3月某日、ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社の中村聡伸氏より一通のメールをいただきました。それには、「今後の『ラグナロクオンライン』のアップデートの予定などについてインタビューしに来ませんか?」と書かれていました。インタビューは2015年の年末以来ですし、先日、公式Blogにて、韓国のグラヴィティ社にリベリオン関連の打ち合わせに行っていたという話題もあり、より詳細なお話がうかがえるかも……というわけで、当然「ぜひお邪魔させていただきます!」(ッターン!)とエンターキーを叩き込んで返信させていただきました(笑)。
タイトルである程度期待されているかもしれませんが、予想以上の内容を聞くことができたので、隅々までお読みいただければと思います。そんなわけで相変わらず自他共に認める長文インタビューですが、しばしお付き合い願えればと思います。
※なお、インタビュー内容に関しては、調整中の事柄も多かったため、今後、仕様や情報が変わる可能性もあります。ご了承ください。
▲今回お話をうかがったのはガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社の『RO』運営チームの方々。コアユーザーにはもうおなじみだとは思いますが、左から中村聡伸氏、白川昌平氏、栗山知也氏、千葉亮一氏、長澤誠吾氏。
■「教皇・真昼の弦月」(仮称)と「春の精錬イベント」(仮称)は2016年4月27日(水)の同日スタート!
――本日はよろしくお願いします。インタビューは年末以来となりますね。
中村聡伸氏(以下、中村氏):
年末のときは、2015年の振り返りがメインで、新しい要素としては、今日お話しする「教皇・真昼の弦月」(仮称)アップデートの前フリくらいでしたね。
――そうですね。このインタビューが掲載予定の頃には、そのアップデートにも関連すると思われる「マスターヌヌヌのアルナベルツマスター」が開催直前ということで、注目を集めているかなと。
中村氏:
2015年7月あたりからは、1ヶ月の予定を公開する「○月のイベント&ミニアップデート情報」ページを公開していますが、ユーザーさんには注目度が高いんですよ。あのページを見て、「今月の予定」を立ててくださっている方も多いようです。ということで、そちらでも触れつつありますが、いよいよ2016年3月末からは、アルナベルツ教国関連のアップデートを中心に動いていきたいと思っています。まず、「教皇・真昼の弦月」(仮称)のアップデート予定時期ですが、「マスターヌヌヌのアルナベルツマスター」の終了直後となる2016年4月27日(水)を予定しています。
――ガンホーさんが移転されるそうで、メンテ日が火曜ではないんですね。
中村氏:
そうなんですよ。弊社都合で申し訳ないのですが。それはさておき、4月27日(水)のアップデートまでに、ストーリーや舞台背景を知っていただきたいということで、「アルナベルツマスター」を開催するのですが、実は、「教皇・真昼の弦月」(仮称)自体に前提となるクエストなどはありません。
――そうなんですか!
中村氏:
ただ、NPCたちの会話で、プレイヤーキャラと面識があるかどうかによって、セリフなどが変わってきます。関連しそうなクエストがいろいろな進行度のキャラで、セリフの違いを楽しむ……なんてのもアリだと思います。ですから、「アルナベルツマスター」を利用して、アルナベルツ教国の背景や設定、キャラなどを、ユーザーさん自身に知っていただくというのが目的になっているんです。対象となるクエストは10個になります。
――なるほど。そんなに多くはない感じですね。
長澤誠吾氏(以下、長澤氏):
前回の「シュバルツバルドマスター」は、対象クエストが20以上と、非常に多かったですからね。それに比べれば、数自体は少ないと思います。
――ただ、それぞれが濃いというか、長いというか。
長澤氏:
そうですね。「歴史学者」クエストとか、実装直後は高難度で話題となった「トール火山の秘密」とか。ただ、今回は、先ほども言ったようにストーリーを楽しんでほしいという思いがありまして、クエスト難度自体は、イベント期間中は特別な緩和をしています。銀砂ラクダの花子さんの件や、名もなき島の修道院クエストにおいて「修道院 03」マップで“とある高貴な方”のモンスターと戦わなくてはならないところとか……。
――ああ……あれはパーティーじゃないと難しいくらいの難度でしたね。
長澤氏:
今回は“とある高貴な方”を倒さなくても、NPCをクリックするだけで進むようになっているんですよ。
――戦闘しなくていいんですか!
中村氏:
はい。それに、花子さんもだいぶお腹の調子がよくなっていますよ。
――あれ? でも花子さんは前に一度緩和されて、だいぶ楽に突破できるようになっていますよね。
長澤氏:
ええ。……実は、イベント期間中は、“確実に出してくれる”ようになるんです。
――確実!
長澤氏:
そのほかでも、「歴史学者」クエストでは、モロクの地下で1回にひとりずつしか会えないNPCが、部屋から出てきてくれて、いつでも誰とでも会話してくれたりします。多くのプレイヤーさんが同時にやってきても待つようなことがない仕様になっているんですよ。
――なるほど。確かにイベント中は人がひっきりなしに来そうですからね。
長澤氏:
もちろん、イベント期間中はクエストに関する転送も用意されていますので、各種クエストのクリアはかなり楽になっていると思います。ただし、これらの緩和はイベント期間中のみの予定ですので、後々クエストクリアを考えている方はご注意ください。
また、クリアによる報酬経験値もありますので、「ぷちイベント サクラサク!! ~新キャラ育成祭 in 旧フェイヨン~」(以下、「サクラサク!!」)合わせで作ったキャラでも、経験値アップアイテムなどを併用すると3次職のBaseLv120~130前後まで育つと思います。その流れで「教皇・真昼の弦月」(仮称)および、「春の精錬イベント」(仮称)に突入していただければなと考えているんです。
――「春の精錬イベント」(仮称)も告知されて、注目を集めていますが。
長澤氏:
はい。そんなわけで、今回は「教皇・真昼の弦月」(仮称)に合わせて、ラヘルで精錬イベントを開催します。実施日はそのアップデートと同日の2016年4月27日(水)の予定です。
――同時なんですか!?
長澤氏:
はい。ラヘルに行けば盛りだくさんで楽しめる状態になります。実は「サクラサク!!」のときに雪だるまに閉じ込められていたNPCがいるじゃないですか。ストーリー的にはそこからもう始まっていて、「アルナベルツマスター」では、マスターヌヌヌさんがとある引きこもりの神様を見つけて、冒険者が語る冒険譚を聞かせるわけです。すると神様が降臨してくれて、春の精錬イベントを開催してくれる、という流れなんですよ。
――一連の春イベントがつながっているわけですね。
■教皇様との仲を深められたり、ジェド大神官と殴りあったりする!? 「教皇・真昼の弦月」(仮称)の内容に迫る!
