きな改変はできませんでした。そういった、いろいろな交渉やスケジューリングができるようになった結果が2015年のアップデートとイベントの多さに繋がっているんです。
――日本側の裁量権の広がりがもたらした結果だったんですね。
千葉氏:
そんなわけで、2015年はいろいろ積み残していたものを片付けた感じで一気にアップデートが進んだんですよ。逆に、2016年もこの密度で行きます……とは言い切れないかもしれません(苦笑)。もちろん、できるだけがんばりますが!
■印象的だった『LoVA』コラボとセカンドコスチューム実装
――たしかに、2015年はこれまで課題となっていたアレやこれやが解消した感じはありました。そういう理由だったわけですか。
千葉氏:
はい。そんな状況の一方で、PCオンラインゲームを盛り上げたいとも思っていたところに、スクウェア・エニックスさんから打診をいただきまして、『LoVA』とのコラボが実現できました。『RO』としては……プロンテラにコンビニが出現したりということはありましたが(笑)、別の世界観を持つ他社作品とコラボするというのはありませんでした。それを永久の実装物として組み込むというのも含め、初めての試みでした。先方の担当プロデューサーさんが『RO』ユーザーだったということもあり、我々としても非常に楽しんで作業することができましたね。双方のゲームを遊んでくれたユーザーさんも多かったようです。個人的には『RO』の中にバハムートのカードが登場するというのは歴史的快挙だと思っています(笑)。
――メガフレア、ですね。
千葉氏:
はい、それがやりたかった(笑)。コラボというと期間限定というのが定番ですが、たとえば2週間限定でカードが入手できますがそれで終了です、っていうのはプレイヤーとしてはいろいろ厳しいですよね。かといって、2ヶ月3ヶ月イベントをやり続けるなんて状態にするのであれば、いっそアップデートのひとつとして永久実装してしまおうと。結果的には業界的にも非常に珍しいコラボが実現できたんじゃないかなと思っています。
▲同じカードを10枚集めるとカード効果がグレードアップするという、これまでの『RO』にはない仕掛けも盛り込まれています。
千葉氏:
それと、実装まで長かったセカンドコスチュームがようやく実装の運びになりまして。……本当に長かった……。一番課題が多かったジェネティックとギロチンクロスのセカンドコスチュームが2015年内に実装できました。セカンドコスチュームに関しては、もちろん引き続き、2016年も頑張っていこうと考えています。これまで、3次職にならずに止めていたという方や、復帰者の方にも反応していただけています。そういう方々に向けて、プレイ利用権がなくても体験できる無料の特設ワールドをオープンさせていただいたんですが、とても好評でした。いろいろな衣装装備を試せたので、“今の『RO』ってこんなに衣装が多いんだ!?”っていう声もいただいたり。
――手に入れられなかった憧れの衣装や装備が!
千葉氏:
体験ワールドで装備してみてそれで満足されてしまう方もいるかもしれませんが、少しでも、自分の活動するワールドのキャラにも装備させたいと思っていただければ(笑)。実際、そこから『RO』に復帰していただいた方もいらっしゃるんですよ。逆に、ベーシックコスチュームのギロチンクロスを見慣れちゃっていて“いつの間にか愛着が湧いていたんだな”って認識される方もいたみたいです(笑)。セカンドコスチュームにしたら今まで装備していた衣装装備が似合わなくなってしまって、合う衣装装備をいろいろ試したりと、そんな刺激にもなっているみたいです。
――直前に「[衣装] エレメス=ガイルのスカーフ」なども実装されましたし!
