6月某日、『ラグナロクオンライン』の2018年下半期の施策についてうかがえるということで、ガンホーさんにお邪魔させていただきました。年初のインタビューでは、ロビーワールドことYggdrasillワールドとそれに関連したワールド倉庫の話題も多かったのですが、その後、肝心のワールド倉庫が実装延期状態に。今回はその内幕もチラッと聞くことができました。


 また、プレイヤーの関心の高い「攻城戦YE」については、テストでの激ラグが大きな問題になりました。事前にサーバー構成など万全の準備をしたということで期待をしていた方も多かっただけに、落胆の声があったのも事実。その改善案はもちろんのこと、アンケートでの意見を元に、「攻城戦YE」自体、大幅にゲーム性が変更されることになった模様です。『RO』の新たな攻城戦のかたちとも言える「攻城戦YE」がどんなものになるのか、その片鱗が見えてくるのではないでしょうか。


 今回ご対応いただいたのはおなじみ『RO』運営チームの中村聡伸氏と山本兼寛氏のおふたり。なお、実装前のものも多分に含まれているため、実装のタイミングになって今回のインタビューの内容が変更になることもあります。その点はご了承願います。


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▲実装直前の「イリュージョンダンジョン」についても触れていますのでお楽しみに!



■まずは2018年上半期を振り返って


――今回は『RO』の2018年下半期の施策に関してお話しいただけるということですが、まずはいつもの感じで上半期を振り返ってみていかがだったかというあたりからお聞かせ願えますか?


中村聡伸氏(以下、中村氏):

 そうですね。上半期に関しては……だいたい予定通りに進めたかなという印象でいます。……ワールド倉庫以外は。


――ワールド倉庫以外は(苦笑)。


中村氏:

 実はですね、ワールド倉庫に関しては、実装直前にかなり致命的な不具合が発覚してしまったんですよ。さすがにこれはテスト前に修正しなければ、ということで、お時間をいただくことになってしまいました。このあたりはあとで山本のほうから詳しくお話しさせていただきます。


 それ以外で2018年上半期と言えば、やはり新種族ドラムの実装ですね。一部、強すぎるんじゃないかというご意見もいただいていますが、おおむね好意的に受け入れられているのではないかと考えています。


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▲『RO』運営チーム、中村聡伸氏。


――ドラムに関しては、特に攻城戦での強さが取りざたされていますが。


中村氏:

 ドラム自体、やや停滞しつつあった攻城戦に一石を投じる役目になっているかなと考えています。さきほども言ったように、強すぎるというご意見もいただきまして、装備やエンチャントなどで耐性を取れるように調整をさせていただいています。スキルの弱体化による調整は本末転倒だと思うんですよね。ドラムが強いから遊びたいという方もいらっしゃるので、スキルを弱くするという調整ではなく、環境のほうを調整していくのが好ましいのかなと。あ、ジューンブライドイベントにはドラムの結婚が間に合わなくてすみません。きっと来年のイベントまでには……(笑)。


――ドラムの結婚に関してはスムーズに導入できそうですか?


中村氏:

 実は、結婚システムは、別のシステムとも密接に絡んでいて、そちらのチェックも行わなくてはならないんですね。昨年も実績システムとメールシステムが同時に実装されましたが、ああいった感じで、一見別のシステムでも関連していることが多いんですよ。ですので、ドラムの結婚に関してはもうちょっとお待ちいただく感じになってしまうと思います。


■BaseLv170以降、175を目指すための新たな狩場「イリュージョンダンジョン」


中村氏:

 ここからは今後のアップデートの話になりますが、まずはすでに発表させていただいている「イリュージョンダンジョン」が2018年7月10日(火)に実装予定となっています。「イリュージョンダンジョン」は現在4つ予定されていて、韓国のほうでは最近になって6つ目が実装されたばかりです。


 日本では7月10日(火)に第1弾としてふたつ、「イリュージョンオブムーンライト」と「イリュージョンオブフローズン」が実装予定になっています。


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▲「イリュージョンダンジョン」のイメージイラスト。


――「イリュージョンダンジョン」は、それぞれ元となったダンジョンがあるとのことですが。


中村氏:

 名前やイメージイラストで想像がつく方もいらっしゃると思いますが、「イリュージョンオブムーンライト」のほうが「フェイヨン地下洞窟」、「イリュージョンオブフローズン」のほうは「氷の洞窟」がモチーフになっています。


 それぞれ、登場するモンスターのデザインは元のダンジョンとほぼ一緒なんですが、イリュージョンダンジョン用のエフェクトがつきます。イラストにもあるような感じですね。とはいえ、モンスターとしては別物で、すべてに新たなカードも実装される予定です。もちろん、独自のアイテムドロップもあります。


 入場に関しては、BaseLv170になると入場するためのちょっとしたストーリーが進展します。


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▲「イリュージョンオブフローズン」に登場するモンスター「覚醒したクトルラナックス」。

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▲「イリュージョンオブムーンライト」に登場するモンスター「怒りの月夜花」。


中村氏:
 また、この「イリュージョンダンジョン」に関しては、デスペナルティがないというのが最大の特徴になります。というのも、BaseLv170以降のレベルアップに必要な経験値は急勾配になっています。……レベルキャップ解放の時にいろいろとお話しもさせていただきましたが、その中で、まずはBaseLv170を目指してほしいと述べたかと思います。現在では、多くの方が「ハートハンター軍事基地」やロックリッジなどで育成をされていて、BaseLv170に近づいてきている方もかなり増加しています。


