毎年恒例となりつつある『ラグナロクオンライン』(以下、RO)運営チームの年頭インタビュー。今年も他のゲームメディアさんと同様に、当サイトでも掲載させていただけることになりました。

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 ご対応いただいたのはおなじみ、ガンホー・オンライン・エンターテイメント、『RO』運営チームの中村聡伸氏と山本兼寛氏のおふたり。今回は新型コロナウィルス対策もあり、初のオンラインでのインタビューとなりました。現時点ではプレオープン中の「蜃気楼の塔YE」の今後の展開、年間を通してのイベントやアップデートの予定、そしてついに姿を見せる「4次職」の情報などもお聞きすることができたので、ぜひチェックしてみてください。

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▲『RO』運営チームの中村聡伸氏(左)と山本兼寛氏(右)。背景は「18thアニバーサリーパッケージ」に収録されていた壁紙画像を利用!? セイレン=ウィンザーさんとS・J・アーネストウルフさんはご出席されていませんのでお間違いなきよう……。


■BaseLv185への解放、星帝とソウルリーパーなどが実装された2020年

――まずは2020年を振り返っていかがでしたか。

★中村聡伸氏(以下、中村氏):
 一番大きなアップデートは2020年1月28日(火)、BaseLv185への解放を行った「RagnarokOnline extended update EVOLUTION -進化-」だったと思います。そこでキャラクターの強さが底上げされ、次に行われたのが「EPISODE:EDDA生体工学研究所」ですね。こちらは日常的に遊んでいただけるコンテンツとして、現在でも継続してプレイされています。9月29日(火)には、新職業である星帝とソウルリーパーを実装しました。待望の拳聖とソウルリンカーの上位職ということで、これですべての職業系列のキャラクターがBaseLv185まで成長できるようになりました。

――拳聖とソウルリンカーの成長は14年振りということで、長く待っていた方もおられましたね。

★中村氏:
 長らくお待たせしてしまいましたが、ようやくの実装となりました。その後、11月10日(火)にはエピソードアップデートとして「EPISODE:ILUSIÓN~賢者の遺産~」を実装しました。こちらは大ボリュームなアップデートとなっていまして、メモリアルダンジョンだけでも一気に4つ追加されています。BaseLv185になっていないと入場できないメモリアルダンジョンも初登場しています。どのくらいのプレイヤーの方がBaseLv185になっているかなど、皆さんのレベルアップ状況に関しては運営チームでも継続的に確認させていただいている感じです。

――私もまだBaseLv185に到達していないので「時間に忘れられた飼育場」は覗けていません(笑)。

★中村氏:
 一方で、イベント周りに関しましては、恒例の夏イベントの代わりに「スケルタル・マッスルのムキムキブートキャンプ」(以下、ブートキャンプ)という育成イベントを実施しました。こちらはかつての「サマスペ!」のような雰囲気を復活させたイベントになっていました。「釣り」と「マラソン」(パワースポット巡り)で経験値を稼ぐという内容でしたが、かなり多くの方に遊んでいただけました。

――山本さん的には印象に残ったアップデートはありましたか。

★山本兼寛氏(以下、山本氏):
 1月にBaseLv185を解放した際、誰がどのくらいの期間で最初にカンストまで到達するのかというのは、運営チームでも気にしていたんです。前回のレベルキャップ解放、BaseLv175のときは、最速でカンストに到達するまでの時間というのはだいたい想定内だったんですね。今回は予想よりも少し早めにBaseLv185に到達された方がおりまして、熱意のあるプレイヤーさんに遊んでいただけてありがたいなぁという印象でした。

――ちなみにどのくらいでカンストまで到達されたのでしょうか。

★山本氏:
 運営チームの想定では早くても一ヶ月ちょっとはかかるかなと思っていました。実際には3週間ちょいで到達されていましたね。ネットカフェも利用されていたみたいです。

――ああ、公認ネットカフェの経験値増加! かなり計画的ですね。

★山本氏:
 攻城戦プレイヤーの方で、最速で上げるという計画だったようですね。

――経験値狩場というと「訓練の間」などが思い浮かびますが。

★山本氏:
 どうやら「グラストヘイムアビス」を利用されていたようです。おそらく、BaseLv185を狙うキャラのプレイヤーさんがネットカフェに行って、サポートを行うメンバーが家からログインして、ギルドで連携して経験値を稼いでいたのではないでしょうか。