千葉氏:
セカンドコスチュームになっていらないんじゃないかと思ったら、やっぱりマフラーの色が印象的なので必要だって意見も多いんですよ(笑)。
――あー、たしかに(笑)。
千葉氏:
続けてプレイしていらっしゃる方としてはそうでもないかもしれませんが、ちょっと『RO』から離れていた方にとっては、2015年は、新たな要素としてかなりの情報量になっているんじゃないかなと思っています。
――個人的にはプレイを続けていても2015年の1年だけでかなり変わったなという印象はあります。Blogで初心者&復帰者向けに新キャラ育成をやってきたんですが、企画開始当初の流れと年末の頃とでは、やっていることがだいぶ違うんですよ。
千葉氏:
そうですね。さっき中村が言ったように「痒い所に手が届く」というか、喩えが悪いかもしれませんが、社会保障的な位置づけのコンテンツ……最低限、これをやっておけばスムーズに遊べるというものが増えています。ユーザーさん同士で情報交換する際に“○○が美味かったよ”という話をしても“自分にはハードルが高い”と動かない方も多いと思うんですね。ただ、そういった方々でも、実際に行ってみると案外戦えるものなんですよ。新装備の実装なども含めて、そう思わせる要素、もうちょっと底上げして、“これなら行けるかもしれない”と思わせる、背中を押してあげる必要があるなと。「エクセリオンシリーズ」もそうですし、先ほど話が出たように、生放送で実際にプレイしている様子を見せるというのもあります。環境の変化を恐れる方、食わず嫌いな方も多くいらっしゃるかもしれません。そういった方々向けに“ちょっとこれを手に入れてみてよ”という提案ですね。そういう意味では「飛行船襲撃」で入手できる装備の「飛行船シリーズ」や「ペルロックシリーズ」。あれは特殊精錬してお金稼ぎに使えるという側面が目立つのでそちらで話題になっていますが、セットで装備することで最大HPやDefが大幅に上がって便利なんですよ。いざ使ってみるとかなりの違いが体感できると思います。
――ちょうど「[衣装] ビギナー帽」の効果が落ちてきたあたりのBaseLv70から自力入手できるようになるというのも考えられているなと。
千葉氏:
情報が出ると、最大を見てしまいがちなんですよね。最初から最大値を目指して考えてしまうと、先が遠くて諦めてしまう方も多いかもしれません。でもそれはもったいないです。「エクセリオンシリーズ」も「飛行船襲撃」関連の装備にも共通するのですが、モノの入手自体は比較的カンタンなんですよね。手に入れたあとで、エンチャントであるとか、他の装備とのセット効果に関しては時間をかけていく感じ。今年実装された装備はそういったものが多かったですね。
――入手が簡単なのは嬉しいですよね。とりあえず素のまま使ってもいいし、精錬やエンチャントを極めていくのも、そのへんは個人の自由という。
千葉氏:
韓国、というかデベロッパー的な考え方だと、最初からハードルが高いんですよ。
――あー、超高性能装備なんだけど、限られた人しか手にできないというか。
千葉氏:
ええ。そういったところを、段階踏みの設計に変えてきたというのが根底にテーマとしてあるんですね。それこそ、迷ったらとりあえず「エクセリオンシリーズ」を装備させておけばいいか的な流れもあると思います。ここ10年揃えてきた装備はなんだったんだという意見もあるかもしれませんが、最近のゲーム業界の情勢を鑑みて、ひとつの解答として提示できたのかなと。
――「レクイエムシリーズ」などもそうですね。「とりあえず○○があれば××程度は大丈夫」というわかりやすさがあります。
千葉氏:
そのうえで、やり込んでくださっている方にも役立つ装備にするということには気をつけました。
――強力な装備にしようと思うとかなり時間も費用もかけなくてはなりませんが、完成するとその甲斐のあったものができる感じになっていますよね。
千葉氏:
「レクイエムシリーズ」を実装した際、ハイレベルなユーザーさんの中には“人間形モンスター用の装備はもうあるし、これは必要ないな”と思われた方も多かったと思います。ただ、人間形モンスターからの耐性というのと、生体工学研究所のモンスターからの耐性というのとでは、防ぎきれるスキルが微妙に違ったりするんです。実は「レクイエムシリーズ」のほうが有効な場面もあったりします。先日の生放送でもレクイエムシリーズで十分狩りが成立していたのをお見せできたと思います。なかなかそういう情報が広まっていかないという印象もあるんですが、実装物としてはそういう広範囲まで考えたものができたのではないかと考えているんです。
▲英雄の痕跡「呪いの剣士」のクリア報酬として、必ずひとつもらえる「レクイエムシリーズ」。「呪いの剣士」内で、精錬するための専用アイテムも入手できるので、「エルニウム」や「オリデオコン」を消費することなく精錬も可能(通常精錬も可能です)。