長澤氏:
「教皇・真昼の弦月」(仮称)の話に戻りますが、ラヘル関連では教皇はもちろん、いろいろなNPCが人気があるんですね。今回はそのあたりにも力を入れていて、実は「クトルラナックス」の立ち絵が実装されます。
――そこにきますか(笑)。
▲今回初の実装となる「クトルラナックス」の立ち(?)絵。実は韓国でも存在しておらず、ガンホー側の発案で作成していただいたという経緯があるそうです。
長澤氏:
もちろん教皇様の私服バージョンもありますのでご安心ください。雄一郎さんにもイラストを描いていただいていますし、ネマ神官とパノ神官も可愛かったのでついでに描いてもらいました。
中村氏:
ついでじゃないよ(笑)! たしかに今回のクエストには直接は関係ないけど!
長澤氏:
あっ、えっと、ネマ神官とパノ神官も可愛かったので雄一郎さんに描いてもらいました、に訂正します。
▲教皇様の私服姿は、以前カンファレンスなどでちらっと発表になり話題を呼びましたね。人気の高いネマとパノについても雄一郎氏にイラストを描いてもらったとのことです。ちなみに上がネマさんで下がパノさん。
――(面白いからノーカットで書いておこう)……あとですね、そのプリントアウトしてきていただいた画像の束の中に、気になるものが見えているんですが。そのジェド大神官っぽいドット絵はなんですか。
長澤氏:
これはボスのひとりです。
――ボス!? ジェド大神官と殴り合う日が来るんですか!?
▲ジェド大神官らしきNPCの攻撃モーションのドット絵。実はインタビュー開始時点からこのプリントアウトが視界に入るところに置かれていて、ずっと気になっていました(笑)。
長澤氏:
教皇様は普通の女の子に憧れているというか、普通の女の子になってみたいなと思っていたみたいです。そんな彼女が教皇に祀り上げられたわけで、実はいろいろと葛藤もありまして……。彼女の悪夢の中で話が進行するのですが、その中で象徴として立ちふさがるのがこのキャラクターとなっているんです。教皇様にはジェド大神官がこんな風に見えているのかもしれません。……まぁ、最初にドット絵を見た我々にも衝撃が走りましたので、このドット絵を初見の方は驚かれると思います。
――現実のジェド大神官じゃないと聞いてほっとしました。
長澤氏:
でも悪夢の中というだけあって、動きは怖いですよ。教皇様といえば、今回のアップデートでは教皇様のファンに向けてストーリー面も強化しています。ある意味で教皇様への信仰心が試されるというか……。とあるメモリアルダンジョンをクリアするごとに教皇様との会話でセリフ分岐が発生したり、だんだん心を開いてくれるようになったりするんです。
――メモリアルダンジョン特有の、何回もクリアできることを利用した仕掛けというわけですね。
長澤氏:
はい。実装直後は「春の精錬イベント」(仮称)が重なっていることはお話ししましたが、その新規に実装されるメモリアルダンジョンもイベントの対象になっています。精錬用のポイントが稼げますので、一石二鳥で楽しんでいただければと。
中村氏:
低レベルでもストーリーだけ楽しみたい人向けに低難度コースと通常コースが用意されていますし、メモリアルダンジョン内部では私服の教皇とあんなことやこんなことができるので楽しみにしていただければと思います。
――あんなことやこんなことってどんなことですか!
長澤氏:
あんなことやこんなことです。
中村氏:
えっと……ジェドに襲いかかられたり?
長澤氏:
ジェドに襲われるとか、教皇様、大変ですよね。
中村氏:
いや、長澤さん。あくまでも悪夢の中の話だからね? それにその言い方じゃ変な誤解が生じそうだよ……。
――(苦笑)。
中村氏:
まぁそんな内容も入ってくるので、事前の「アルナベルツマスター」で、NPCたちの関係と、国の背景などを知っておいてもらいたいなと思うんですよ。前提条件なしで遊べてしまうので、ジェド大神官が、いきなり襲いかかってくる怖い人、と思われてしまうのも可哀想だなと(笑)。
――まぁ前提クエストがないというのは、セカンドキャラ以降にはありがたいですよね。
長澤氏:
メモリアルダンジョンは低難度のBaseLv70以上と、通常モードのBaseLv130以上のふたつが用意されています。BaseLv70のほうはストーリーを見るのがメインで、先ほど言った、教皇への信仰心を高める内容は通常モードでの仕様になっています。
■誰もが気になる(!?)「春の精錬イベント」(仮称)では「迅雷シリーズ」に続く超性能の武器が登場!?
中村氏:
「教皇・真昼の弦月」(仮称)実装と同時に開催される「春の精錬イベント」(仮称)では、例年と同じように、メモリアルダンジョンをクリアして、その冒険譚を聞かせることで、精錬などに使用できるイベント専用ポイントがもらえます。数日に1回、特殊な精錬ができるようになるフィーバーモードになるのも同様です。それと、昨年夏のイベントで「迅雷○○」という武器があったのですが、春イベントではそれと似た内容の新しい武器が実装される予定です。
――ありましたね。「+9」の精錬値が最初からついていたり……。
中村氏:
イベント用のポイントでレンタルして性能を試すこともできますので、イベントが実施されたらぜひ使ってみていただきたいなぁと。名称としては「天地無双」シリーズと呼んでいます。
――そう言うからには強力なんでしょうね……。前回のイベントでも「頑張ったけど出なかったー」という人もいたと思うのですが、今回も入手はなかなか厳しい感じですか?
中村氏:
うーん、そうかもしれません(笑)。とりあえず、この武器に関しては、恒例の「トレジャーハント」で手に入るようになっています。精錬イベントの神様は「アルナベルツマスター」イベントにも関連していますので、事前にお知らせしているとおり、「アルナベルツマスター」をクリアしていると、精錬イベント用のポイントが最初からちょっと多めにもらえるようになっています。その他、昨年の「[衣装] トトマスク」などのように、今回はラヘルに関連した衣装装備なども新たに実装される予定になっていますので、そちらもお楽しみに。
――アップデートとイベントが同日開催だとは思わなかったので、どちらから楽しめばいいのか困りそうです。
中村氏:
まぁ、イベント用のポイントも、アップデートを楽しむことで貯まるようになっていますので、まずはそちらを楽しんでいただければいいのかなと。
――あ、さすがに初日はフィーバーモードじゃない気がするので、まずはアップデートを楽しめばいいですよね、うん!