――なるほど(笑)。予想以上に計画的でした。

★山本氏:
 あと印象に残っているのは星帝とソウルリーパーですね。久々に新職業が実装されましたが、ちょうど「RJS」(RagnarokOnline Japan Siege Wars)も新シーズンが開幕するところだったんです。そのため、新職業の性能調査をはじめとして、攻城戦でどうやって活かしていくのかといったところを模索されていたギルドさんも多かったですね。特に星帝は攻城戦にも強い職業になっていますので、なかには夜通し研究されていた方などもいらしたようです。

――私は直接攻城戦関連には参加していないのですが、星帝はかなり猛威を振るった……いや、振るっていると聞いています。

★山本氏:
 実を言うと、最初はソウルリーパーのほうが注目されていたんですね。ただ、シーズン中盤以降になると星帝が台頭してきて、今の攻城戦の一翼を担うまでになっています。どこのギルドでも「こりゃ星帝を用意しないと!」となっていたところでブートキャンプが実施され、いいタイミングで育成に繋げられたのはよかったのかなと。

――どちらも狩りでも使いやすい職業になっていますよね。

★山本氏:
 もともと拳聖に関しては、狩りではイマイチ使いにくい職業という印象でした。が、星帝になって非常に使いやすくなっていると思います。また、最近は遠距離物理職推しが多かったのですが、久々の強力な近接物理職という点で楽しんでいただけていることも多いかと思います。ソウルリーパーはどちらかというと魔法職になりますが、強力な闇属性魔法を活かした戦い方を楽しんでいただいているかたちになっています。

――ソウルリンカーのときも「カアヒ」によるHPの半自動回復が可能でしたが、SPの回復がネックでしたね。ソウルリーパーになってSPの自己回復ができるようになったので、ソロにも非常に優しい職業だなぁという印象です。

★中村氏:
 そんな感じで、2020年に関しては、スケジュールが前後することはありましたが、予定していた実装内容は概ね達成できたのではないかなと思っています。

■2021年に本格始動する大規模PvEアトラクション「蜃気楼の塔YE」の全貌とは!?

★中村氏:
 2021年なんですが、自分たちで言うのもナンですが、このタイミングって中途半端なんですよね。サービス開始から19年目……。年々積み重ねているものはありますが、やっぱり20年目に向けていろいろと準備もしていきたいなという気持ちもあります。とはいえ、我々が20周年への準備にかかりっきりになっていても、プレイヤーの皆さんには楽しんでいただけませんからね。2021年もこれまで同様に、1年通して楽しんでいただけるように、アップデートやイベントを進めていきたいと考えています。

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▲具体的な2021年の施策概要として、ふたつの柱と4次職実装に向けた道のりなどが語られました。

★中村氏:
 まずはYggdrasillワールドについてお話しさせてください。Yggdrasillワールドは全ワールドのプレイヤーが集まることのできる特殊なワールドとして2018年にオープンしました。現在では「攻城戦YE」や「ティアマト攻城戦YE」などが定期的に実施されています。昨年末からはいよいよ「蜃気楼の塔YE」もプレオープンしていますね。今年もより多くの方に遊んでいただけるように育てていきたいと思っています。

 ふたつ目は通常ワールドに関して。もちろんアップデートも予定していますが、今回はイベントの遊びやすさについて触れていこうと思っています。最近は「毎年同じイベントをやっているよね」というイメージがあるので、そういうイメージを払拭しつつ、お楽しみいただけるイベントを展開していきたいと考えています。

 あとは、みなさんきっと気にされているであろう4次職について。我々運営チームでももちろん重視していまして、実装に向けて進めていきたいと思っています。ここですでに「早くて年末なのかよ」という声も出そうですが……。

――今回、公式側からの初の発表ですし期待も大きいと思います。

★中村氏:
 とはいえ、4次職に関しては、まだまだ参考情報的な感じになりますが……。では、順を追ってお話しさせていただきたいと思います。まずはYggdrasillワールドについて。私のほうからは主に「蜃気楼の塔YE」に関してですね。年末からプレオープンを行っていますが、全体の構造がイマイチわかりにくいかかもしれませんので、改めてそのあたりのご説明もさせていただければと思います。