 一方で、ドラムでは「ドラム育成サポートプログラム」でBaseLv175までをフォローしています。ソロではだいぶ厳しいミッションもありますが、後半の報酬経験値を獲得することができればBaseLv175もすぐ目の前だと思います。


――夢幻の迷宮クリアは厳しいですが、確かに、一緒に行ってくれる仲間がいれば、ドラムの強さなら決してムリなクエストではありませんね。


中村氏:

 はい。ということは、ある意味、ドラムのほうが高レベルになりやすい環境になっていると言えなくもないと思うんですよ。


――なるほど、確かに。


中村氏:

 ということで、今回の「イリュージョンダンジョン」の位置付けとしては、人間キャラも含めたBaseLv170以降向けの育成、BaseLv175を目指すためのマップということになっています。


――具体的に「イリュージョンダンジョン」はどんなところなのでしょうか。


中村氏:

 そうですね、ちょっとしたストーリーがあるのがポイントでしょうか。ダンジョン内部には、そのストーリーに関連するキャラクターがレアモンスターとしてさまよっていることがあるんです。


――レアモンスター? ボスモンスターではなく?


中村氏:

 うーん、まだ実装前の段階なので、そのへんはお楽しみ……ですが、ちょっと特殊なモンスターで、ある条件を満たすと出てくるという感じなんですよ。もちろん、倒せばこのモンスター特有のドロップアイテムの可能性もあります。レベル上げだけでなく、そういったユニークモンスターを探す楽しみというのもあります。


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▲「イリュージョンオブムーンライト」に登場する「真理のウィザード」。ストーリーにも関係するキャラクターで、ダンジョン内ではレアモンスター扱いとのこと。しかし「真理」って、まさか……?

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▲こちらは「狂乱した冒険者」。なお、これらのモンスターは「生体工学研究所」とはなんの関係もないそうです。


――「イリュージョンダンジョン」はデスペナルティがないということですが、入場に制限などはないのでしょうか。


中村氏:

 はい。必要BaseLvの170を達成し、入場前に簡単なクエストをこなせば特に条件はなく出入りが可能になります。あ、クエストといっても短いものなので、「タートルアイランド」入場の際のクエスト程度を想像してもらえばいいかと思います。


山本兼寛氏(以下、山本氏):

 実は、もともと韓国での「イリュージョンダンジョン」のコンセプトのひとつは、レベル偏差のないダンジョンというものなんです。韓国ではモンスターとのレベル差が開くほど、経験値獲得量が減少する仕組みになっています。「イリュージョンダンジョン」ではそれがなく、一定の経験値を獲得でき、レベルアップしやすい場所になっているんです。日本ではこのレベル偏差が採用されていませんので、我々が実装する際、どういう特徴をもたせようかと考えたときに、経験値の稼ぎやすさという特徴を残す方向で、通常ダンジョンとしては初めてのデスペナルティなしのマップということになったわけなんです。


中村氏:

 いつものように、「実装記念で1週間デスペナルティなし」っていうキャンペーンを開催しようと思ったら、もともとなかったという戸惑いもあったりなかったり。せっかくの「保険屋のオバちゃん」の活躍の場が……(笑)!


――通常ダンジョンであれば、戦闘不能になってもクールタイムを待たなくていいので、気楽に挑戦することができますね。


中村氏:

 はい。経験値は増えるだけなので、気楽にチャレンジしていただければと思います。「イリュージョンダンジョン」第1弾はさきほども言ったとおり、2018年7月10日(火)、第2弾は2018年8月14日(火)の予定になっています。第2弾で実装するダンジョンについては、第1弾を実装したあと、プレイヤーさんの遊ばれ方を見て決定していくつもりです。我々が設計して実装してみたものの、想定どおりに遊ばれるかどうかは蓋を開けてみないことにはわからない部分もありますからね。


――そうですね。オンラインゲームではよくあることかもしれませんが(笑)。


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▲「イリュージョンダンジョン」で入手できるアイテムの一例。「なるほど、そう来たか!」という感じの装備品ですね~。

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▲全モンスターにカードが実装されるのも「イリュージョンダンジョン」の特徴。これは、ありそうでなかった対人戦の汎用カードといった感じですね。

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▲ウワサのレアモンスターのカードだけに入手は難しそうですが、効果自体はいろいろと考えさせられる内容になっていますね。個人的には「スティックキャンディ」の回復量が爆上がりするカードかなぁとか思っていましたが、どうやら違うようです(笑)。

■ワールド倉庫による他ワールドへの装備持ち込みは早くも10月には解禁!?