■開発元はプレイアビリティの強化に前向きに
――2015年は状態アイコンなど、UI関係のアップデートが頻繁に行われて、一気にわかりやすく、便利になったなという印象もあります。
中村氏:
とはいえ、これも前々からの宿題の消化、の範疇なんですよね。
千葉氏:
そうですね。それに実装されている分でもまだまだで、UI関連はやはり韓国側が圧倒的に進んでいます。ただ、いろいろ問題があるものも多くて……調整は続けていますので、日本側で入れられそうなものは引き続き導入をしていく予定です。メモリアルダンジョンの再入場時間を5時更新に統一したり、NPC関連の動作は我々のほうでも変更できるのですが、プログラムが関連する部分においては、どうしても開発元の作業が必要になってしまいますので……。
――レジストポーション系のアイコン表示などは、ずいぶん前から要望が出ていたと思うのですが、2015年に導入されたというのは、さきほどお話しされた裁量権の拡大というのも関係しているのでしょうか。
千葉氏:
いや、それはたまたまタイミングが重なっただけかなと。裁量権が拡大したとは言っても、単純な話、アイコン追加などは我々の作業だけでできる部分ではないですからね。ただ、開発元もユーザーのプレイングに関する感想などを以前よりも重視する傾向が見られるようになりました。韓国サーバーでも2014年くらいから、プレイアビリティ向上のアップデートに力を入れているんですよ。2015年の日本におけるUIアップデートに関しても、そういった流れが影響しているかもしれません。日本運営としては、かなり前から要望は伝えていたんですが、最近は開発元が「そうですね」と同意してくれることが多くなってきています。
――これまでは韓国サーバーの情報としては、新規実装案件が多かったですよね。
千葉氏:
どちらかと言えばヘビーユーザー向けの要素が多かったのですが、最近は新規ユーザー向けの実装内容も多いですし、既存ユーザーからのプレイアビリティ向上の意見もかなり取り入れている感じです。
――日本からの要望も通りやすくなった感じがしますね。
千葉氏:
ええ。「エクセリオンシリーズ」を共同で企画開発した際も、ユーザーの要望や日本側の意見もすごく汲んでくれました。
――そういうこともあり、ガンスリンガーの上位職「リベリオン」に関してもいろいろと遊びやすくするために改修の範囲が広がってきているという話になるんですね。
(編注:リベリオンの実装に向けて、ガンスリンガーの弾丸の仕様など、様々な部分に手を加えて、より遊びやすく改修していきたいという方針が発表されています)
千葉氏:
はい。そういう状況になってきた関係で、我々の考えているよりも開発工数がかかってしまうらしく、遅れてしまっているのが現状です。ただ、今行っているように「リベリオンだけではなく、せっかくなのでガンスリンガーという職業を楽しく遊んでもらうためにいろいろと直しましょう」というレベルでの企画の進行というのは、数年前ではできなかったことだと思っています。もちろんこれは日本側が言ったからということではなく、韓国の開発元も同意して行っている内容になります。
――その一方で、韓国では新たなプレイヤーキャラである新種族の開発も進んでいて驚いたのですが。
千葉氏:
最初に聞いたときはこちらとしても驚きました(笑)。でもこれもUIの拡充と同じで、新規ユーザーに向けて、今までと違うものを提供しようとしている一環なんだと思います。ただまぁ、韓国側でそういう新規コンテンツが実装されるのであれば、日本でも導入の検討を行う予定ではいます。
中村氏:
2015年は、なんというか、“懐古”な部分が多く入れられたかなという印象があります。モロク復興に始まり、ジュピロスの話や生体工学研究所の拡張もありました。懐かしんで復帰してくださった方も結構いらっしゃったんですね。思い出が強いのは当たり前なんですが、それに負けないようなアップデートを実施していけたんじゃないかなと。
千葉氏:
確かに、モロク復興以降のテーマとしてはそこは大きかったですね。ほんと、最近ユーザーさんから異世界の話題を聞かないんですよね。まぁ、脱異世界を目指していた部分もあるので、狙い通りではあるんですが。やっぱり、昔遊んでくれていた方にも、もう一度反応してもらいたいと考えているんです。……あ、そうだ! そういう意味では、年齢の高い層に反応してもらえるように、アニバーサリーソングをなるけみちこさんに手がけていただいたりもしたんですよ(笑)。
――ああ、なるほど(笑)。
千葉氏:
対象年齢は30代半ばですから。これは私とRoccaのほうで作戦を練って、なるけみちこさんにぜひお願いしようと。
――なるけみちこさんとの企画はまだ続きがあるとかなんとか……。
千葉氏:
はい。あとでちょっとだけお話ししますが、いろいろ動いていますよ。楽しみにお待ち下さい。
■2016年も全国行脚の小規模イベントが実施されるかも!?