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★中村氏:
 各ワールドで実施されていた従来の「蜃気楼の塔」は最大100人で同時にスタートするコンテンツでしたが、「蜃気楼の塔YE」では最大12人×8ルートがそれぞれの部屋からスタートして、途中で合流しながら最上階を目指すというコンテンツになっています。プレオープンの時点で実装されているのは次の図でいうと最下段のところだけなので、「ちょっと短いな」と思う方もいるかもしれません。

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★中村氏:
 「蜃気楼の塔YE」は、年内にどんどん拡張していって、最終的に最大96人で合流するところまで実装していく予定です。

★山本氏:
 プレオープン時には最初の12人のルートが合流する地点までが実装されていまして、登頂を果たされた方であれば合流する地点が見られると思います。他の7ルートの進行度も見えるようになっていますので、この先の雰囲気を感じ取れるのではないかと思います。

 ちなみに、下層では戦闘不能になっても「イグドラシルの雫」を使って復活させてもらえますが、数回戦闘不能になると強制退場となります。これは次のステージになると強制退場までの回数がより少なく設定されていきます。最終的な96人ルートでは1回の戦闘不能で強制退場ということになります。

――そこは従来の「蜃気楼の塔」と同じ緊張感なんですね。

★山本氏:
 プレオープンのあとの実装内容としては、第1次アップデートとして、さらに上の階層にあたる4つのルートが実装されます。プレオープンの下層部分は同じようなマップになっていましたが、このルートからはそれぞれ別の塔を登っていくことになります。

★中村氏:
 あっ、図では1ルート目と2ルート目が合流している感じに見えますが、実際は8つのルートのうち、どことどこが合流してどのルートへ進むかはランダムになっています。

――それぞれランダムで合流したメンバーが、同様にランダムで異なる塔へ挑むことになると。

★山本氏:
 第2層目に関しては4つということもあって、例えば火水風地の属性だったり……。

――ああ、なるほど。でもどこに進むのか、ランダムだと大変そうですね。

★山本氏:
 それぞれのボスも違います。

――むむ、そうなんですね……。ところで、プレオープン時点の範囲でも10階層ありましたが、将来的に、全体を通して実装されると結構長い時間がかかるのでは?

★山本氏:
 最終アップデートまで行った際の制限時間に関しても、1時間30分程度を想定しています。ただ、合流後の話になるのですが、下層をある程度早くクリアしておかないといけない感じになっているんですよ。下層エリアを○○分以内にクリアしておかないと先に進めない、といった制限がかかる場合もあるんです。

――安全策をとってのんびり進んでしまうと、ある地点から先へは進めない、なんてこともあると。

★山本氏:
 通常ワールドの「蜃気楼の塔」で衣装装備をもらうために一定時間以内にクリアする必要がありました。そんな感じのタイムアタック要素もあるということなんです。今回は衣装装備ではなく、先へ進む権利になりますが。急がなくてはいけないし、急ぎすぎて戦闘不能になってしまってもいけない。今までの『RO』ではなかったコンテンツになっていると思います。

――衣装装備のタイムアタックは「いけそうだから狙ってみますか」みたいな雰囲気が広がっていった感じでしたが、「蜃気楼の塔YE」では素早くクリアするのが重要になりそうですね。

★山本氏:
 そうですね。ただ、スピード重視で、1ルートに戦力を集中させたとしても、残りのルートの塔が攻略できないと意味がなくなってしまいます。バランスよく、それなりの形で参加者全員が先に進んでいけるようになるのが理想的です。

――たとえば、先に進めないルートがあったとすると、全体的にはどういう流れになるんですか?

★山本氏:
 先に進めなかったルートの参加者はそこで終了ですね。残りのルートが先に進めている場合、本来合流するはずだったメンバーを欠いたまま先に進むことになります。しかも、たとえば、本来48人で参加するルートに24人だけで到達した場合、通常よりも難度がアップする仕組みになっています。

――ん? 48人で挑むところに24人だから、相対的に難しいという話ではなくて?

★山本氏:
 はい。より難度がアップします。本来の難度に比べて4倍難しいイメージですね。

――えええ。それは厳しいですね!

