2017年の大まかな施策の流れをうかがった『ラグナロクオンライン』運営チームへのインタビューから約2ヶ月。今回は、2017年夏ごろまでのより詳しいイベントやアップデートの情報を『RO』プレイヤーさんにお伝えしてほしいとのことで、再びインタビューのご提案をいただきました。もちろん引き受けないわけがありません。ということでまたもやガンホーさんにお邪魔し、『RO』運営チームの方々にお話をうかがうことができました。


 ご対応いただいたのは、ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社、『RO』運営チームの長澤誠吾氏、中村聡伸氏、そして山本兼寛氏のお三方。基本的には近い将来のイベントやアップデートのことがメインですが、過去から現在に至る『RO』の状況や、ちょっと遠い未来の『RO』の話なども話題になっていますので、現役プレイヤーはもちろん、復帰プレイヤー、そして復帰予備軍の方々にもぜひ読んでいただきたい内容になっていると思います。相変わらず今回も若干長めのスタイルですが(笑)、ご了承願います。また、それぞれ予定のものも含まれていますので、実装時にはインタビューの内容と異なる場合があります。こちらもあわせてご理解願います。


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▲左から中村聡伸氏、長澤誠吾氏、山本兼寛氏。「インタビューの写真を見直してみたら、我々いつも同じ感じだったんですよね~」とのご意見を踏まえて今回は着席した状態でパシャリと。長澤氏曰く「おっ、ニュース番組みたいですね(笑)」。



■2017年1~3月期を振り返り、今だから言える裏話なども……?


――今回はよろしくお願いします。「週刊ROチャレンジ!」としては昨年末、そして1月にインタビューをさせていただいた関係上、あまり久々という感じではありませんが。


中村聡伸氏(以下、中村氏):


 そうですね。1月に2017年のマイルストーンを提示させていただきましたが、今回はここまでの状況や、直近のイベントの予定などの情報をユーザーさんに知ってもらいたいと思い、「週刊ROチャレンジ!」さんにお声をかけさせていただいたんです。


――なるほど、ありがとうございます。ではまずはこれまでの実装コンテンツやイベントなどに関して、運営チームからの視点で振り返っていただけますか?


中村氏:


 まずは以前のインタビューではお話しできなかった「CHUNITHM AIR PLUS × RO スペシャルコラボ」からお話ししましょうか。企画自体は弊社のほうからセガさんに持ち込みをさせていただいたんですが、実はお互いのゲームを好きな人が両社にいたというのも関係しています。ウチでは特に千葉(千葉亮一氏のこと)が『CHUNITHM』シリーズが好きで、前からプレイしていたんですよ。セガさんにも『RO』を好きな方がいらっしゃいまして、コラボの話がトントンと進んでいった感じですね。


 で、一部で話題になった筐体を叩く(倒す)という案に関しては、セガさん側からの提案で、けっして我々が筐体を叩きたいですと言ったわけではないとご理解いただきたいです(笑)。


――公式ブログでもチラッとそんな話題が出ていましたね(笑)。


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▲『CHUNITHM AIR PLUS』と『RO』のコラボは低レベルキャラの育成にも便利で好評でした。イベントでもらえた頭装備も、最大までエンチャントすれば3次職になっても一線で使えるレベルの高性能品でビックリ。


中村氏:


 セガさん側からは「ぜひ筐体に阿修羅覇凰拳を打たせてください!」と言われまして、それならやっちゃいましょうと。『CHUNITHM AIR PLUS』内の称号についても「阿 修 羅 覇 凰 拳」とか「しょうがないにゃあ……」とかお互いにいろいろ案を出して決定されました。


 あとは、本格的にTwitterのハッシュタグを使ったゲーム内連動のキャンペーンも開催させていただきました。


――ハッシュタグ数に応じてワールドボーナスが随時アップしていくというヤツですね。


中村氏:


 はい。実はみなさんのツイートに関しては、運営チームの想定よりも1.3倍くらい早いペースで進みました。初めは、週末で達成して週明けからボーナス最大モードかなと考えていたんですが、フタを開けてみると週末にはもう達成されていて、ユーザーさんの力ってスゴイなと改めて驚かされました。ハッシュタグと関係ない内容のつぶやきをしている人もあまりいなくて、内容を伝播させるということに関しては成功したのかなと。


 Twitterって、『RO』が始まった当初には存在しなかったツールなので、ユーザー層と重なるところはそれほど多くはなかったんですが、最近は増えてきています。そういう背景もあってやってみたという経緯なんですよ。


――週末にドロップ率を上げたいと頑張ってつぶやいていた方も多かったですし、このためにTwitterのアカウントを取ったという方もいらっしゃったみたいですね。で、その流れで「ラグ・コレ2017」の「ROコーデコンテスト2017」に繋がるんですか?