――2016年の展望についておうかがいしたいところですが、2015年にはユーザーさんと一緒にアニバーサリーパッケージのおまけアイテムを作るといった1年がかりの企画もありました。
中村氏:
そうですね。まったく同じことはやらないと思いますが、いろいろと考えています。ただ、全国各地で行う小規模のイベントというのはやりたいなぁと思っているんですよ。その地域のユーザーさんと直接お会いしてお話しできる機会が得られるのはいいなと。長澤は仙台出身なんですが、その仙台のときはローカルな話題も飛び出したりして、面白かったですし。
長澤氏:
通っていた小学校とか中学校の名前を挙げて自己紹介したら、みんなポカンとしていましたが(笑)。
――そんなことまで……。
中村氏:
大規模なファン感謝祭だけでなく、そういった小規模イベントも、我々スタッフが動けるタイミングをみつけてやってきたいかなと。
――ユーザーさんとしても、運営チームに直接質問をすることができて、その様子をレポートとしてBlogに掲載された方などもいましたね。そこから思わぬ新情報が飛び出して話題になったこともありましたし、ああいうことが起こると、参加してみたいという方もまた増えるような気もします。
中村氏:
セカンドコスチュームの進捗画像をちょっとだけ早くお見せしたりして、その場所ごとに違った内容の情報なども公開していました。あのイベントもなんだかんだで抽選倍率が高くなっていたんですよ。
千葉氏:
先日の生放送でもチラッとお話しましたが、運営チームの素顔を知っていただくいい機会だとも思いますし、我々としてもとても刺激になりました。最近、他社さんでもこういう小規模イベントを開くようになってきた気がするんですよね。
――ネットカフェでのイベントは昔からわりとよく聞きますが、確かに先日もネクソンさんが社内でテストサーバーでユーザーさんの体験会を開くなどされていましたね。生放送もそうですが、ユーザーさんと直接対話していくイベントも増えているのかもしれません。
中村氏:
生放送に関しても、次はどんなアプローチをしていこうかなというのは常々考えているんですよね。
――以前はいわゆる生主さんを主体にした生放送も企画されていましたよね。
千葉氏:
だいぶ早い段階でやってましたね。むしろ早すぎた感が。
――たしかに、生主という存在が世の中に広まるより早くやっていましたよね(苦笑)。そういう点で言えば『LoVA』とのコラボの形態というのも先駆者的ですよね。
千葉氏:
我々としても、受け入れられるかなと心配だった部分はあったのですが、話題になってくれればいいかという感じで。でも、やってみたら前向きな反応が多かったので、コラボに関しては機会を見つけて今後もやっていきたいなと考えています。
中村氏:
コラボをしてくださるオンラインゲームを募集しています。ここを見ている企業の方でご興味がありましたらお声がけください(笑)!
――ウチのBlogを読んでくれる他社の関係者さん、いるかなぁ……(苦笑)。
■話題の『Tree of Savior』について聞いてみた!?
――他社さんのオンラインゲームの話題が出たところで、ひとつ聞きたいなと思っていたことがあるんですが、ネクソンさんが運営を行う『Tree of Savior(ツリー・オブ・セイヴァー)』(以下、ToS)が始動しつつあります。『ToS』は『RO』の精神的続編などと冠されることも多い作品ですが、『RO』運営チームとしてはどう思われているのかなと。
中村氏:
ネクソンさん自体は“『RO』の精神的続編”とは言っていないんですよね。むしろ言ってくださってもいいんですけど。……正式に言う場合は商標とか怒られない範囲での調整が必要ですが(笑)。
――いいんですか?