山本氏:

 ということで、ここからはワールド倉庫についてお話しさせてください。中村のほうからも話が出ましたが、年初のインタビューでは、ドヤ顔で「2月に実装します!」と言ったものの、ホント、直前になって致命的な不具合が発見されてしまいまして、その改修に時間がかかってしまいました。申し訳ありません。


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▲『RO』運営チーム、山本兼寛氏。


――ま、まぁ実装前にわかってよかったという面も。


山本氏:

 ああ、不幸中の幸いで、事前に見つけられたことに関してはよかったです。もしあのまま実装していたら阿鼻叫喚だったと思います……。


――それは恐ろしい……。


山本氏:

 そちらの改修のほうも目処がたったので、以前、テストを兼ねたイベントを実施すると発表していますが、そのイベントを改めて8月に行う予定で進めています。この8月がさらにずれるということはもうないと思います。……というフラグになったらシャレになりませんが。


――2度あることは3度ある、になっちゃいますから気をつけないと(笑)。


山本氏:

 8月のテストにおいて不具合がないようであれば、10月くらいにはワールド倉庫を正式に実装したいと考えています。それと、以前、ワールド間で移動できるアイテムは順次解放していくとお話しさせていただきましたが、ワールド倉庫自体の実装がだいぶ延びてしまいましたので、その部分は詰めていきたいと思っています。


――本来その時期には解放されていたであろう状態にしていくと。


山本氏:

 ワールド倉庫を使うメリットというのは、他のワールドでも遊べるということだと思うんですね。その際に絶対に必要なのは、キャラクターはもちろんのこと、装備も重要です。ですから、装備類に関しては優先してワールド間移動を解放していきたいと考えています。それが第1弾というか、正式実装の10月には行われると考えてもらっていいと思います。


――いきなり重要発言が! ええと、ひとくちに装備といってもかなり種類がありますが……。


山本氏:

 全部が全部移動可能になるわけではなく、なかには制限をかけるものも出てくると思います。細かい仕様は追って発表させていただくことになりますが、なるべく多くのものを自由に移動できるようにするつもりです。


 移動先で遊ぶためには消耗品や回復アイテムなども必要になると思うのですが、それらに関しては、最初は制限をかけさせていただく予定です。しかし、現状では、イベントなどで期間限定の回復アイテムも比較的手に入りやすくなっていますから、消耗品に関しては移動させることができなくても、遊べないということはないかな、と考えています。


――装備が移動できるということは、移動先のワールドで売ることも可能なんでしょうか?


山本氏:

 できますね。ラグ缶アイテムとかパッケージアイテムとか、ワールドによっては流通量が多かったり少なかったりするアイテムもありますので、そういったものが移動できるという意味でも、まずは装備の移動が最優先かなと。Zenyそのものは移動できませんが、移動先ワールドで装備をZenyに替えることも可能だと思いますよ。


 ただ、わりとそういった点にばかり話題が集中しますけれど、そもそもやりたかったことというのは、「みんなで集まって遊ぶ」ということなんです。装備がない状態では、集まっても街でチャットするくらいしかできませんよね。


――現状でも他ワールドにおしゃべりをしに行くという方もいらっしゃいますが、一緒に遊ぼうとすると「このキャラを育てなきゃ」となりますからね。装備が移動できれば、そういったこともやりやすくなりますね。


山本氏:

 新キャラ作成の際にも“強くてニューゲーム”ができますので(笑)。


――そうですね(笑)。


■大きく変化する「攻城戦YE」! テストにおける激ラグの真相も明らかに!?


山本氏:

 もうひとつ、ワールド倉庫に関連して、「攻城戦YE(Yggdrasill Edithion)」をテスト開催させていただきました。まずは、非常に多くのご意見をいただき、大変ありがとうございました。えーと……一番多かった意見はまぁ、ラグに関して、なんですよね。


――ええ、はい。そういう話はいろいろ見聞きしています。重くて戦いにならないのでルール云々よりもまずそこを、という……。


山本氏:

 ええと、ラグに関しては、想定していなかったわけではないんですよ。サーバー機器的なものとか、構成などに関しても、今までにないくらい厚くしていましたので、ある程度はいけるだろうと考えていたんです。ですが、サーバー機器や通信の問題ではなくて、サーバープログラムが耐えられないということが判明しまして。


 本来ならもうちょっと早く進捗状況をお話しすべきだったのですが、このラグを解消するためにどんな手段があるのかといったことを慎重に検討していたので、ここまで引っ張ることになってしまいました。


 また、アンケートではほかに、我々としては普段の攻城戦と同じ感覚で遊べるようにと思って設定したルールが逆に不評だったという点も目立ちました。たとえば、同盟が組めるという仕様です。同盟が組めることにより、同規模であっても結局人数差が出てしまい、公平な戦いにならないといったご意見が多かったです。


 それと、普段の攻城戦で不便だったところに関して、せっかくだから改善してほしいというご意見も多かったですね。たとえば、ギルドマスターが報酬を回収しなければならないという仕様を見直してほしいといった感じです。


 そういったもろもろのご意見を踏まえて、改修した「攻城戦YE」を8月にテストしようと思っています。


 ただ、冒頭でも述べたようにラグの問題があります。これを解決しないことにはお話になりません。


――そうですね……。


山本氏:

 ラグを解消するために、まず、Yggdrasillワールドを3つに増やします


――えっ!?


中村氏:

 仮にですが、Yggdrasill-1、Yggdrasill-2、Yggdrasill-3って感じです。


山本氏:

 単純に機器が3倍になります。今回、攻城戦の規模を大規模、中規模、小規模と分けさせていただきましたが、それぞれがそれぞれの独立したワールドで「攻城戦YE」を戦うことになります。極端な話、仮に大規模戦でラグがヒドかったとしても、物理的に分かれているため、中規模戦と小規模戦にはまったく影響が出なくなります。


 また、同盟は組めないようになります。これに応じて報酬も1ギルドのメンバー分程度に減少しますので、ギルドの収容人数を越えた人員を集めても、あまり意味がなくなります。


 そしてこれも新たな試みなんですが、現状の13キャラクタースロットのうち、その回の攻城戦に登録した1キャラクターだけが参加できるようになります。攻城戦が始まってしまうと、別キャラクターにチェンジして参戦するということはできなくなります。


――ということは、2アカウント、3アカウントという、いわゆる複垢(複アカウント)勢が有利になるような……?