中村氏:


 そうなんですよ。今回は専用フレーム(ゲーム内のウィンドウ)にキャラクターを収めてスクリーンショットを撮影してそれを添付するという内容になっています。


長澤誠吾氏(以下、長澤氏):


 かなり投稿数も多く、このインタビューの時点で2400件は超えています。『RO』ってドット絵キャラにもかかわらず、しかもドレスアップできる場所が頭装備の上段、中段、下段と肩にかける物の4箇所だけなのに、エクストラカラーやセカンドコスチュームなども含めるとかなり可愛いキャラにコーディネイトできたりするんですね。我々が投稿された画像を見ていても「ああ、こういうコーディネイトがあるのか!」と改めて驚かされる組み合わせも多いんですよ。


 それに、Twitter上やブログなどで、ユーザーさん同士が「それ可愛いね」「あれもいいね」と語り合ってくださっているのが嬉しいですね。こういった連動というのはあまりなかったですからね。


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中村氏:


 今まで画面全体を使ったスクリーンショットコンテストというのはやったことがあったんですが、今回はあのフレーム内での勝負です。こういったコーディネイトを競うコンテストというのは初めてになります。ひとりでたくさん投稿していただいている方もいて、かなり好評ですね。そのぶん審査が大変そうだなと……(笑)。


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▲イベントでもらえるアイテムを使うと『RO』のゲーム画面上に外枠のウィンドウが出現。キャラクターの位置に合わせてこのウィンドウを動かし、右枠に装備ウィンドウをドラッグすればエントリーシート的な画像が完成します。


――最初はカートをつけたままだったりとレギュレーションから外れている投稿も多く見かけられましたが、後半になるにつれてみんな慣れていった感じはありますね。


中村氏:


 コーデだけで勝負ということだったので、若干厳し目なルールになってしまいました。ただ逆に、投稿する際の注意点などをブログにまとめてアップしてくださっている方もいらして、ありがたいなぁと。


 そんなこんなで、2017年に入ってこれまでの3ヶ月はいろいろな新しいことにもチャレンジしつつ、ゲーム内はゲーム内で楽しんでいただけるものを実装していけたかなという感じで受け止めています。


 ちょうどイズルード&ゲフェンのマップ調整とハッシュタグコンボキャンペーンが重なって経験値がすごいことになっていましたけど(笑)。


――「CHUNITHM AIR PLUS」とのコラボで初心者の方も入ってきていて、「変更されたばっかりの伊豆が美味しいよ!」とオススメされていたりしましたね。


中村氏:


 通常フィールドでワイワイと狩りをする、通りすがった方に辻支援をもらうなど、そういうところも楽しみのひとつだと思います。実は、配置変更に関しても……次って5月くらいの予定でしたっけ?


山本兼寛氏(以下、山本氏):


 そうですね。一応今のところは5月予定ですが、確定ではないので変更になったらごめんなさい。


――わかりました(笑)。ところで、これまでの新規コンテンツでは「夢幻の迷宮」も外せないところだと思いますが。


中村氏:


 こちらも非常に好評でしたね。


――「ミラージュシリーズ」と「ディーヴァシリーズ」が一気に産出されましたね。


長澤氏:


 はい。ダンジョンの奥まで行くとかなりの数が手に入りますからね。倉庫をかなり圧迫させているかもしれません(笑)。


――サブ倉庫3が実装されるまでは「もう売らなきゃどうしようもないぞ」という感じで露店が山のように……。


中村氏:


 そのおかげもあって、まだ「夢幻の迷宮」に行けないという方にも各種装備が広がったりして。ちょうど植竹さんもそうですよね。


――はい。まさに私がそのレベル帯で(笑)。ニッチなところにいる自覚はあるんですけど、「ディーヴァシリーズ」と「ミラージュシリーズ」はいろいろ楽しませていただいています。


中村氏:


 そろそろ装備制限のある「封印の迷宮」もクリアされ始めていたりします。いろいろと隠し要素もバレつつあったりして……。


――ボスによってドロップしやすい武器種やランダムエンチャントの傾向があるらしいという噂が聞こえるようになってきていますね。


中村氏:


 詳しくは言えませんが解明されつつありますねー。先行調査期間では毎日挑戦されていた方も多いのですが、まだまだ攻略のしがいがあるダンジョンになっていますよ。「迷宮の魔力結晶」を溜めていただければカード分離なども行えますし。


――カード分離が話題になったおかげで、ランダム報酬の試行数が少なめみたいで、どんなレアアイテムがもらえるのかがあまり情報が流れてきませんね。そのあたりも今後のプレイ次第という感じですよね。


中村氏:


 はい。今はまだカードを分離させたい装備が多い状態だと思うんですよ。「夢幻の迷宮」に関しては、そういった感じで高レベル帯のプレイヤーさんに楽しんでいただけているのかなと。