千葉氏:
全然OKですよ。むしろ一緒にコラボしたいですよ。
長澤氏:
いいですねぇ。
――実現したら本当に夢のコラボですね!?
中村氏:
『LoVA』コラボの際にもお話ししましたが、我々としてはPCオンラインゲームを盛り上げていきたいという気持ちが強いんですよ。その一環としてコラボなども積極的にやっていけたらいいなと。そんな中で、PCオンラインゲームとして注目度が高いタイトルが出てきたという、このニュース自体も非常に喜ばしいことだと考えているんです。……たとえば、『ToS』を体験いただいた方がチャットなどで『RO』の話題を出すとします。
――あ、はい、出ると思います。
中村氏:
そういった際に、“じゃあちょっとそっちもやってみるか”と思って体験しに来てくれたり、昔『RO』をプレイしていた方が、今の『RO』の噂を耳にして再開してくれたりすることもあると思うんです。ですから、我々としてはむしろ応援したいと思っているんですよ。
――比べるために両方遊んでみるという方もいると思います。
千葉氏:
ただ、やってみると『ToS』はやっぱり『RO』とは別物なんですよ。面白いことに、『ToS』を実際に遊んだ方と、チラ見しただけで遊んでいない方とでは感想が全然違うんですよね。
――そもそもキャラクターの動き方の印象が違うようで“『RO』みたいなのを期待していたら違った”って書き込みも見ましたね。“じゃあ『RO』遊べばいいんじゃね?”とは思いました(笑)。
千葉氏:
そういうことも含めて、話題にしていただけるだけでも我々にとってはありがたいことですよ。ですから別にネクソンさんが『RO』の精神的後継作と言っていただいても構わないですよと。
――懐の広いお言葉が。
千葉氏:
いやぁ、繰り返しになりますけど、PCオンラインゲーム市場の拡大自体が課題だと思っているんですよ。それは『RO』にとっても重要なことなので。今でもスマホよりもPCのほうが遊びやすいと言ってくださる方もいますが、もうちょっと広がってくださるといいなと。クライアントダウンロード型は時流としてはやや古いですからね。ただ、そこで得られるバリュー的なものを、もうちょっと前面に押し出していければと。
■昔のフェイヨン復活は2016年2月!? もしかしたら永久実装もあるかも……?
――2016年の展望というと、プロンテラを舞台にしたエピソードアップデートなどが計画されていますが……。
千葉氏:
エピソードアップデートに関しては、時期はまだお伝えできない感じなんですよ。カルチャライズというか、どこまで手を入れるかといったことが最終決定していないんです。先ほどお話しした新種族に関しても、2016年の計画に組み込もうとは考えています。新種族はあくまで「やりたい」というレベルですが。ほかに大きいところで言うと、「リベリオン」は絶対に実装したいです。また、イベントということで言いますと、2016年は今年よりもちょっと数自体は抑えめにするかもしれません。一部で「イベントやりすぎ」というご意見もいただいたりしたんですよ(苦笑)。
――なるほど、それも頷けるところです。2015年は本当に息つくヒマもないといった感じでしたから(笑)。イベントではないのですが、以前「RO企画室」で新しいダンジョンを作ろう企画があったと思うのですが、その後話が出ないなぁと……。
千葉氏:
はい。実はダンジョンを作るとなると、どうしても開発元の作業量が多くなってしまう状況があり、優先度的には低めになってしまっているのが現状です。アイテムの場合は我々でバランスを考えたり性能を検証することはできたのですが、ダンジョンの場合は新たなマップをイチから作るとなると相当時間がかかりますし、専用の新モンスターも配置するとなるとより時間もかかってしまうのです。楽しみにしてくださっているユーザーさんも多いと思うのですが、今進んでいるほかの要素を比べて、どちらのほうがより心待ちにされているかな、と考えると、現状の優先順位になってしまうのかなと。もちろん、やめてしまったわけではないので、進められる際には進めていきたいと考えています。