■新職業「リベリオン」の実装予定は2016年5月中! ガンスリンガー周りの変更点や「影狼」「朧」のレベルキャップ解放も!
中村氏:
精錬イベントは3週間程度、終了予定は2016年5月17日(火)になっているのですが、その終了のタイミング付近、5月中の導入予定で動いているのがリベリオンとなります。
――おお、ついに具体的な実装予定時期が!
千葉亮一氏(以下、千葉氏):
2016年3月25日(金)の公式Blogで情報を出す予定ですので(※本インタビューは事前に収録)、ある程度はご存じの方もいると思いますが、今回はより詳しい内容も交えてお伝えしようと思っています。具体的には担当の白川と栗山のほうからお話しさせていただきます。……と、この担当入れ替わりの間に……(PCを操作すると、とあるBGMが流れ出す)。
――この曲は?
千葉氏:
リベリオンのテーマ曲です。
――テーマ曲!
千葉氏:
以前ちらっとお話ししましたが、なるけみちこさんに作っていただいた楽曲のひとつがこれなんですよ。ガンスリンガーといったら銃と荒野! これ以上の人選はないと思うんですよ。
――あっ、口笛も入っていますね!
千葉氏:
これのためにこの半年動いてきたと言っても過言ではありません(笑)。
――当然、タイトル画面のBGMになるんですよね。
千葉氏:
もちろんです! その他にもいろいろできればいいなぁと考えていますので、お楽しみに!
白川昌平氏(以下、白川氏):
ということで、昨年度からお待たせしてしまっておりましたリベリオンですが、現在、5月中の実装予定で進んでいまして、ようやく細かい情報がお出しできる段階になりました。
――先日は韓国出張の画像が公式Blogにて公開されていましたが。
白川氏:
はい。行ってきました。実はあの場には栗山もいたんですよ。リベリオンやガンスリンガーに関しては、昨年のカンファレンスでもお話しさせていただいたとおり、グレネードガンの弾の問題であるとか、主に利便性の向上などの面でも、大幅な見直しが必要だろうという見解が開発元と一致しまして、いろいろと協議を続けていました。その結果、修正が多岐にわたってしまいまして、思った以上に時間がかかってしまったという背景があります。
栗山知也氏(以下、栗山氏):
いろいろと協議してきたのですが、まず、ガンスリンガーの上位職であるリベリオンは既存職業の3次職とは違い、影狼や朧と同じ特殊2次職という扱いになります。特殊2次職は現在最大BaseLvが160になっており、3次職の最大BaseLvである165と比べると低くなっています。ただ、特殊2次職は3次職と同じように遊びたいと思われている方も多いでしょうし、なんとか最大BaseLv165、最大JobLv60で実装できないかと要望してきました。開発元によれば、これはなんとかできそうだというお返事をいただいています。
この機会に他の特殊2次職も見直しを行っており、影狼、朧の最大BaseLv、最大JobLvも165、60に引き上げられる予定です。また、影狼、朧には新たな装備として武器とアクセサリーが1点ずつ実装されますので、忍者系を楽しまれている方も楽しみにお待ちいただければと思います。ただ、スーパーノービス(限界突破)につきましては、さらに特殊な設定の職業であるため、現在検討中となっています。
――比較的、3次職に近い感じで遊べるというわけですね。
栗山氏:
はい。それともうひとつ、このタイミングでガンスリンガーのスキルの見直しも行います。現状、ガンスリンガーのスキルというのは人気のあるものとそうでないものに二極化してしまっているんですね。そういった点を改善する目的もあり、多くのスキルに関しては利便性の向上のために少しだけ手を入れています。また、いくつかのスキルに限っては大幅に内容を変更しているものもあります。ガンスリンガーを遊ぶときにも、リベリオンになってガンスリンガーのスキルを使う際にも、武器系列に合わせてより楽しく遊べるように調整を施しています。
白川氏:
忍者系の影狼、朧のときにも忍者のスキルを調整し、体術型や忍術型といった型ができるようにしたのですが、それと同じような感じだと思っていただければいいかなと。ガンスリンガーではそれが銃という形で出てくると思います。ガンスリンガーというのは、そもそもハンドガン、ライフル、ガトリングガン、ショットガン、グレネードガン……これらの武器の持ち替えによって、いろいろな戦闘スタイルを作り出せるようになっていました。が、現状では、ハンドガンの一部のスキルだけが突出して秀でてしまっています。今回は、その部分は据え置きとして、ほかの武器に特徴を持たせ、強さを見直すという内容で調整しています。
栗山氏:
調整内容に関して、大きく変更したスキルの例をあげますと、「マジカルバレット」がわかりやすいかもしれません。現行の「マジカルバレット」はAtkとMatk両方の値を参照して威力が導き出される、念属性の攻撃になっています。ガンスリンガーが実装された当初というのは、属性の変更というのがまだあまり一般的ではない時代でしたが、今では攻撃属性の変更はわりと自由に行えるようになっています。属性がついていること自体が有用な時代から、属性がついていることが当たり前の時代に変化し、このスキルは見直したほうがより楽しめるのではないかということになったんです。
白川氏:
3次職アップデートの際にMatkによる攻撃の計算式が変更になったことや、念属性という、比較的珍しい属性を持っていることを加味したうえでも、3次職スキルの他の属性スキルのダメージ倍率には及ばないこともあり、時代背景的にもこのタイミングでの見直しは必要だろうということになりました。
――現在は武器のMatkが重要ですが、銃系の武器にはほとんどMatk値がついているものはありませんよね。となるとやっぱり使えないという結論になってしまうのは否めないというか。ということは、まったく別のスキルになっている……?