 一方でさきほども話題に出たサブ倉庫3もなんとか実装することができました。システムの関係上、どうしても600種類という上限はアップできなくて、倉庫自体を追加するという状態にしかできないのがちょっと心苦しいのですが……。倉庫を2個同時に開くというのも難しくて、倉庫移動にはいったんアイテムを所持するという作業が発生してしまいます。そのあたりは簡易倉庫を実装するなどして、できるだけ手間を減らすようにはしているのですが……。


――とはいえ、まさか倉庫追加がくるとは思っていなかったので、だいぶ楽になりました。


中村氏:


 「夢幻の迷宮」が実装されたおかげで、アイテム数が一気に増えてしまいましたからね。


――もともと衣装装備も増え続けていましたから「そろそろヤバいぞ」というタイミングで。


中村氏:


 はい。そしてシャドウチェイサーのセカンドコスチュームも実装されまして、なんとかこれまで有言実行な感じで進めてこられました。


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■今年も開催される精錬イベント「春祭り(仮)」に備えよ!?


中村氏:


 ということで、ここからは今後の予定になりますが、いよいよ春も間近ということで、春と言えばみなさんお待ちかねのイベントがあるんじゃないかと思います。


――春……恒例のアレはやっぱりあるんですか!?


中村氏:


 ええ、2017年4月25日(火)から「春祭り(仮)」というのが予定されていまして、これはいわゆる精錬イベントになります。


――おお!


長澤氏:


 今回は精錬イベントを前に、そこで叩くための装備を持っていない人にもいろいろ入手してもらいたいという考えから、ぷちイベントとして「春祭り準備イベント~ススメ陰陽師調査団~」2017年3月28日(火)の定期メンテナンス終了後から開催します。これはぶっちゃけてしまうと「丸太祭り」+「クルーズ紀行」(編注:どちらも過去に『RO』内で行われたイベントの通称)です。


――若干ぶっちゃけすぎていますがわかりやすいですね(笑)。つまり、低レベルキャラのレベルアップイベントとメモリアルダンジョンを絡めた各種ボーナスがもらえるイベントってコトですか。


長澤氏:


 強敵ボスモンスターとそっくりな姿をしたとても弱いモンスターの討伐クエストをクリアするごとに、クリア経験値はもちろん、BaseLv100以上だとさらに精錬などに関係のある各種アイテムなどももらえるようになっています。


中村氏:


 今回は、対象となる特殊なモンスターは、メモリアルダンジョン以外の通常フィールドにも出現しますので、まだメモリアルダンジョンに行けない低レベルキャラクターでも進めることが可能です。


長澤氏:


 対象モンスターは週替りになっていて、全部で3週に渡って最大15回の報酬がもらえます。もちろん報酬経験値はある程度分割で受け渡されるので、低レベルキャラでも安心だと思います。


中村氏:


 それと、このイベント開催中はメモリアルダンジョンの入場制限レベルが一時的に引き下げられる予定です。たとえば1週目は「古のグラストヘイム」および「古のグラストヘイム(ハード)」、「フェイスワームの巣」の入場制限がBaseLv100以上になります。


長澤氏:


 2週目は「ホラーおもちゃ工場」の入場制限がBaseLv100以上に引き下げられたりするので、レベルアップしたい方にはありがたいのではないかと。


――なるほど。BaseLv100を越えたあたりのキャラクターだと一番恩恵を受けられる感じですかね。


中村氏:


 そうですね。追加でアイテム報酬がもらえるようになるのもBaseLv100以上なので、お得なレベル帯だと思います。前述した特殊モンスターを倒して経験値報酬をもらい、期間内にBaseLv100以上を目指していただくという感じですね。そして、このイベントではお待ちかねの精錬イベント「春祭り(仮)」のイベント用のポイントも先行で手に入ります。


――昨年の「ポ桜」討伐(「サクラサク!!~新キャラ育成祭 in 旧フェイヨン~」)と「猫船長と行く、夏休み豪華クルーズ紀行」を組み合わせ、さらに先行して春の精錬イベントのポイントをもらえる、と。


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▲2016年3月の「サクラサク!!~新キャラ育成祭 in 旧フェイヨン~」では、巨大だけどとても弱い「ポ桜」が大量発生し、1日3体倒すだけでかなりの経験値報酬がもらえました。


中村氏:


 はい。昨年体験していただいた方はおわかりになると思いますが、先行してポイントを稼げていると、イベントが始まって即精錬に挑戦できるので、より楽しめると思うんですよ。


 で、この「準備イベント」から「春祭り(仮)」まで、1週間、期間が空くのですが、そこで「夢幻の迷宮」の調査強化週間を実施します。具体的には、2017年4月18日(火)の定期メンテナンス終了後から4月25日(火)の定期メンテナンス終了前までですね。


――調査強化ということは、「夢幻の迷宮」がまた1日1回行けるようになる!?