山本氏:

 たしかにそれはあります。そういうこともあって、次回のテストでは、プレイ利用権の有効なアカウント(トライアルはNG)のみが参加できるようになります。


中村氏:

 前回のテスト時に混雑しすぎてしまった理由のひとつに、トライアルアカウントを総動員して5キャラ6キャラをひとりで操作していた方というのも影響していたんですね。


――お試しで参加できる間口の広さが悪いほうに働いてしまったと。


中村氏:

 そうなんです。我々としてはしばらく攻城戦を遊んでいなかった方や『RO』を休止されている方にもテストに参加してほしいなということで解放をしていたのですが、利用のされ方がちょっとマズいかなという傾向も見られたので、次回のテストに関してはプレイ利用権のあるアカウントのみを対象とさせていただこうかなと。それが混雑緩和の一環にもなりますからね。


山本氏:

 本実装後の「攻城戦YE」であれば、自分で育てたキャラを使って戦うわけですが、テストではボタンひとつで高レベルキャラができてしまいます。トライアルアカウントでもすぐに戦力になってしまう特殊な環境ですので、そういった制限をかけさせていただく予定です。ご了承いただければと思います。


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▲テスト時のYggdrasillワールドでは、NPCに話しかけるだけで簡単に3次職のキャラクターが作れたため、たとえトライアルアカウントでも熟練者なみのキャラを用意できました。(画像は2018年4月のテスト時のもの)


■ギルド同士のマッチングで戦い方も変化していく!?


山本氏:

 今回のテストで一番変化するのが、ギルドの戦い方かなと考えています。前回のテストではベースキャンプからいくつか攻める砦があって、どこに行くか決められたのですが、今回はこれまでの攻城戦とは異なり、ベースキャンプを決めてしまうと、そこから攻められる砦はひとつだけになります。つまり、“ベースキャンプA”のギルド対“ベースキャンプB”のギルドで“砦α”を取り合うという感じです。


――なるほど、1ギルド対1ギルドで真正面からぶつかり合うと。


山本氏:

 ただし、参加ギルドが足りなかった場合、割り当てられたベースキャンプと砦によっては相手がいない不戦勝が発生するデメリットもあります。とはいえ、前回のテストを鑑みて、だいたい埋まるだろうというベースキャンプ数を準備しています。この仕様であればユーザーさんの望む1対1という状況が実現できるのではないか、と。


――ええと、ちょっと話は戻るのですが、たとえば、大規模戦のYggdrasill-1が重いので、中規模戦に移動しようとなった場合、いったんログアウトして、中規模戦のYggdrasill-2にログインすることになるわけですよね。となると念のためを想定して、双方で事前にいろいろ登録をすませておかなくてはならないわけで、結局転戦というか、攻城戦時間中に移動しなかった場合は、さきほどおっしゃった不戦勝も出てくる可能性がありますよね。


山本氏:

 本来であれば、Yggdrasillワールドにログインする際には、自分のキャラクター情報を移動する必要がありますので、テスト以外ではそういったことが起こりにくい状態になると思います。ですので、高レベルキャラをすぐに作れるテスト状態の際には、中規模と決めたら中規模だけでテストに参加してほしいというのが正直なところです。とはいえ、今回のテストのためにシステム的に制限をかけるのは難しいので、どうしてもユーザーさんのモラルに頼ることになってしまうと思いますが……。


 また、仮に大規模から中規模に移動するとなると、人数制限もありますからギルドの人員を削減しなくてはなりません。あとから中規模に入ってくると1対1で戦っていたところに割り込むような形になることもありますし、できればやめてほしいというのが本音です。


――うーん、仮に後乗りが可能で、有利となれば、戦略として実行するギルドも出てくると思うのですが。


中村氏:

 そのあたりはルールで縛りたくはないのですが……うーん。


山本氏:

 あまりにひどい場合、イベント妨害という措置を検討しなければならないかもしれません。


――なるほど。


中村氏:

 今回の仕様に関して、もう少し説明させていただくと、現在は、たとえば超大規模同盟ギルドがあったとして、「今回はこの砦は守れそうだから戦力を割いて別の砦も攻めよう」ということもあるじゃないですか。ほかの砦で戦っている人たちからすると、「あとから来た超大規模同盟のヤツらに自分たちの戦いの邪魔をされた」という感覚になるんですね。そういう状況がイヤだという意見が多く、それならば、最初からマッチングして、そのギルドで登録しているキャラクターでないと戦えないという仕様にしてはどうか、ということなんです。


 そういう点ではかなり縛りのキツいシステムでテストしてみようという状態です。このテストで「ちょっとシステム的な縛りがキツすぎる」というご意見が多ければ、また調整は必要だと思っています。


山本氏:

 逆にシステム的な制約をもっとキツくしたほうがいいというのであればさらに縛ることも可能だと思います。そういった点も含めてテスト後に再びアンケートを取らせていただこうと考えています。


 そういうわけで、今回は大規模でも同盟ナシの1ギルド単位ですから、56人に収まるようになるわけで、前回の200人規模の戦いに比べればラグもだいぶ緩和されるのではないかと思っています。


 それと、ベースキャンプでスキルを空撃ちし続けてサーバープログラムに負荷をかけていた方もいたんですね。ですので、今回はベースキャンプではスキルは使用できなくしています


――それは、「攻城戦YE」を重くしようとしてスキルを連打していた方がいたということですか?