――新規マップは作るのに時間がかかるとのことですが、期間限定の「深淵の回廊」に関しては、もともと存在したマップだったんですよね。
千葉氏:
ええ。韓国と同様の攻城戦関連の追加ダンジョンとしては実装できないと判断して、ちょうど宙に浮いていたマップだったんですね。韓国のように、投票が行われてマップが一定期間だけオープンするという形式のアトラクションにしてしまうと、どうしても時間が経つにつれて陳腐化してしまう。それはリソースの使い方としてはもったいないと。ただ、最初にお話ししたように、日本側の裁量権の拡充があったので、限定感を強く出しつつユーザーさんを誘導して、日本用として新たに蘇らせようということになったんです。もともとモンスターもカードもありましたので、調整して導入させていただくことになりました。アイテムの性能やモンスターの動きなどに関しては我々のほうで指定できるので、実装タイミングは早かったわけです。
中村氏:
「古王グローザ」だけ新規に描いてもらったんですよね。
――開発元から“カッコよくなりすぎてすまない”とコメントが来たという(笑)。
千葉氏:
そんなわけで、完全に新たなリソース作りに着手してしまうと、それこそ半年レベルでかかってしまうこともあり、ほかの案件が停滞してしまう可能性も出てきてしまうんです。先ほどの新規マップ作成というのは、優先順位的に悩ましい状態なんですね。
――逆に、日本としての最優先はやはりリベリオンやセカンドコスチュームになるのでしょうか。
千葉氏:
そうですね。そのふたつに関しては、もう走り始めているので、最速でやっていくしかないでしょうという感じです。ただ、セカンドコスチュームに関しては、我々が作業する部分というのはすでに少なくなっている状況ですね。「がんばってください」と、開発元を応援するくらいでしょうか。
――なるほど(笑)。
千葉氏:
かといって、リベリオンができあがるまでは何もしないのかというと、そういうわけではありません。以前、インタビューでお話しした、イベントで昔のフェイヨンを復活させるというのも行おうと計画しています。
――イベントマップとして、今のフェイヨンとは別の場所に昔のフェイヨンマップを一時的に復活させる、という企画ですよね。
千葉氏:
ええ。せっかくなのでこの場で実装予定時期を言ってしまうと、2016年の2月頃になります。
――おっと、時期に関しては初公開ですね!
千葉氏:
はい。まずは節分&バレンタインイベントの一環として実装しますが、その後、残せるようなら残したいなと。
――残すということは、永久実装の可能性もあると。
千葉氏:
そうですね。キャッチコピーは「10年前のフェイヨンを見に来ないか?」的な感じで。
▲2002年10月10日、ベータ2テスト中の『RO』Lokiワールドのフェイヨン。個人的なSSを掘り出してきました(笑)。当時は露店とチャットが同時に展開できて、コメントに利用されていたりしましたね。マップ数自体も少なく、拠点となる街に関してもプロンテラ、イズルード、ゲフェン、モロク、アルベルタ、アルデバラン、そしてフェイヨンだけでした。
――懐かしい……というか知らないユーザーさんも多いかもしれませんね。
千葉氏:
いやぁ、むしろ知らない方のほうが多いと思います。Breidablikワールドで始めた方などは「なにそれ」状態かもしれません。まぁそういう現状もあるので、リリースのやり方についてはいろいろ検討してみようかなと。実はテストサーバーではもうすでに動いているんですよ。あとですね、実は、このイベント合わせでフェイヨンのBGMアレンジをなるけみちこさんにお願いしているんですよ。
――そう来ますか!
千葉氏:
あのメロディをなんと生演奏の二胡で弾いてもらっているんですよ。ぜひ楽しみに待っていてください。
――『LoVA』コラボでもBGMアレンジがかなり好評でしたよね。
千葉氏:
あれはスクエニさん側がすごく頑張ってくれた結果なんですよ。我々はあまりタッチしていなくて、気づいたらいつのまにかあんなに豪華なことになっていたって感じで。
――CD化の希望も出ていましたよね。
千葉氏:
そこはスクエニさんにお願いしていただければと(笑)。
■2016年にかける意気込みは?