中村氏:


 はい。こういったイベントは定期的にやりたいと考えています。7日に1回だと「迷宮の魔力結晶」を溜めにくいという状況もありますからね。それと、実は「春祭り(仮)」ではメモリアルダンジョンのクリアでポイントが入手できる関係上、メモリアルダンジョンの生成回数が多くなるんですね。なので、春祭り期間中は「夢幻の迷宮」が一時的に閉鎖される予定なんです。


――なるほど。以前インタビューでうかがった負荷軽減のための一時閉鎖ですね。ちょっと閉鎖する代わりに、その前には「夢幻の迷宮」へ行きまくれるという感じですか。


中村氏:


 はい。ここで「迷宮の魔力結晶」などを先にゲットしていただければと。


――精錬イベントに関連して確認したいのですが、昨年は特殊な精錬の仕様の穴を突いた不正が行われ、プレイヤー間でも大きな話題になりました。


長澤氏:


 はい。昨年はご迷惑とご心配をおかけして申し訳ありませんでした。深くお詫び申し上げます。今年度はプログラムに改修を入れて、十分な対策を取っています。


中村氏:


 あれは負荷の問題も少なからず関係していました。その点で言えば、今回のイベントはなるべく負荷がかからないように調整を行っています。

長澤氏:


 あとひとつ注意点というか……。仕様の穴がないかどうか、検証目的で試すプレイヤーさんもいたりするのですが、気になる挙動を見つけた場合は絶対に試したりせず、ヘルプデスクなどからご投稿されるようにお願いいたします。運営チームにて調査いたしますので。


――不正かなと思ったら運営チームに報告だけして自身で試そうとしないようにというのは、どこのオンラインゲームでもよく言われることですよね。今年はカード分離も実装されて、リストア精錬などがあまり重要ではなくなりましたし、昨年の不正行為絡みで精錬イベントはないのではないかという声もあったので、一応確認させていただきました。


山本氏:


 あー、それで言うと、カード分離システムとリストア精錬や合成精錬って別物だと思っているんですよ。カード分離はカードも装備もどっちも大事なアイテムに利用するものだと思います。一方、合成精錬には武器レベルの制限などもありますし、元が壊れても構わない、いわゆる微妙装備に挿してしまったカードを使える装備に移すということで、もっと気軽にできる特殊精錬なんですね。


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▲2016年の春の精錬イベント「ラヘルにおいでよ! フワルのお気楽精錬(かんかん)らいふ」の様子。


中村氏:


 「迷宮の魔力結晶」800個とか、「特製ネコ缶(マグロ)」を使うほどのものではない装備用とでもいいますか。


山本氏:


 用途としてはまったく別物かなぁと。


――ああ、たしかにそうかもしれません。イベントのポイントだけでできるので、そこまで構えなくても利用できる。差別化が図られているというわけですね。


■2017年5月には5年振りの開催となる新生「蜃気楼の塔」も!?


長澤氏:


 4月はそんな感じでお楽しみいただいて、次は5月になるのですが、実は2017年5月16日(火)の定期メンテナンス終了後から、久々となる「蜃気楼の塔」イベントを開催する予定です。


――えっ、「モンスターハウス」や「夢幻の迷宮」が実装されたので、もう「蜃気楼の塔」はないんじゃないかと勝手に思っていたのですが、そうじゃないんですね。


長澤氏:


 「夢幻の迷宮」は1パーティーで挑戦するものですが、「蜃気楼の塔」は見知らぬ人と大人数で攻略していくものですからね。MMORPGらしい楽しさを味わうことができると思うんです。そういった背景からか、「蜃気楼の塔」を望む声も多いんですよ。


 今回、精錬イベントで強力な装備を作って、そのお披露目というか(笑)、そういった装備を使って攻略していただければなと考えています。今回はダンジョンの内容も高レベル向けに構築しなおしていますので、以前とは別物になっています。……以前ってもうずいぶん前ですけど。


山本氏:


 最後の蜃気楼の塔はリバイバルで、さらにその前に作られた「蜃気楼の塔」に手を加えた物を再演していた状態でした。元となった塔はBaseLv99が上限のときのもので、開催期間ギリギリでクリアできるかどうかというバランスで構築していましたが……リバイバル時はBaseLv上限が150になっていて、当時のプレイヤーさんたちのキャラクターと比べても少し物足りない状態でしたね。もちろん、今回は歯応えのあるダンジョンになっていると思いますよ。


 「蜃気楼の塔」のルールは、基本的にはセカンドコスチューム体験ワールドの「幻の遺跡」と同じではあるんですが、「幻の遺跡」は、自分のキャラクター、自分の持っている装備では挑戦できません。通常ワールドで、自分のキャラクターで挑めるというのはまた新鮮な気分だと思います。


――というか、「蜃気楼の塔」が以前行われたのって何年前でしたっけ……。


中村氏:


 10thアニバーサリー記念でリバイバルされたのが最後なので約5年前ですね。


――5年前!