山本氏:

 ええ、そういった意図でスキルを連打していた方も確認しています。実は重くなる要因としては、同時にスキルをどれだけ使用したか、と、同一画面内にどれだけ同時にキャラクターが出現したか、というのが最も重要なんです。


 極端な話、スキルを使えなくしてしまえば、たくさんの人がいてもすごく軽くできるんです。また、「台湾の『RO』の攻城戦はあんなにサクサクやっているのに、日本はなんでこんなに重いのか」と言われる方もいらっしゃるのですが、台湾の攻城戦って、2次職のスキルも含めてほとんどすべてのスキルにクールタイムが設定されているんです。


――ということは、スキルが連打できないと。


山本氏:

 そうなんです。実を言いますと『RO』のシステム上、2次職スキルのほうが負荷がかかりやすいんですよ。台湾の攻城戦が軽いのはそういう理由だったりするんですね。


 本当にラグをなくしたいなら、たとえば「ストームガスト」や「メテオストーム」を禁止スキルに設定してしまえばいいのですが……。でもそれはしたくないじゃないですか。ですので、せめてベースキャンプ内だけでもスキル禁止にできれば、攻城戦フィールドの負荷だけですむということになるわけです。


■「緊急招集」スキルが使用不可に!?


山本氏:

 それと、もうひとつの負荷要因である同時出現キャラ数を抑えるために、ギルドスキルの「緊急招集」を使えないようにする予定です。


――えっ! それはまた戦略が変わりそうな……。


山本氏:

 ただ、「緊急招集」で仲間を呼び込んでから攻めるという戦略が使えなくなる代わりに、攻め側でも砦のフラッグが使えるように仕様を変更する予定です。とはいえ、フラッグを使うにはその周辺を自軍の勢力下に置いていなければなりません。拠点制圧ゲーム的に、砦の拠点を制圧したらそのフラッグは攻め側が使えるフラッグになる、という感じですね。そういう新ルールとともに、ラグの解消にも一役買う感じですね。


 そんなわけで、これまでの攻城戦とはゲーム性がガラッと変わるところも多いので、このルールが好評で、実装する運びになった場合には、もとの攻城戦は残そうかなと考えています


――なるほど、これまでの攻城戦とはだいぶ違うゲームになっていますからね。


山本氏:

 アンケートでも、既存の攻城戦を残してほしいというご意見も多かったので、ここまでルールが変わって、それが受け入れられるようであれば、既存の攻城戦は残そうという方向になりました。ただし、その場合でも、開催曜日を変更したり、報酬を抑えるなどの調整は必要になってくるとは思います。


 あ、それと、報酬に関しては、これまではギルドマスターがまとめて受け取る形になっていたのですが、今回のテストでは、参加報酬は各参加キャラクター自身で受け取る形に変更になります。ですので、ギルドマスターへの負担は軽減されると思います。


 また、これもわりと重要かもしれませんが、戦闘時間に関しては1時間を予定しています。


――お、これまでの半分ですか。


山本氏:

 1対1で戦う状況で、「あ、これは勝てないわ」と思ってしまった場合、2時間戦うのって苦痛だと思うんですよ。マッチング相手がいない、いわゆる暇防衛状態も、2時間拘束されるよりは1時間なら……という感じで。


――1時間も戦えば、だいたいどっちが優勢かはわかりますもんね。


山本氏:

 30分くらいだと攻守が切り替わらないまま時間切れになることもあるので、やはり1時間くらいが妥当かなと。


――たしかに。


山本氏:

 ということで、その他にもアンケートで上がってきたご意見を吸い上げたルールで8月にテストを行う予定です。これが好評であれば、実装はいつにしようという話になりますし、不評であれば再び検討を行う予定です。以前もお話ししたとおり、ムリヤリ実装するつもりはありませんので、ダメだったところを改修して、次のイベントなりテストなりに向けて調整を行っていくつもりです。


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■公式アンケートに寄せられた質問への回答も!


山本氏:

 あと、せっかくですので、アンケートで寄せられた質問に対してこの場でいくつかお答えをさせていただければと思っているのですが。


――おお、それはぜひお願いします。


山本氏:

 まず、アンケートの反響としては、「攻城戦YE」でのベースキャンプの提供や、補給と修正が瞬時に行えるという仕組みは好評でした。このあたりは次回も継続して行っていくつもりです。通常ワールドにも導入してほしいというご意見もいただいていますが、攻城戦コンテンツしかない特別なワールドだからこそ実現できたものなので、なかなか難しいです。


 そして質問としては、「攻城戦YE」では、テスト時に用意されていたレンタル装備しか使えませんでしたが、「装備を持ち込むことはできなくなるのですか?」というものが多かったんです。


 基本的にはワールド倉庫を経由して自分の装備を持ち込んで戦うことになりますので、「ちゃんと持ち込めますよ」というのが回答です。逆に言うと、本実装時にはテストの際に行われた装備のレンタルはなくなります。


――次回に予定されているテストではどうでしょうか?


山本氏:

 次回のテスト時は、前回のテストと同様に持ち込み不可のレンタルありという形式になります。ワールド倉庫が正式に実装されるまでは同様の形式になると思います。


――次回のテストではワールド倉庫は最終のテストイベント段階で、本実装ではないためですか?