栗山氏:
はい。ルーンナイトの「エンチャントブレイド」と似たようなイメージで、「マジカルバレット」は、ガンスリンガー系の通常攻撃に関して、魔法攻撃力による追加ダメージが加わるようになっています。今回、アップデート時に新たな武器も追加予定なのですが、その中に、「マジカルバレット」に適するような武器が存在しています。また、ガンスリンガー実装時はレベル1、レベル2、レベル3武器が中心に使われていましたが、現在の主流はレベル4武器ですので、もちろん銃系の武器にもレベル4武器が追加される予定です。
――なるほど。使いたいスキルに合った装備を選んでいけるようになると。
栗山氏:
それと、2015年のアップデートによって、Matkを強化できる装備というのが多く追加されています。エクセリオンシリーズもそうですね。そういった点では武器にMatkがなくても、ある程度はフォローできるような環境になってきていると思います。今まで実装されてきたアイテムなどと組み合わせていただければ、より楽しめる武器なのではないかなぁと思います。
白川氏:
ガンスリンガースキルでは「マッドネスキャンセラー」なども、現行の使い勝手をある程度維持したまま、発動条件などを緩和し、より使いやすく見直しています。そんな感じで、ガンスリンガースキルのリニューアルも期待していただければと思います。
●リニューアルが予定されているガンスリンガースキル
「マジカルバレット」
「マッドネスキャンセラー」
「トラッキング」
「ピアーシングショット」
「チェーンアクション」
「ラピッドシャワー」
「ダスト」
「フルバスター」
「グラウンドドリフト」
「スプレッドアタック」
※「マジカルバレット」以外はスキルの性質に大幅な変更はありません。
――ガンスリンガーは一部の銃系統に関して、基本Aspdが遅いために、使い勝手が悪いという声もよく聞きます。これらの基本Aspdに関しては変更はありませんか?
白川氏:
ガンスリンガーに関しては基本的には変更は予定していません。しかし、リベリオンでは基本Aspdがガンスリンガーとは別に設定されていますとだけ言っておきます。ただ、ハンドガンとガトリングガンの基本Aspdがほとんど変わらないというのは一考すべきかもしれないという話も出ていることは出ていますね。
――なるほど。もともとショットガンやグレネードガンはスキル主体で強力なダメージを撃ちだすというコンセプトだったと思うのですが、現状では他の職のスキル倍率が上がったせいで、目立たないものになってしまい、結果、ハンドガンの「デスペラード」一択という状況になっていると思います。スキルが見直されるのであれば、そのあたりの問題も緩和されるのかなと……。
白川氏:
スキルの変更においては、SP消費量などが変わるものもありますので、そういった面でもより使いやすくなると思います。全部が現在の「デスペラード」と同じような強さになることはありませんが、すべて上方修正を行っていますので、楽しみにお待ちいただければと思います。
栗山氏:
そんな感じで、スキルの変更により、ガンスリンガーのスキルツリーに関しても、いったん見直しが必要だろうということで、大幅に変更となります。
白川氏:
それぞれのスキルの系統が取りやすくなっているのではないかなと思っています。たとえばコインが必要なスキル系統、銃のカテゴリーごとのスキルを同じ系統に寄せたり……といった感じになっています。
――リベリオンのスキルツリーは、武器ごとになっている感じでしょうか。ご用意いただいた参考資料を見るとガンスリンガーの前提スキルが必要になるものも多いですね。
栗山氏:
そうですね。武器系列ごとに、より上位のスキルを取っていくイメージでしょうか。
白川氏:
それと、グレネードガンの弾ですが、今まで「ファイアスフィア」のように属性のついたグレネードガン専用の弾だったものが、ハンドガンなどでも使える統一された弾丸(バレット)になりました。逆に考えると、ハンドガンなどで、属性つきの弾丸が使えるようになったので、スキル自体に変化がないものでも、そのあたりの利便性もかなり向上しているのではないかと思います。さらに、既存の弾丸の重量も見直され、軽くなり、また価格も安くなる予定です。
■多彩なリベリオンスキルを取捨選択して“自分だけのリベリオン”を構築しよう!
白川氏:
さて、リベリオンに関してですが、まずはどんな風に遊んでいただきたいかというコンセプトを立てて考えていたんです。それは、装備している銃によって戦い方そのものを変えてほしいということなんです。というのも、どれもスキルなどの威力だけで考えてしまうと、結局効率のいい1種類に限られてしまうと思うんですよね。
リベリオンになったあとは、それぞれの武器の特徴を活かして遊んでほしいということで、武器によっては異なるステータスが影響するように調整しています。リベリオンの武器では、ガトリングガン、ライフル、ショットガン、グレネードガンには関連する成長ステータスが追加される予定です。
――具体的には?
白川氏:
ステータスによって、威力的な伸びしろが増えると考えていただければいいかもしれません。各銃器の最上位スキルにはDex以外のステータス値が影響しており、そのスキルの威力を最大限に高めたい場合は○○特化型というようにステータスを振っていくという感じです。
――ああ、実に『RO』らしい感じですね。
白川氏:
たとえばショットガン系の最上位スキル、「スラッグショット」は、Strが高いと威力が増加します。
栗山氏:
リベリオンはBaseLvが十分高くなりますので、ステータスポイント的にも余裕が出てくると思います。その中で、自分の使いたい武器やスキルをいくつか選択する感じで、そこに向けてステータスを調整していく。そんな風に“自分だけのリベリオン”を作り上げていっていただければと考えています。
――今までは威力はDexを上げればよかったわけですが、さらに上を目指すために成長ステータスとそれに合わせたスキルをチョイスしていくと。
白川氏:
今までは(Dexを上げてしまうと)あとはダメージ効率のいい武器の問題という感じでしたが、自分のステータスと目的に合った武器を選んでいく必要が出てくるわけです。もちろん、そのステータスを振らないとスキル自体が“使えないもの”になってしまうわけではありません。フラット気味なステータスであった場合、最上位スキルに関しては確かに2極ステータスの威力には負けるかもしれませんが、その他のスキルを使ってオールラウンドに戦うことができます。特に、攻城戦での“役目”には、大きな差が現れると思います。
栗山氏:
これまでは、最大の威力を出せる銃の系統以外は遊びづらいという面があったと思うんです。そういったことを避けるためにも、リベリオンのスキルには、ダメージだけではなく特殊な効果を持つスキルが多いんですよ。なので、シーンに応じて使い分けたくなるような内容になっています。
中でも特殊な効果を持つスキルが多いのは……うーん、ショットガン系ですかね。「シャッターストーム」というのは相手の兜部位を破壊する可能性のあるスキルです。兜部位破壊はあまり多くなく、比較的珍しい効果だと思います。「バニシングバスター」は相手の支援効果を一部打ち消す効果があります。
――セージの「ディスペル」のような?