長澤氏:


 ですので、今回初挑戦という人もいるかもしれません。


――「モンスターハウス」とは違ってやられたら復帰することができない関係上、どんどん減っていく仲間でラスボスを倒して登頂するというのは、1回1回の挑戦でドラマが生まれますよね。未体験の人にはぜひ体験してもらいたいですね。


■以前にも増して大型パワーアップして帰ってくる「深淵の回廊」


長澤氏:


 そして、続く2017年6月にはいよいよ「深淵の回廊」が実施されます。前回のインタビューではドロップアイテムを追加するなどの調整を行うとお話しさせていただいたのですが、担当の栗山(栗山知也氏のこと)のほうが頑張っていまして、さらにメモリアルダンジョンが追加される予定になりました。


――ええっ!?


長澤氏:


 新ダンジョンは「古王グローザ」または「深層の古王グローザ」を討伐した方のみが入れるもので、道中に隠し部屋や、その隠し部屋へ行くためのスイッチなどが点在しています。道中、分かれ道でパーティーを分割して左右の道に進んでいく……なんてシチュエーションが発生することもあるんですよ。


――前回はボス戦の中でのギミックを解明するという内容はありましたが、今回はダンジョンで謎解きにチャレンジ! という感じでしょうか。なかなか熱い展開になりそうですね。


山本氏:


 「古王グローザ」戦のギミック解明とはまた違って、今回のダンジョンにはいろいろ仕掛けが用意されています。例えば攻略には直接関係ないのですが、特定のステータスが一定値以上だと扉が開いて、その先に進むと宝物庫があったり……。


――いやそれ攻略にめっちゃ関係あるじゃないですか(笑)!


山本氏:


 あ、そうか。えーと、ダンジョンのクリアには直接関係ないって意味です(笑)。さきほど長澤が言ったパーティー分割に関しても、みんなで左を進んでから右に戻るというやり方でも進むことはできるんです。ですが、分散して行ったり、特定のステータスのキャラを連れて行ったりすることでより楽しめる作りになっているんですよ。


長澤氏:


 新アイテムもありますよ。既存のモンスターのドロップアイテムも増やしますし。


中村氏:


 あとは、カードの破片みたいなアイテムもポロポロ落とすようになっているので、それを集めることで新規に実装されるカードが入手できてしまうんですよ。全部で14種類だっけ?


山本氏:


 12+2種類ですね。


――あれ? 「深淵の回廊」ってもともとカードは実装されていますけど、そんなにたくさんありましたっけ?


中村氏:


 あ、モンスターがドロップするカードではなくて、12種類というのは破片から作り出す新カードなんですよ。


山本氏:


 昨年末のアニバーサリーイベントで星座のエンチャントがあったと思うのですが、あれと同じような感じで、欠片を集めて作り出すカードが12種類。それに加えて新たにモンスターがドロップするカードが2種類あって全部で12+2種類となります。


中村氏:


 うっかり14種類と漏らしてしまいましたが……いいか! カードの破片の取引や売買も可能になりますので、そういったことも含めて長く楽しんでいただけるのではないかなと。


長澤氏:


 「深淵の回廊」自体はコンテンツが減少するわけではないので、前回までの「深淵の回廊」の要素に新たに楽しめる内容が加わっています。


山本氏:


 ええ、削った内容はありませんね。


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――以前のように中~高レベルの狩場としてレベルアップも臨めるし、「古王グローザ」などにも挑める。そのうえで、今回お話しいただいたような新メモリアルダンジョンやカードなどが追加されると。……どんどん巨大イベントになっていきますね(笑)。


山本氏:


 そうですね(笑)。


中村氏:


 テーマパーク化している感じです。とはいえ、参加されるみなさんの状況に応じた遊びを楽しんでいただければいいのではないかなと。これまで体験したことのある「深淵の回廊」内での狩りだけでも、新規ドロップアイテムが加わったりするので、新鮮な気持ちで遊んでいただけると思いますよ。


■レベル上限解放と「エピソード:テラグローリア(仮)」は7月に同時実装予定!


長澤氏:


 そして2017年7月には次のエピソードアップデート「テラグローリア(仮)」を実施し、その同日にBaseLv175までのレベル上限解放も行いたいと考えています。


――同時にアップデートされるんですね!