――では最後に、2016年にかける意気込みなどをお願いできればと思います。
中村氏:
2016年以降、今後のことに関して、私が個人的に考えていることを含めてお話ししますね。最近はスマホ向けのゲームなども多くなってきて、オンラインゲームへの接し方というのが、だいぶ変わってきたかなという感じを受けています。世間では大きく分けて「Time to Win」(時間を費やす)か「Pay to Win」(課金額をかける)かという話になっているじゃないですか。
――あ~、確かに。
中村氏:
私としては、結局どっちも「Win」に行きつくのかよというのが気になっているんですよ。個人的には「Win」ではなくて「Fun」。もちろん勝つことでも楽しさは味わえますが、勝つこと以外の体験でも、時間をかけたぶん楽しさがやってくるという流れがいいなと。だから個人的な2016年のテーマとしては「Time to Fun」でいきたいんです。その楽しさの土台というのは、2015年のアップデートでだいぶ揃ってきたなという感じを受けています。最近、公式サイトで「リスタートガイド」というものを作らせていただきました。レベルがこのくらいになったらこのコンテンツを遊んでみてねという、指針のひとつですね。また、年末に行ったBlogコンテストのように、ゲームをプレイするのも楽しいけれど、その情報を発信することも楽しい、『RO』に費やしたすべての時間が楽しさになる、というところが大きく広げられればいいのかなと考えています。ゲームなので、結果的には「負ける」こともあると思うんですよ。そういうところも含めて「楽しい思い出」として築いていっていただけたらいいなと。私としてはそういったことの手助けができるように、サイトの更新や情報提供など、そういうところを頑張っていきたいかなと思っています。
長澤氏:
2016年は『RO』も運営開始から14年目です。私としては、ゲーム内のコンテンツにしても生放送などに関しても、『RO』に関わるすべてが楽しいんだよというのを、ユーザーさんと一緒になって具現化させていきたいなと。先ほど千葉のほうから2016年の予定もチラッとお話しさせていただきましたが、まだお話しできないことも含めて、すでにいろいろ動いていて、忙しくなりそうだなというのがひしひしと感じられています(笑)。
千葉氏:
うん、長澤さんのスケジュール、もうすでに埋まっているよね(苦笑)。
長澤氏:
すでに発表しているコトなので言ってしまいますが、アルナベルツ教国関連のアップデートも控えていて、こちらもイベントを絡めて予定しています。
――ああ、10月のファン感謝祭で発表されていましたね。
長澤氏:
こちらに関しては遠くない時期に……近くもないかもしれませんけど。
千葉氏:
どっちだよっ(笑)!
長澤氏:
アルナベルツ教国関連といえば、もちろんクエストがいろいろ絡んできますよね。それらをクリアしていただきたいと考えているんですよ。
――おお。ということは、またあのNPCが……!?
長澤氏:
それだけではありません。別の内容のイベントも予定しています。今度は教皇をどんな風にいじろうかなと、スタッフみんなでニヤニヤしながらいろいろ検討しているところです。
――教皇様、これまでにもいろいろ結構イジられていますよね。
▲2015年のバレンタインイベントはアルナベルツ教国が舞台となっていて、教皇様へのお目通りもできました。衣装装備や手持ちアイテムによっていろいろな反応が聞けたりしましたね。
長澤氏:
今回も結構面白いと思いますよ? すでにテストサーバーで動かしている感じですが、昨日もスタッフみんなで大爆笑していたりして。実は……いや、やめときましょう。
千葉氏:
そこで中途半端に止めるのかよっ!
――気になります(笑)。まぁ、シュバルツバルド関連のクエストが「マスターヌヌヌのシュバルツバルドマスター」でいろいろ一気に進められたことから“アルナベルツ関連もやってくれ”という声もありますから、ねぇ?
長澤氏:
ええ。たとえば「名もなき島」への渡航にもクエストが必要で、しかも長いというのはご意見としていただいているところですし……。
千葉氏:
ラクダの花子がネックですよね、あのクエスト……。
長澤氏:
ふむ。じゃあ屠殺しておきましょう。
千葉氏:
いやいや、屠殺するなよっ! しませんからね!