山本氏:

 はい。ワールド倉庫の本実装は順調に進めば10月くらいの予定になっていますので。


――わかりました。


山本氏:

 それから、消耗品をチケット形式で配布していた件についてですね。あのチケットに関してはまだ企画中ではあるのですが、本来は自分のワールドでZenyでの購入、またはアイテム交換などで入手し、ワールド倉庫を介してYggdrasillワールドに持ち込むものとして想定されていました。


 ただ、「攻城戦YE」自体でどのくらい経費がかかるのか、まだ読めない部分もあります。報酬を減らしてでも経費をかからないようにしてほしいというご意見もあるんですよ。一方で、従来どおり、経費はすべてギルドや個人が負担するという形式と、どちら寄りのほうがいいのか、ちょっと検討したいと考えているところです。


 ですので、消耗品チケットに関しては、もとの予定のままZenyで購入するのか、それとも「攻城戦YE」の参加時に毎回貸し出して、その枚数内でやりくりするほうがいいのか、そのあたりは次回のテストやアンケートを見て考えたいと思っています。


――前回はむやみにいっぱいもらえましたが(笑)。


山本氏:

 次回のテストでもむやみにいっぱいもらえる予定です(笑)。それから、回復アイテムについて「%回復アイテム(「イグドラシルの実」など)は使えないのか」という質問が多かったのですが、それは予定していません


 以前もお話ししましたが、%回復アイテムが使えると、事前にZenyを使って買い集めた人のほうが有利になってしまいます。「攻城戦YE」で消費することになる回復アイテムはできるだけ入手しやすいアイテムにしたいと考えているんです。


 消耗品に関してはそんなところでしょうか。テストではチケット配布という形式を取らせていただいたので、ShopPointでの購入もありえるんじゃないかという若干穿った考えの方もいらしたみたいなのですが、そんなことはしませんのでご安心いただければと思います。


――それこそリアルマネーをつぎ込んだ人が勝つ戦いになってしまいますからね(笑)。

山本氏:

 ShopPointは論外ですが、せっかく戦闘が楽しめる場なのに、Zenyを持ち出して消耗品をそろえなくてはならないというのはどうなのかという疑問もあるんですよね。現行の攻城戦では、勝利者への報酬が、砦宝箱からの高価なアイテムという形で還元されているわけですが、今の時代ではちょっと違うのかなと。前回のテスト時のように、経費がかからない代わりに、レアアイテムが当たる可能性のある何かを得られて、それはZenyに換算するとたいした金額にはならないというほうがいいのかなと思ったりもするんです。


 ただ、経費のかかる消耗品をすべて配布してしまうと、「ホワイトスリムポーション」などを作っている製薬ランカーの方々の苦労を無にすることにもなりかねないので、悩ましいところです。


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▲ウワサのむやみやたらとたくさんもらえた消耗品引き換えチケット。本来これは元のワールドでZenyを費やして購入し、「攻城戦YE」に持ち込む予定で企画されたものとのこと。配布形式にするかどうか、最終的な内容は次回のテスト以降に決定することになるそうです。(画像は2018年4月のテスト時のもの)


――ひとつ質問なのですが、次回のテスト時にはドラムは参加可能なのでしょうか?

山本氏:
 申し訳ありませんが、前回と同様、ドラムは参加できない予定です。

――なるほど、わかりました。しかし、話を聞いていると、攻城戦がどんどんRJC(RagnarokOnline Japan Championship)のような形式に近づいているなという感覚があります。


山本氏:

 そうですね。たいぶ近くなっています。


中村氏:

 ユーザーさんの中にある、「損をするということに対する意識」みたいなものが、ここ数年で変わってきているなというのは感じますね。MMORPGが出たばかりの頃というのは、ゲームプレイにおいては失敗してナンボという雰囲気が許容されていたんですね。強いダンジョンで全滅したり、Zenyを費やして武器を精錬して失敗して消滅してしまう、そういうことも含めて楽しんでいただくというスタイルですね。


 でも今はそうじゃないなと。投資した分はきちんとリターンがある、安全に進めたいならリターンは少ないけれど比較的安全なルートがある、そういう仕組みがしっかりとできているゲームのほうが多いかなと。『RO』を完全にその形式にするというのはなかなか難しいのですが、それでもできるだけ負担にならないように、楽しい思い出を作ってもらえる環境にしたいなと考えているところです。


山本氏:

 前回の「攻城戦YE」のテストでは、実は初めて攻城戦に参加してみましたという方も多かったんですよ。そういった、参加経験が少ない人ほど、「これが実際に自分の消耗品を使うことになったら、上位陣の入れ込み具合にはかなわない」と感じてしまったようなんですね。あらかじめ稼いでおいたZenyをつぎ込んだ人が勝つというのは対人戦として面白くないというご意見が多かったんです。


 勝者が莫大な利益を獲得できる戦いよりも、今は、負けてもノーリスクだけれど勝ったらちょっとだけ増えます、みたいな戦いのほうが、実際は気兼ねなく楽しめて面白いという人のほうが増えてきているのかなと。


 そういう人であればあるほど、戦いの最中に横槍を入れられたくないんですね。前回のテストで同盟ギルドを問題視する意見が多かったのも、そういうところにあるんじゃないかなと。


――プレイヤーの質が変化してきていると?