長澤氏:


 はい。エピソードを進めていくことで解放されるコンテンツをBaseLv175まで楽しめる内容にしようと考えているんです。まだ調整中なので一例ですが、例えばBaseLv165以上で楽しめるメモリアルダンジョンであったり、BaseLvが上がるごとに強くなる装備などを考えています。そういった感じで、レベルを上げる楽しみを提供できればと考えています。


 ですので、まだBaseLv165のキャラがいない方は「深淵の回廊」などでBaseLvの底上げを行っていただいたり、すでにBaseLv165のキャラがいらっしゃる方は別の職業のキャラクターをBaseLv165まで育てるなどして、新エピソードに備えていただければと思います。


 ちなみに「エピソード:テラグローリア(仮)」では新ストーリーはもちろんのこと、新たなエンチャントなども予定していますし、新メモリアルダンジョンの追加も予定しています。「Episode:Banquet For Heroes ~七王家とユミルの心臓~」に負けず劣らずの内容盛りだくさんでお届けできるように頑張っています。


山本氏:


 以前もチラッとお話ししたと思うのですが、レベル上限解放については予定通りに経験値テーブル、つまりレベルアップまでの必要経験値が厳し目になる予定です。その代わり、BaseLv165以上のメモリアルダンジョンを楽しむことでレベルアップを図れるようにしつつ、「エピソード:テラグローリア(仮)」で追加される予定の通常フィールドでも稼げるようにしたいと思います。そんな感じで、レベルアップを目指すためのコンテンツは多数導入されていきます。


 それと、さきほども長澤が言いましたが、レベルが上がるごとに強くなるという装備もポイントだと思います。BaseLv165で装備はできますが、そこからBaseLvを上げることでより強くなっていくというものを考えているんですよ。


 現在BaseLv165のキャラを多数持っている方などはデスペナルティが痛いという感覚からはしばらく遠ざかっているかもしれませんが、そういった緊張感も再び味わえると思いますので、その点もお楽しみに……(笑)。


――ひとつ気になった点があるのですが、BaseLvが175まで上限解放された場合、「夢幻の迷宮」への入場はどうなるのでしょうか?


長澤氏:


 「夢幻の迷宮」はカンストキャラ向けに調整されていますのでレベル上限が引き上げられた際にはそれにともない入場条件も引き上げられるようになっています。実は実装時からゲーム内でも案内は出していたりするんですよ。


――あ、ゲーム内告知があったんですね。見落としていました。ということは、上限解放後は「夢幻の迷宮」はちょっとの間お預けって感じですか。

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▲入場条件を満たしていないキャラではプロンテラからは転送してもらえませんが、「ゲフェン地下ダンジョン B3F」のワープリンクから移動すると「夢幻の迷宮」の前に来ることができます。ちなみに、入場条件を満たしていないキャラで「兵士長アヴェリン」に話すとこんなインフォメーションが出ます。


長澤氏:


 エンドコンテンツである「夢幻の迷宮」に行けるようにするというのも、レベル上げのモチベーションのひとつという感じでしょうか。それから、「エピソード:テラグローリア(仮)」実装後には恒例の夏イベントも予定しています。


中村氏:


 夏イベントでは誰がメインNPCとして登場するのか、楽しみにしていただければと思います。最近はボンバスの孫娘ことレリューナさんが結構目立ってきていますが。


――ちっちゃくなってしまったあと、しばらくあのままでしたよね。それ以降姿を見ていないのでどうなったのかわかりませんけど(笑)。


中村氏:


 そして、夏イベントのあとくらいに、1月にお話した「業績システム」を導入できればと考えています。こちらは……8月から9月くらいになるかなという感じですね。


長澤氏:


 後半はざっくりとしていますが、夏までの大きな予定としてはそんな感じですね。とはいえ、「エピソード:テラグローリア(仮)」実装前あたりにはまた取材に来ていただく機会があるのかなとか考えていますが(笑)。


――はい。ぜひまたお願いします(笑)!


■年内を目標に進められている「ドラム族」と、期待の「ロビーワールド」続報は?


長澤氏:


 それと、2017年の予定になんとか入れたいけれどまだちょっと未確定という案件もありまして、そのあたりのお話をさせていただければと思います。ひとつは「ドラム族」についてです。ドラム族(編注:ネコの姿をした『RO』初の“新種族”のプレイヤーキャラ)については現在、弊社のテストサーバーで動作確認などを進めています。目標としては年内の実装を目指しています。


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▲『RO』オフィシャルイラストレーターの雄一郎氏が描いたドラム族。


――新職業などが実装される際にはいろいろと検証作業が発生したり、思わぬ修正が発生して遅れるというのはこれまでもありましたし、逆にそのおかげでより面白いものになって実装されるということもありましたから、仮に遅れたとしても、難しい面は多数あると理解している方も多いと思います。


長澤氏:


 とはいえ、見た目は可愛いですし、前回お話しさせていただいたことで「やっと来たか!」と喜んでいただいた方も多くいらっしゃったみたいで、その声にはお応えしないといけないなと。


――実は、昨年末にお話をうかがった際にはまだまだ先なのかなという手応えだった気がするのですが、年明けには「年内には入れたい」という予定が出てきて驚いた覚えがあるんですよ。


長澤氏:


 前もお話ししたと思うのですが、もう作業しているものは作業しているよとある程度発表していこうという流れになっていますので(笑)。運営チームでは2017年内の実装を目指しています、と。


山本氏:


 ドラム族の発表後、ドラム族のスキルはこんな感じですよという紹介動画を独自に作ってくださった方もいらっしゃって……。


――ありましたね。私も見ました(笑)。


山本氏:

 そういった流れを見ると期待度上がってるなぁと感じますし、その期待には応えないといけないなと思っているところです。


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長澤氏:


 それから、1月のインタビューでも話題になったロビーワールド構想編注:全ワールドから遊びに行ける特殊なワールド)についてですが、引き続きこちらも開発会社さんと交渉・開発を進めているところです。ただ、イイ感じで進み出しているために、あんまり細かい進捗がご報告できない段階まで進んでしまったというか……なんと言えばいいんでしょうこの状況。


山本氏:


 あ、以前、「もしかしたら開発側から許可されずに立ち消えになって、まったく新しい構想でワールド間の人数格差を是正していくことになるのかも」と言いましたが、それはなくなった感じです。正式にスタートする方向で話がまとまりつつあります。その点はご安心いただければと思います。


中村氏:


 ロビーワールド構想については開発元にもご理解いただけて、実際にどのように作っていくか、そういった細かい点について話を進めている段階になってきています。


長澤氏:


 協議は順調に進んでいます。韓国側でもワールドをまたいだ遊びというものには非常に興味を持っていただけていますし、期待していただいていいのではと思います。


山本氏:


 とはいえ、仕様の決定を待っているだけでは遅くなってしまう部分もありますので、先行して、ワールドをまたいだ遊びの企画というのも進めているところです。前回お話ししたロビーワールドでの攻城戦やPvEイベントなどもそのひとつですね。それ以外にも新しい遊びの提案なども随時企画して交渉しています。


――1点だけ再確認させていただきたいことがあるんです。ロビーワールド構想の話が出た時点で、当然ながらアイテム取引の話が出てきました。前回は「慎重に決定していきたい」というお話でしたが、やっぱり反響は大きくて、もう少し具体的なところをお聞きしたいなと。


山本氏:


 状況としては慎重に決定していきたいというスタンスに変わりはありません。アイテム取引を解放するのって簡単だと思うんです。でもいったん解放したものを止めるのはとても難しいんですね。ここからはいろいろな企画の話も絡んでくるのですが、アイテムの取引を解放するにしても、段階を踏んでということになると思います。確実に言えることは、「ロビーワールドを実装しました、最初からアイテムも自由に取引可能ですよ」なんてことはありえません。


――たとえ解放を行うにしても、最初は限定されたアイテムに限られるだろうと?


山本氏:


 ええ。例えば最初はロビーワールド内に持ち込みだけOKで取引はできないとか、ロビーワールドで入手したアイテムだけは自分のワールドに持ち帰れますとか、そういった内容を基本とし、アイテム取引をどのように解放していくのかというのはまた状況を見て、ということになると思います。


――なるほど。ユーザー側としてみると、とりあえずアイテム取引などの話題は、ロビーワールドが実装されてからの話だと考えておくと、それほどやきもきしなくていいのかなと。


山本氏:


 そうですね。ロビーワールド実装と同時にいきなりアイテム取引が解放される! といった内容にはならないと思います。とはいえ、ずっと取引不可だという話ではなく、あくまで段階を追っていきたいという話ですので、そのあたりはご理解いただければと思います。


■せっかくなのでカード分離システム実装までの経緯を詳しく聞いてみました!


――いい機会なのでお聞きしたいのですが、ついに日本の『RO』でもカード分離システムが実装されたわけですが、今のタイミングで導入しようというのはいつごろから決まっていたんでしょうか。


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▲カード分離は「迷宮の魔力結晶」800個を使って「夢幻の迷宮」入り口にいるNPCで行うか、ラグ缶の景品である「特製ネコ缶(マグロ)」を使ってイズルードにいるNPCで行います。


中村氏:


 うーん、「夢幻の迷宮」の報酬のひとつとして実装しようという話はもともと出ていましたよね。


山本氏:


 キャラクターを強くするために装備を更新していくのはMMORPGの基本ではあるのですが、なかなか手に入らないレアアイテムであるカードを装備に挿すというのは『RO』の特徴のひとつだと思います。