栗山氏:
まったく同じ効果ではありませんね。「バニシングバスター」には「バニシングバスター」で消せる効果というのが設定されています。シーンに合わせて使い分けると言ったのはそういうことです。また、先ほどもちらっと名前が出た「スラッグショット」ですが、銃のスキルなのに射程が短く、使うためには相手に接近する必要があります。近づいて撃つからには非常に高いダメージが期待できる、モンクの「阿修羅覇凰拳」のようなイメージに近いスキルです。このように、同じショットガンでもそれぞれがユニークな特徴を持っているのがお分かりいただけると思います。
また、ライフル系スキルの「マススパイラル」は相手のDef値によってダメージが増加します。種類としては与ダメージ系のスキルなのですが、相手によって選んで使っていく感じですね。「アンチマテリアルブラスト」というスキルは非常に強力で、相手のプレイヤー耐性を減少させて、与えるダメージを増加させるという効果があります。攻城戦では相手に積極的に使っていきたいスキルになると思います。「ハンマーオブゴッド」は別のスキル「クリムゾンマーカー」でマーキングした相手に、より大きなダメージを与えられるなど、それぞれがショットガン系とはまた違ったスキル効果ですので、やはりシーンに応じて使い分けていく必要がある、使い分けたくなるスキル、というわけです。
▲相手のプレイヤー耐性を減少させるという「アンチマテリアルブラスト」。攻城戦を遊んでいる人にとっては注目のスキルになりそうです。
白川氏:
特殊効果だけの説明をしていますが、もちろん、威力的にも、従来のガンスリンガースキルとは比べ物にならないくらいの高さになっています。
栗山氏:
リベリオンの多くのスキルがプレイヤーvsプレイヤーに特化した能力を持っているんですね。これは開発元の意向だと思っています。クリックした地点に瞬時に移動できるスキルなどもあり、どういった使われ方をするか、非常に楽しみです。スキル一覧を見ていくと、あらゆることができてしまうのではないかと思ってしまうくらい多彩なんです。当然ながら、そのぶん、スキルツリーには縛りがありまして、先ほどの移動スキルを取ると、近距離で使うスキル系は取りやすいけれど、遠距離から攻撃するスキルは取りにくくなるといった感じですね。ですので、その縛りの中で特に強いスキルをさらに使いこなすために、対象となっているステータスを伸ばしていく、といった流れになると思います。特に強力だと想定している4つのスキルがあるんですが、それらを目標とするならば、スキルツリー、スキルポイント的にそのうちの2つくらいは取れるんですね。そこで、どちらのスキルをより使いこなしたいか。そこはユーザーさんの好みで選んでいただければいいのかなと。
白川氏:
修羅っぽいスキルもあれば、ソーサラーっぽいスキルもあるし、一覧を見たらきっと驚かれる方も多いと思うんですよ。
栗山氏:
開発元のスタッフさんの設定をもとに、日本のユーザーさんに好まれるような効果を考えて追加していったら、攻城戦が好きな運営チームのスタッフに「この職業、隙がないですね」と言われたくらい、いい効果のスキルばかりになったと思います(笑)。
白川氏:
多くのスキルをアップデートすると、どうしても「このスキルはどうやったら使っていけるようになるんだろう」ってスキルも出てきてしまうのですが、今回はあまりにも詰め込んでしまったので、「逆にどのスキルも捨てられない」という感じに……(笑)。
栗山氏:
どのスキルを取るか、悩まれると思いますし、そこがまた楽しみになると思うんですよ。
白川氏:
わかりやすいので攻城戦関連のスキルを中心にお話しさせていただいたのですが、もちろん、狩りに特化したスキルもありますので、そのあたりは遊び方に合わせて取得していっていただければと思っています。
――実際には詠唱時間や消費SPなどもありますから、さらに悩ましいことになりますね(笑)。
白川氏:
高火力だったり高回転率だったりと、そのへんもいろいろありますのでお楽しみに。そういえば、先ほどおっしゃったAspdに関してですが、ガンスリンガー系というのは攻撃速度が上げやすい職業でもあるんですよ。もともと「バーサークポーション」が使える職業であることはもちろん、「ガトリングフィーバー」や「マッドネスキャンセラー」といったAspdを大幅にアップするスキルが存在しています。さらにリベリオンになると「ヒートバレル」という、Aspdと威力を上げるスキルが使えるようになってくるので、今まででは考えられない速度と威力での連射攻撃が可能になるんですよ。
栗山氏:
スキル連打で戦う方も多いですが、パッシブで攻撃したときの爽快感を求める方も多いと思うんです。「ヒートバレル」というスキルは……そうですね、例えるなら通常攻撃だけ「エンチャントデッドリーポイズン」がかかっているかのようなイメージなんですよ。
白川氏:
ああ、そうだね(笑)。
栗山氏:
ですので、パッシブ攻撃でもいいダメージを叩き出すことができますし、ハンドガンの「チェーンアクション」というスキルがあらゆる武器で発動するようになる「エターナルチェーン」というスキルもあったりするんですよ。さらに、「チェーンアクション」発動時にモンクの「連打掌」のように追加発動できるスキルもあり、相当な爽快感を期待できると思います。
白川氏:
そこまでいくとハンター系のファルコンのパッシブに近い感じで、ダメージが滝のようにドドドドドと出てきます。そのダメージの威力が「エンチャントデッドリーポイズン」が乗っているかのような状態になりますので……。ここまで火力の出るパッシブはなかなかないと思いますよ。
栗山氏:
ダメージ表示がたくさん出ると、やっぱり爽快感出ますからね。
――ガンスリンガーが好きな人にとってはある種、夢のような……。
栗山氏:
ガンスリンガーのときに比べると考えられないような状態になると思います。
白川氏:
リベリオンになった瞬間に、違う世界に入ったかなと思うかも。
栗山氏:
「クリムゾンマーカー」も面白いスキルになっていますよね。
白川氏:
これは相手をマーキングするスキルなんですが……。
――なんでもミニマップ上にもマーカーが表示されるとか。
白川氏:
なんで知ってるんですか!
千葉氏:
あ、それ前のインタビューでチラッと話しちゃった(笑)。
白川氏:
なんてこった! でもそのマーキングはパーティーメンバーにも共有されるんですよ。つまり攻城戦などで、相手ギルドのギルドマスターをマーキングできてしまえば……ね。
――おお、なるほど。「緊急招集」の警戒がしやすくなると。
白川氏:
もうターゲットになった人はこちらのパーティーメンバーから狙われまくりですよ? そういった感じで、ダメージやデバフ(相手の妨害)といったこと以外の違う形でアドバンテージをつけることも可能になるんです。
■韓国側の開発コンセプトのヒアリングでわかった「韓国ユーザーと日本ユーザーの視点の違い」とは!?