山本氏:

 というより、昔からプレイされているユーザーさんはあまりそういった点を気にしていなくて「攻城戦とはこういうものだー」という方も多いですね。ただ、新しい方が入ってくることを考えると、これまでのままというわけにもいかないのかなと。


――精錬イベントや、今回の「イリュージョンダンジョン」のデスペナルティなしが歓迎されているのも、そういう面があるのかもしれませんね。


山本氏:

 ええ、確実に積み上がるという確約があるのは大きいのではないかと。


中村氏:

 ユーザーさんのプレイスタイル自体が変化しているというのは我々も認識しなければいけないと思っているんです。『ラグナロクオンライン』のゲームとしての本質はそのままで、時代に合わせた味付けというか、取り組みをしていく必要があるなと。


■「攻城戦YE」のテストと並行してYggdrasillワールドの正式オープンも予定


山本氏:

 「攻城戦YE」はそんな感じですが、それはそれとして、前回のテストのおかげで、負荷のデータは取れたので、Yggdrasillワールド自体はどこかのタイミングでオープンする予定でいます。


 ただ、期待されていらっしゃる方もいるかもしれないのであらかじめ言っておきますと、Yggdrasillワールド内でメモリアルダンジョンを使ったイベントはちょっとムリかなと考えています。


中村氏:

 というのも、Breidablikワールドだけでも、先日の精錬イベント中はかなりメモリアルダンジョンが混雑してしまいまして……。


――待機数が4桁いったという話を耳にしましたが……。


中村氏:

 ええ、4桁いっちゃいましたね。待ち時間も最長で2時間いきそうな感じのときも……。待たされるがゆえに、「別キャラでも予約しておこう」という状況も発生してしまって……。


――悪循環ですね(苦笑)。


中村氏:

 そこまで詰まってしまわないようにするのが最善ではあるのですが、メモリアルダンジョンの仕組み自体がもう10年くらい前のものになりますので、サーバー機器の性能を上げてどうにかなるものではなくなってきているんですね。Gravity社さんのほうに改善していただけるようであればお願いしたいところなのですが、それまでの間はYggdrasillワールドでのメモリアルダンジョンを使ったイベントというのは難しいかなと。


――全ワールドの人が集まってくるとなるとBreidablikワールド以上に人が集まることになりますからね。


中村氏:

 ひとつは、人の少ないワールドで活動していらっしゃる方が、「人がいないからYggdrasillワールドで(メモリアルダンジョンを)作ろう」となりますよね。もうひとつ、「Breidablikワールドは混雑しすぎているからYggdrasillワールドで作ろう」という流れもあると思うんですね。これが合わさると、たぶんYggdrasillのメモリアルダンジョンはパンクしちゃうと思います。


山本氏:

 現在の予定ではYggdrasillは3ワールド構成になりますから、それなりに分散はすると思いますが、それでも精錬イベントのように「メモリアルダンジョンを大量に作成する」系のイベントは絶対にムリだと思います。


中村氏:

 一応、メモリアルダンジョンがらみでは夏のイベントも予定していますので、その状況も見ながら最終的な判断をしていきたいとは思っています。


山本氏:

 逆に、「蜃気楼の塔」や「モンスターハウス」といった、通常のマップを使ったイベントはYggdrasillワールドでも行いやすいと考えています。そのあたりはオリジナルコンテンツなども導入していけたらと思います。


中村氏:

 なんにせよ、まずはワールド倉庫を無事に実装し、Yggdrasillワールドを正式オープンさせ、アイテムを持ち込めるようにするのが先決です。


■「攻城戦TE」も忘れていません!


山本氏:

 そういえば、ユーザーさんから、「攻城戦TE」自体をYggdrasillワールドで行ったらいいのでは、というご意見をいただいたんですね。「攻城戦YE」を優先していたので、「攻城戦TE」に関しては触れていなかったのですが、まず大前提として、今のところ「攻城戦TE」を廃止するということはないと思います。ただ、参加プレイヤーは少なめになってきているので、ご意見でいただいているようにYggdrasillワールドにそのまま移行するなど、何かしら手を入れることになると思います。参加人数からしても、そのまま移行することは可能ではないかと。「攻城戦TE」を中心に攻城戦を遊ばれている方には、この場を借りて「TEも忘れていませんから」とお伝えしたいです(笑)。


――なるほど。仮にYggdrasillワールドで「攻城戦TE」を開催することになったら、通常ワールドでの「攻城戦TE」は開催されないことになりますよね?


山本氏:

 はい、そうなりますね。


――全ワールドから「攻城戦TE」プレイヤーが集合すると、それはそれでラグが発生しないかとか不安になったりもしますが……。


山本氏:

 Yggdrasillワールドに「攻城戦TE」を移行するとなった場合には、テストを行ってサーバーの負荷状況を確認するのもアリかなと思っています。


 そうそう、「攻城戦」や「攻城戦TE」を完全にYggdrasillワールドに移行した場合であっても、神器作成のための「神器クエスト」や「虚像のオーコルニル」自体は各ワールドに残そうと考えていますので、神器が作れなくなるということもありません。攻城戦全体の調整の一環として砦の部分に関しては仕様変更を考えてはいるのですが、クエストの難易度など、ほかの部分の変更は考えていません。「あとから神器を作ったほうが楽になるかも?」と考えている方がいるかもしれませんが、そんなことはありませんので、どんどん神器クエストを進行していただければと。


中村氏:

 前回のテストのアンケートに関しては、かなりの回答をいただきました。ふだん攻城戦に参加されていない方の意見も聞きたくて、そういう選択肢もご用意させていただいたんですね。そういった方からはYggdrasillワールドに関するご意見やご要望もたくさんいただくことができ、大変感謝しています。


 また、ご意見などはアンケート期間中だけ募集しているわけではなく、随時、Webヘルプデスクからご投稿いただければ、運営チームに届きますので、気になることや思いついたことなどがあればいつでもご意見をいただければと思います。


■待望の「深淵の回廊」を年内に実施予定! ウワサの「星帝」や「ソウルリーパー」は来年以降か!?