 ただ、ワールド内にたくさんのプレイヤーさんがいて、あちこちの狩場で日々カードが産出、多くのプレイヤー露店で売買されているという昔ならともかく、フィールドで長時間の狩りを行うまでもなく、メモリアルダンジョンなどに行って、比較的短時間でも経験値や換金アイテムが稼げるようになってきた今ではだいぶ状況が違ってきていると思うんですね。


 そのなかで、本当に欲しいカードが手に入るかというと、そうではない場合も多くなってきました。そういった状況を見て、特にカードに関してはそろそろ緩和してもいい、むしろ、緩和することで装備の更新が進むだろうと考えたんです。新しい装備を手に入れても、挿したいカードが手に入らないから使わないというのはすごくもったいないですよね。


 ですので、韓国同様に日本でもカード分離を導入することで、ある程度の装備の更新が進むようにしていこうというのは少し前から検討していたところだったんです。


 しかし、あまりにフリーに付け替えができるようになってしまうとカードを手に入れるために狩りを行うという“動機”がなくなってしまいます。そういったバランス面も考慮して、企画チームで検討してきたんです。「夢幻の迷宮」はエンドコンテンツのひとつですし、そこに挑戦するような人たちであればカード分離が行えてもいいだろうということで導入が決定しました。


 あとは……MVPボスカードなどの本当に貴重なカードに関して、あまりに貴重なものすぎて、いつ挿そうかと迷い、結局いつまでも手元に置いてあるだけという状況もあると思うんですね。それってすごくもったいないじゃないですか。強いものなんだから試してほしい。そういうことならば、ある程度気軽にカードを挿せる状況を作ってもいいんじゃないか。そんな意図もありましたね。


――少し前から「古いカード帖」が結構手に入りやすくなりましたよね。あれもカード緩和の一環なんでしょうか。


山本氏:


 はい。まず、「古いカード帖」はランダムでカードが手に入るアイテムですが、ランダム性があるため、必ず望んだものが手に入るわけではないという点がひとつ。そして「古いカード帖」自体が一定の流通価格を保ってくれている点がひとつ。これらの特徴のおかげでゲーム内の経済が回るんですよ。


 たとえばゲーム内の資産があまりない初心者プレイヤーが手に入れたものを、資産のあるプレイヤーが比較的高値で買い取ってくれるじゃないですか。結果、初心者にはZenyが入るし、買い取ったプレイヤーはカードを入手するチャレンジができる。そういった意味で一石二鳥というところがあったんですね。


――カードが市場に回る状況が作られていたところにカード分離が実装されたので、古くからの『RO』プレイヤーとして考えると、相当革命的なことが起こっているなぁと。


山本氏:


 ただ、「古いカード帖」からは一部のカードは出ないようになっていますよね。それらが「古いカード帖」から出るようしてしまうと、該当カードの値段って一気に下がるんですね。カードの産出が少ないからといって、単純に「古いカード帖」の出現リストに追加していいのかというと、なかなか難しい状況になっています。であれば、カード分離システムを利用して装備からカードを剥がすことで、カード自体の価値を保ちつつ、装備の更新も行えるようにしようという側面もあったんです。当然、古い装備から剥がしても、必要なカードの数が足りないという場合は、新たに取りに行くことになると思いますし。


――なるほど。詳しい解説ありがとうございます。だいぶインタビューの本筋とは離れてしまいましたが(苦笑)。


中村氏:


 いえいえ。そんなわけで、だいたい夏までの予定を話させていただいたのですが、今年は『RO』15周年になりますし、まだまだいろいろな施策をご用意していますので、今後も『RO』を楽しんでいただければと思います。そうそう、先日のアンケートもかなりの反響で、多数のご回答をいただきました。参加してくださった方々、ありがとうございました。


長澤氏:


 フリースペースに書ききれないと、別途ヘルプデスクのほうからご投稿をしてくださった方もいらして、全部拝読させていただいています。本当にありがたいです。みなさんに楽しんでいただけるものを提供していくのが我々の使命だと思っていますので、引き続き『RO』をよろしくお願いします。


――本日はありがとうございました。


 今回のインタビューでは、若干時間に余裕があったため、やや突っ込んだ質問なども投げかけてみました。そのぶん横道にそれている部分もあるのですが、『RO』プレイヤーとしては興味深い話題も多いと思います。夏に向けてのイベントやアップデートに関しては、1月時点のインタビューよりも詳しい内容が明らかになり、より期待も高まっているのではないでしょうか。「夢幻の迷宮」の先行調査期間が終わってひと段落……という方も多いかもしれませんが、『RO』運営チームはまだまだイベントを畳み掛けてきてくれそうなので気は抜けないみたいです(笑)。とりあえず、期待の精錬イベント「春祭り(仮)」に向けて準備を始めておきましょうか!