千葉氏:
今回、リベリオンをお届けするにあたって、本当にお時間をいただいてしまって申し訳ないと思っているんですが、そのお時間をいただいた価値があるものになったと思っています。また、今回大きいなと感じたのは開発元も考え方に賛同してくれたということなんです。我々からの意見提示だけでなく、韓国のスタッフさんも一緒になって調整してくれていたということなんですね。
――韓国の情報と比べるとだいぶ変わっていますよね。
千葉氏:
とはいえ、最近はそこまで韓国の先行情報を追いかけている方も多くはないようで、「ここが変わりました」と言っても「そんなこと言われてもわからないよ」と言われるのがオチというか(苦笑)。ですので、「こんな風に遊んでほしいと思っています」という紹介をしてみたり。そもそもいろんな“型”のキャラクターを作っていくというのは日本の『RO』の昔からの遊び方ですので。……でもそこを開発元に理解していただくのが……。
白川氏:
すっごく苦労したんですよ……。
千葉氏:
うん。なかなか理解してもらえなかったんだよねぇ。
栗山氏:
韓国の開発スタッフさんの考え方を聞いてみたところ、例えばAgiのステータスに振っておくと威力が上がるというスキルがあった場合、「Agiに振らなければ最大威力が出ないから、ステータスが縛られてしまい、不自由になる」と考えるそうなんですよ。「ステータスを振る楽しみが減ってしまう」と。そういう根本の考え方が異なっているんですね。先ほど紹介した「アンチマテリアルブラスト」も、韓国では対人耐性をかなり減少させた上で、致死ダメージが出る勢いの強力なスキルになっています。そんな感じで、「これは相手を倒すためのスキルだ」と定義されたものは、対抗策となる手段をはなっから作っていない感じなんですよ。その代わりに、クールタイムや詠唱速度といった“打ちにくさ”の部分で調整すると。
――ああ、なるほど。いくつか思い当たるスキルがありますね。
栗山氏:
ただ、日本のユーザーさん的には、どんなに強力な攻撃でも、対策方法があることで楽しさを見出してくれる方が多い。日本はまず「受け手の気持ち」で考えていく。でも開発元のスタッフ曰く、韓国ユーザーは攻撃する人の気持ちを第一に考えていくのだ、と。そこのズレがすごく深いんですよ。この相違を理解してもらうのは……難航しましたね……。強力な攻撃をどう対策して防いでいくのか。攻城戦でそういう楽しみ方をしている日本のユーザーさんが楽しめないものになってしまうのではないかと。ひとつひとつシーンの例を上げてお話をさせていただいて、なんとか今のスキルのベースができたんです。本当にちょっとずつちょっとずつ、受け入れられた感じなんですよ。
千葉氏:
(栗山は)落ち着いて説明できてすごいなぁ(一同笑)。でも話してみるとシンプルなことなんですよね。攻撃側の気持ちを考えるか、受け手側の気持ちを考えるか。そこに根本的な差があるのがわかりました。ゲーム内で、苦労してレベルを上げたり、アイテムを集めたりして、キャラクターを強くしたわけじゃないですか。そんなに苦労したのに相手が倒せない、となると、苦労する価値を感じられない、と思うらしいんですよ。ヘッドショットで倒せないと成長感も得られない、みたいな感じでしょうか。でも、日本はまず「なんで今やられたんだろう」って考えるじゃないですか。
栗山氏:
遊び方の違いですよね。
白川氏:
開発元には、つまりすべてジャンケンなんですよとお話ししました。どんな強いスキルにも勝ち負けが発生して、それが自然と対策にも繋がるし、致命的な弱点を突いて相手を倒せる場合もある。必ず両方の面が用意されている。
栗山氏:
また具体的な例を出しますけど、ガトリングガンの「ファイアーレイン」というスキルがあるんですよ。これは自分の目の前に向かってドンドンドン、と火柱が出るスキルで、グラフィックのイメージ的には「アースストレイン」みたいな感じのものです。説明を読むと、「効果範囲に触れた一部の地面設置効果を除去する」とあって、一見、効果範囲内のセルの地面効果を消すスキルに思えるんですが、そうではなかったんです。たとえば「ランドプロテクター」の端に当たったら、その「ランドプロテクター」がまるごと消えてしまうんです。
▲効果範囲に触れた地面設置効果を消してしまうという「ファイアーレイン」。インタビューにもあるとおり、効果内容をしっかりと把握しておきたいスキルです。
――えっ。つまり、かすったら消える的な。
栗山氏:
我々は仕様を見たときに不具合ではないのかと思ってしまったんですね。似たスキルに「ガンバンテイン」がありますし、ああいう効果だと思っていましたので。ただ、よくよくお話を聞いてみると、この「ファイアーレイン」では、仕様上どうしても“一部のみを消せない地面設置スキル”も出てきてしまったそうなんです。でも、「ファイアーレイン」の使用者はそこにある地面設置スキルを消したいと思って使ったのだから、「これとこれは例外的に消えませんよ、ごめんね」ということではなく、それならもういっそ消せるものは全部消えるということで統一感を持たせよう、と。これもやはり攻撃側の視点なんですよね。私たちとしては、スキルの効果範囲でないところのスキルまで消されるのはなんでだろうと(受け手側の視点で見ていたので)疑問を持ったわけなんですが、理由を聞いて解決しました。そういった、裏話的なお話もたくさん聞かせていただけて。
――なるほど。確かに視点が違いますね。
栗山氏:
実装される予定のスキルにも、そういった考え方の違いが垣間見えるところもあって、そういったところは、日本でも受け入れられるように、私たちができる範囲で、スキルのディレイを調整してもらったり、クールタイムを調整してもらったりして、日本のユーザーさんに楽しんでもらえるような形にカルチャライズしています。
白川氏:
スキルの内容自体は韓国と同様になると思うのですが、韓国側は先ほどお話ししたとおり、攻撃側の視点で、使ったら倒したい、使ったら消したいという調整になっていて、クールタイムやディレイが大きくなっている感じです。日本のユーザーさんはどちらかと言えばクールタイムや固定詠唱時間といったものが……なんと言いますか、身体に馴染まない感じですよね。ですからどちらかというと高回転率でスキルを連発して遊べるような調整になっています。
栗山氏:
開発元のスキルイメージが“攻撃のためのスキル”でない場合には、日本では攻撃力を抑えめにして何回も使えるようにしています。日本ではAspdや詠唱速度を高めて何回もスキルを使うというのが好まれますので、そういった傾向に合わせてあげたいと。逆に、敵を一撃で倒すためのスキルという場合は、たとえば属性を無属性にして、念属性鎧などで対策できますよとか、強力だけど遠距離攻撃だから「ニューマ」で防げますよとか、回避方法を設定しておくことで、日本のユーザーさんにも楽しんでもらえるようにしています。基本的には開発元さんのコンセプトを残しつつ、日本のユーザーさん向けにはできるだけ回避方法を設定して、それを実践して楽しめるように。
中村氏:
今回の調整で一番気を遣ったのは、開発元のコンセプトをしっかりとヒアリングしたうえで、日本に合った調整を提案するという点なんです。そのせいでお時間をいただくことになったというのもあるんですよ。こちらの目線で見ると「なんか納得いかない」という印象を受けたものでも、実際に話を聞くと「そういう理由なのか」と得心できる。で、その意見を踏まえて「こうしましょう」という提案をしていく。そういう調整のやり方ができるようになってきたかなというところはあります。
白川氏:
先ほど「アンチマテリアルブラスト」が一撃で相手を倒すスキルになっているという話が出ましたが、韓国環境ではロイヤルガードの対人耐性が98%くらいまで上げられるんですね。しかも「ディフェンダー」も使えるので遠距離攻撃も効きづらい。そんなキャラを確実に倒したい。そのためのスキルが「アンチマテリアルブラスト」だったんです。
――なるほど、ロイヤルガードはとにかく硬くという目標に向かっていき、「アンチマテリアルブラスト」はそれさえも倒せるスキルであるというコンセプトになっていると。
白川氏:
ええ。日本ではそこまで対人耐性を上げられませんし、かつそんな耐性を持ったキャラが一撃必殺の攻撃を持っているわけでもありませんからね。「アンチマテリアルブラスト」はその水準に合わせた調整を行っています。
栗山氏:
日本のユーザーさんのことを考えて調整したときに、韓国の、そして世界のユーザーさんはどう思うのか。そう考え始めると、お互いが「これでいこう」と言い合える案を探すのに、とても時間がかかってしまいました。
白川氏:
すでに韓国では実装されているだけに、大幅な修正が入ってしまった際に、韓国ユーザーさん側から見た捉え方としては「大幅な下方修正が入った」と言われてしまいかねません。リベリオンという職業全体的に見ると価値的には上がっていたとしても、現在その遊び方をしている個々のユーザーさんが大きな被害を被ってしまうと、印象が悪くなってしまいますからね。そこの調整も難航したところです。
中村氏:
テストサーバーでお見せできる段階になったら、改めて取材に来ていただいて、実際にテストプレイをしていただければと思っていますので(笑)。
――あ、ほんとですか。ぜひお邪魔させていただきますのでよろしくお願いします(笑)。ひとつ質問なんですが、ガンスリンガーのスキルツリーが変更されるということは、スキルリセットもあるんでしょうか。
中村氏:
はい。スキルツリーに変更がある時点でリセットはあって然るべきだろうと思っていますが、どういったレギュレーションで行うのが最適なのか、詳細を検討しているところです。具体的な内容は追って発表させていただきたいと思っていますので、もう少しお待ちいただければと。
白川氏:
スキルの変更に加えて、リベリオンではステータスによってスキル威力や効果も変わるので、そのへんをいろいろ試してチャレンジできる期間は設けたいなとも思いますし、いい意味でいろいろと悩んで楽しんでほしいなと。
栗山氏:
いろいろと施策を考えていますので、ぜひ楽しみにしていてください。
――期待しています。しかしリベリオンは予想以上にいろんな遊び方ができそうですね。……っと、だいぶ話が長くなってしまいましたが、調整に関する裏話は『RO』プレイヤーにも知ってほしいところですし、全部書かせていただこうと思います(笑)。
■「深淵の回廊」第2回がいよいよ開催! 超高難度エンドコンテンツの難度は……さらに上がる!?
中村氏:
そんな感じで、育成イベント、精錬イベント、リベリオンの実装と、キャラが強くなるイベントやアップデートが続いたあとで、お待ちかねの「深淵の回廊」の第2回を実施したいと思っています。
――おお、ついにきますか。
栗山氏:
まずは、私のほうから、前回の反響などをお話しさせてください。当初、前回の「深淵の回廊」では、ラストのメモリアルダンジョン「深淵の王墓」までクリアできるパーティー数は、1ワールドあたり5~10パーティーくらいだろうと想定していました。それがうまく着地した感じで、実際には1ワールドあたり、約7パーティーがクリアしていたんですね。で、次の「深淵の回廊」に関しては、より強い敵が出てくるようにしようかと考えています。
――えっ!? 1ワールドで7パーティー程度しかクリアできなかったのに、より強い敵が出てきちゃうんですか?
白川氏:
それがですね、意外にも運営チームに挑戦状みたいなものが来ていまして。
――挑戦状!?
栗山氏:
そうなんですよ。「運営チームが過去最高難度なんて言うからどんなものかと思ったけど、初見クリアでした。次回開催時には作業ゲーです」って(苦笑)。
――いやいや。誰ですか、そんな余計なこと言ったのは!?
栗山氏:
そう言われたら、もう次回も“楽しんでいただくしかない”でしょう、と(ニッコリと笑顔)。
白川氏:
栗山の背中から何かドス黒いものがゴゴゴゴッと出ている気がしますよ(笑)。
栗山氏:
はっはっは。もちろん、よりよい報酬をご用意させていただく予定ですよ? まぁ、正直なところ、みなさんいろいろな目標を持ってゲームをプレイされていると思うのですが、キャラクターが強くなっていくことで、「深淵の回廊」のボスを倒すというのもそんな目標のひとつとして楽しんでいただければと。それに、同じボスを倒すってことだと、結局あとはタイムアタック的な楽しみ方になってしまうじゃないですか。
――まぁそれはあるかもしれません。
栗山氏:
「深淵の回廊」は、“そのときに攻略してやるぜ”という感じで楽しんでいただきたいかなと思うんです。たしかに、今おっしゃったように、「1ワールドで7パーティーしかクリアしていないのにさらに強いのが出るの?」というご意見もあるとは思うのですが、そういった意図があって作っているということもご理解いただければと。ですから、今回も難度は維持で、1ワールドで7パーティーくらいがクリアできる想定で……いや、もしかしたら2パーティーくらいかもしれませんけど……。
――難度はけっして下がらないぞ、と(苦笑)。
栗山氏:
はい。というか……上がる?