中村氏:

 その他の年内の予定としましては、再び「深淵の回廊」を実施しようと思っています。毎回ちょっとした追加を行っていますが……って「深淵の古城」はちょっとって規模ではなかったですけど(笑)。


山本氏:

 そうですね(笑)。あのレベルの追加はないかもですが、「深淵の古城」に関しても、2回目に行った際にはクリア率も上がったので、アイテムなどの追加を行うつもりではいます。


中村氏:

 実施時期に関しては、年内には行う予定とだけ。ただ、「深淵の回廊まだですか?」というご意見もいただいたりしていて、期待度も高いコンテンツなので、その期待にはお応えしたいなと。


 年内の大きなイベントやアップデート予定はそんなところでしょうか。韓国では拳聖の上位職「星帝」とソウルリンカーの上位職「ソウルリーパー」(いずれも日本では仮称)もテストが行われているところですが、ある程度スキルなど仕様が固まったところで我々のほうで実装テストを開始することになると思います。……今の感じですと、来年中になりそうかな……という感じですかね? ドラムのときも我々のテストだけで1年以上かかってしまいましたから。


山本氏:

 ドラムの場合は新種族ということでいろいろ大掛かりでしたからね。


中村氏:

 今回は既存職の上位ですし……と言いつつも、拳聖などは特殊な職業ですからね。スキルはもちろん、遊び方という面も含めて調整していかなければと思っています。


 それと、新しいエピソードアップデートに関しては、年初の段階だと韓国でアップデートされてからなるべく早めにと言いましたが、まだ韓国でも実装されていませんので、さすがに今年の予定として考えるのは難しいかなという状況です。


■最後に読者からのQ&Aにもお答えいただきました!


――読者のあんばーさんからの質問なのですが、以前、「ランダムオプション装備を集めると何かいいことがある」的な施策を考えているという話がありましたよね。あの進捗状況を聞きたいという声が届いています。


中村氏:

 ええと、お答えとしては、今から貯めておく必要はまったくないです。


山本氏:

 最初の結婚システムのときにも中村のほうから話題が出ましたが、たとえば、これを導入するためにはこちらを導入しておかなければならないといった感じに、システム的にもいろいろ難しいことが絡んでくる場合があったりするんですね。昔、お話ししたシステムなどでも、そういった関係で遅れてしまったり、実装しようと思っていたものでも、検討した結果、ユーザーさんが望まないものであれば取りやめにするといったことも発生します。


 これは前にもお話しさせていただいたんですが、過去には、確実に実装できるというギリギリの確定段階まで情報を出さない時代もありました。でも、さすがにそれではダメだろうということで、今は先行的に「いけるかも?」程度の進捗のものも情報公開するようにしているんですね。


――逆にそれでプレイヤーさんから意見がきたりすることもありますか?


中村氏:

 記事が掲載された直後にいろいろ意見をいただくことも多いですよ。その意見を見て、調整を行ったりすることもありますね。ですので、実装が確定したことばかりをお伝えしていく状態にしてしまうと、『ラグナロクオンライン』の未来という点においてはむしろマイナスになってしまうのではないか、ということで、いろいろと未確定の情報もお話しさせていただいている感じなんです。


――一度喋ってしまうと、プレイヤー的には「そういえばあのとき言ってたアレはどうなったの?」という話になってくるのかなと。


中村氏:

 それは、そのぶん期待されているんだなととらえるようにしています。我々としてもできる限り頑張って実装に向けて進めていこうという気持ちです。


――わかりました。いろいろと細かい点まで教えていただき、ありがとうございました。とりあえず、ワールド倉庫の実装に期待しています。思い出のアイテムなどを別ワールドの倉庫に放り込めるだけでも倉庫整理がはかどりそうです(笑)。

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 だいぶ驚きの内容も多かった今回のインタビュー。主に運営チームの意図に関して長めに掲載させていただいているため、インタビューとしては冗長な部分もあると思います。細かい仕様などについては、改めて公式サイトなどに掲載される発表を待っていただければと思います。


 2018年序盤、突然の沈黙となってしまったワールド倉庫ですが、装備の移動解禁が予想よりも早く訪れることになりそうです。これはわりと思い切った施策だと感じました。これまでのワールド単位のコミュニティよりも、ワールドの垣根を越えた、『ラグナロクオンライン』全体を意識した流通改革のようにも思えます。TwitterやRO丼、Discodeといった、ワールドに縛られないコミュニティが形成されつつあるなかで、今回のワールド倉庫の実装は、そういった動きを後押しする流れになるかもしれません。よく耳にする「Breidablikは人やアイテムがたくさんで羨ましいなぁ」とか「いや空いているそっちのほうが羨ましいよ」という会話も、ワールド倉庫の実装によって少なくなっていくのかもしれませんね。