――あはは。まぁでもここのところのイベントを鑑みるに、期待してしまいますね。
長澤氏:
順調にハードルを上げられております(苦笑)。えーと、そんなわけで、ご期待ください。
千葉氏:
2015年はいろいろやってきたわけですが、運営チームも“『RO』を楽しんでいる”というのを見せられたのかなと。我々は仕事という関わり方で、ユーザーさんは遊びとして、方向性自体は違いますが、『RO』というのは生活を楽しむための道具のひとつになっているかなと。その道具はいろいろ充実してきました。今後はその道具を使ってどんな風に楽しむか。自分のライフを充実させるために、この道具を上手く使っていただくにはどうすればいいか。私の学生時代のように、1日18時間『RO』漬けみたいな状態になってしまっては生活には活かされないですよね(苦笑)。
――むしろ支障が出ます!
千葉氏:
『RO』を、適度な生活のスパイスにしていただくには、どう楽しんでいただければいいのか。ゲーム内に限ったことではなくて、話題として楽しむというのも楽しみ方のひとつでしょう。そういうところまで含めて、我々ももうちょっと視野を広げて考えていこうと思っているんです。それが「IPを育てていく」というところにもつながっていくと思うのです。これだけ長くやっていると、中にはプレイに満足して辞めてしまう人もいると思います。でも『RO』はあくまで「道具」なので、仕方ない、むしろ当然だとは思うんですよ。ただ、悪い印象を持って辞めるのではなく、使い込んでもらって満足して辞めていただけたのならむしろ嬉しいなと。そういうタイトルになるように、細かい改修も行っています。そういったことも含め、様々な施策を行っていこうと考えていますので。長く楽しんでいただきたいですね。
――すでに14年目ですし、15年目の足音も聞こえてきますね。
千葉氏:
皆さんに大切にしていただけているコンテンツなので、我々としても、大切に扱っていきたいですね。もちろん歩みを止めることなく、ですけれど。
――もうプレイはしていない人の間にも、2015年のモロク復興の話題が駆け巡ったように、2016年はフェイヨンで同じことが起こるのかもしれませんね。
千葉氏:
そうですねぇ。そいうった話題が『ToS』さんによって喚起されたりするのかも?
――(笑)。
千葉氏:
ただまぁ、『RO』の後継は『RO』だけなのかなとも思うんですよ。MMORPGのプレイヤーは「住人」と言われるように、プレイする人が違えばゲーム内の雰囲気や遊び方も違ってくるわけですし。そういう側面も含めて、PCのMMORPGでしか味わえない楽しさもあるんじゃないかと。今の時代だからこそ、業界的にも、そういう要素をアピールしていく必要があるんじゃないかなと。『RO』でアピールの手助けができるのなら、どんどんやっていきたいですし、他社さんのタイトルと一緒にコラボ等をすることで相乗効果が見込めるなら、お互いにプラスになるんじゃないかなと。『RO』のことだけではなく、業界全体を盛り上げることも含めて考えていきたいんです。スタッフ全員がそういう意気込みで2016年を迎えようとしています。
――おお……!
千葉氏:
今までで一番ブチ上げた感じの締めになった気もします(笑)。でも、業界全体を盛り上げたいというのは本心ですので!
――わかりました。本日はありがとうございました。
……ということで、ここまで読んでいただいた方、ありがとうございました。個人的に聞きたかった『RO』運営チームは『ToS』をどう思っているのか、が聞けたので満足です(笑)。しかも、回答が予想以上に前向きでビックリしました。アップデートとイベントの連動の裏側にあった裁量権の拡充などは、今後の日本の『RO』に、より期待が持てる内容で、コアプレイヤーであればあるほど興味深い話題だったと思います。さらに2015年のモロク復活に続き、2016年2月(予定)には昔のフェイヨンが登場するということで、昔のフレンドを誘うきっかけにできそうですね。
当Blogも引き続き、『RO』でいろいろなことにチャレンジしていけたらと思いますので、2016年もよろしくお願いいたします!