――上がりますか(苦笑)。
栗山氏:
前回クリアできなかった方に関しては、前回のラスボスである「古王グローザ」とも戦えるように検討していますので、まずはそちらにチャレンジしていただいて、それがクリアできたら、さらに上を目指せるという感じになると思います。
白川氏:
まさに、より高みを目指していただける内容になっているかと。
栗山氏:
前回「余裕だったぜ」ってご意見を送ってきていただいた方たちが「ギリギリだったぜ」という感想を抱いていただければ「ああ、楽しんでいただけたんだな」と思えますので。難しいコンテンツに関しては、「次はちょっと難度を下げて中間のレベルを実装しようか」というのが普通の流れなんでしょうけど、たくさん挑戦してくれた方にも、より楽しんでいただきたいなという思いもあるんですよ。
――たしかに、ギミックがわかっている方にとっては「また同じことをやればいいから、次は楽勝でしょう」と呑気に構えている部分はあると思うんですが、まさかそう来るとは……。「深淵の回廊」というイベントは、プレイヤーに対する挑戦状って感じなんですね。
栗山氏:
はい。常に挑戦状を叩きつけていきたいです(笑)。
中村氏:
あの、ちょっと待って。前回遊んでいただいた方はご存知だと思いますが、初めての方に超高難度コンテンツのみだと思われてしまうと困るので補足させてください(笑)。「深淵の回廊」イベントそのものに関しては、ソロで遊べるところもありますし、パーティープレイが楽しめるところも用意されています。とても幅の広い遊びができる内容になっていますので、そこは活かしつつ、トップを狙う方は「深淵の王墓」などで強敵とも戦えるよ、ということで。
――そういえば、前回はイベントのポイント交換もあって、消耗品の「エルヴィラキャンディ」が大量に産出されました。次回の「深淵の回廊」では「エルヴィラキャンディ」は「エルヴィラ」からのドロップのみになるのでしょうか。
栗山氏:
前回の「深淵の回廊」では「エルヴィラキャンディ」をドロップするのは、ボスを除くと「エルヴィラ」だけでしたが、次回の開催時には討伐を行う4つのダンジョンそれぞれで「エルヴィラキャンディ」をドロップするモンスターが設定される予定です。ですので、自分に適した狩場で戦うだけでも「エルヴィラキャンディ」が手に入るはずですよ。そんなわけで、釣りイベントのような要素は今回は実施される予定はありません。
中村氏:
そろそろ「エルヴィラキャンディ」の在庫が気になっているギルドの方もいるようですからね。
――まだまだ露店で売っている方は見かけますが、価格が徐々に上がってきているような気もしています。この発表で相場がどう動くのか、ちょっと楽しみかもしれません(笑)。ところで、気になる開催時期ですが……。
中村氏:
まだ細かい日程は調整中ですが、「深淵の回廊」は6月に開催を予定しています。5月にリベリオン、6月に「深淵の回廊」ということで、夏前までの大きなアップデート、イベントはそんな流れになります。まずは、現在行われているイベントで自分のキャラを鍛えていただき、あとからやってくるチャレンジ系コンテンツに挑んでみてほしいという感じです。あ、そうだ。春のイベントで天地無双シリーズを入手しておくと「深淵の回廊」で有利に戦えると思いますよ!
――む。それは気になる情報ですね。……しかし、年末のインタビューでは2016年はあんまり頑張らないみたいなことをおっしゃっていましたが、結局毎月大きめなアップデート&イベントがきていますよね。
長澤氏:
そうなんですよね。ヘタをしたら毎月のボリュームは昨年よりも大きいんじゃないかってくらいなんですよ。まだ言えませんが、今後もいろいろありますし……。
千葉氏:
だって、毎月新しいことをやりたいじゃない? 嬉しいことですよ、毎月やることがあるっていうのは。
長澤氏:
まぁたしかに嬉しいんですけどね。問題は、スケジュール的にどこに入れようかって悩むことなんです(笑)。
千葉氏:
でもあまり新しいことをやらない週というのも、昨年に比べれば多くはなっているんですよ。
栗山氏:
週単位で見るとたしかに。でも前後のイベントやアップデートのボリュームを見ると、あんまり減っていない気もしますね(苦笑)。
――最近のぷちイベントは全然“ぷち”じゃない気もしますし(笑)。「ポ桜」退治なんて期間も長いし、キャラもぐんと成長するし……。
中村氏:
あれは「ポ桜」をぷちっと潰すからぷちイベントなんですよ。
――えっ、その「ぷち」なんですか!?
千葉氏:
いやそれは冗談ですけど(笑)。季節イベントの合間ですから、多少ボリュームがあっても一応ぷちイベントということで……。まぁそんなわけで、今後の予定などに関しても、できるだけこうした発表の機会を作っていけたらいいなと思っているんです。だいたい四半期ごとに1回くらい、近い将来のアップデートなどをお話しさせていただけたらいいなと。
中村氏:
もちろん、毎年恒例になっている季節イベントなどは今年も進めていきますので、それはそれとして、また夏前くらいにこうしたインタビューの機会を設けさせていただければと考えているんです。
――おお、それはぜひよろしくお願いします。本日はいろいろお話しいただき、ありがとうございました。
▲お見せいただいた資料には、あくまでも参考用ということでしたが、リベリオンのスキルツリーなどもあったり。近いうちにテストプレイさせていただけそうなので、詳しいことはそのときに取材予定です!
昨年のインタビューなどでも、韓国の開発元との協議に関して、徐々に変化が生まれているというお話をうかがっていますが、今回のリベリオン実装に関しては、韓国ユーザーに合わせた考え方と日本の考え方との差がより明確にわかった感じでした。韓国ユーザーは「攻め手の視点」、日本ユーザーは「受け手の視点」というのは非常にしっくりくる言い方だと思います。
その両方からの立脚点を探っていった新職業リベリオンの実装日も見えてきて、期待が高まる今後の『RO』。コアユーザーには運営チームからの挑戦状である「深淵の回廊」も待ち受けていますので、初夏にかけて再び熱い戦いが期待できそうです。その頃、私自身はソロで金策用の「エルヴィラキャンディ」を集めていそうですけど(笑)。