★山本氏:
 「蜃気楼の塔YE」は、できることをみんなでやっていきましょうというコンテンツになっているんです。ただし、そのぶん、報酬もよくしていますよ。

★中村氏:
 とりあえず、プレオープン時点で「下層は手早くクリアできるぜ」という状態で、第1次アップデートを迎えていただければと。

――まぁ序盤はわりと気楽に挑戦していける感じですが、次のアップデートエリアが気になるところですね。

★山本氏:
 プレオープン時点ではコアなプレイヤーさんでなくても、それなりの装備があって、人数さえそろっていれば、十分クリアできると思います。ただ、上層まで加わってくると、やっぱり時間が圧迫されてくると思うんですね。そういうとき、どこを縮められるのかと考えると、下層のココはもっと短縮できるのではないか、ということにもなると思います。下層はクリアだけなら難しくはありませんが、時間短縮を考慮すると、いろいろと攻略のしがいがあるのではないかと。

――どことなく「ティアマト攻城戦YE」全体での時短戦略にも通じるところがありますね。

★中村氏:
 そうですね。プレオープンの時点からそういうところを考えて遊んでいただくのもいいかもしれません。

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★山本氏:
 「蜃気楼の塔YE」の難易度自体に関して、プレオープン時にはNormalとHardのみが実装されています。それぞれは「ティアマト攻城戦YE」のNormalとHardのイメージと同じだと思ってもらっていいと思います。InfernoはNormalとHardが落ち着き次第導入させていただこうと考えています。こちらも「ティアマト攻城戦YE」のInfernoのように、コアなプレイヤーさん向けの高難度コンテンツをイメージしていただければと。

――な、なるほど……。

★山本氏:
 「蜃気楼の塔YE」ではEasyがない代わりに、Extraという難度を実装しようと思っています。Yggdrasillワールドは正式オープンに際して、上位二次職などを作成できるようになっています。ExtraではBaseLv99以下の上位二次職までの職業制限が設けられる予定です。ドラムのサモナーを導入するかどうかはまだ検討中ですが……。BaseLv99以下のキャラクター、および、そのレベル帯のキャラが装備できるアイテムというのは実質制限されているわけで、そういった“縛り”の中で登っていただく蜃気楼の塔YEという感じです。「攻城戦TE」の蜃気楼の塔バージョンといえるかもしれませんね。

――強い装備は案外BaseLv100以上の制限があったりしますからね。BaseLv99以下となると、それだけでかなり制約がかかる感じですよね。

★山本氏:
 もちろん、縛りがあるぶん、塔の内部に出現するモンスターも弱めにはなっています。それでもExtraと銘打つからにはある程度は難しくしたいと思っていまして、別ベクトルのInfernoと言えるくらいの難度になる予定です。

★中村氏:
 「蜃気楼の塔YE」に関しては、そんな感じで、難易度の広がりと、塔の縦の広がりが、2021年内にちょっとずつ拡張されていくイメージですね。大規模なアップデートになりますが、みなさんの遊ばれているペースを鑑みつつ、実装していければと思っています。

■「RJS」を中心とした「攻城戦YE」の流れ、そして「攻城戦TE」の移植も準備中

★山本氏:
 その他、Yggdrasillワールドではやはり「攻城戦YE」関連のお話もさせてください。現状はマッチング戦を中心に楽しまれている方も多いと思いますが、大会形式の「RJS」に関して、10週開催して間を開けて……というペースで開催しています。2021年もこのペースでの開催を考えていまして、年3回程度の開催になると思います。

 それと、プレイヤーさんから「いつになったら仕様が固まるんだ!?」とお叱りを受けたりもするのですが、「攻城戦YE」自体は「RJS」のシーズンの終了をもってひと区切りと考えています。例えば、そのタイミングで変更を行うとして、要は「少しレギュレーションを変更して新たな戦いに挑んでいただく」という感じにとらえていただければと思っているんです。「今回はこういうルールでやってみましょう」というか。

★中村氏:
 もちろん「RJS」のシーズン中に調整を入れるのはできる限り避ける予定です。逆に言えばシーズンの切れ目に調整を入れていくことは出てくると思います。ただ、「攻城戦YE」としてみた場合、大きな柱としてのルールというのは、ある程度、確立できている状態になっていると考えています。「RJS」にスポンサーさんがついていただけた際には賞金付き大会になりますので、ぜひお誘い合わせのうえ、ご参加いただければと思います。

――シーズンの切れ目には、SNSなどでギルド募集やメンバー募集の書き込みなども目にしますよね。

★山本氏:
 そうですね。なかには傭兵として参戦していて、契約期間が終わったので傭兵先を募集していたりとか。ギルドの改編などが行われたりもしていますし、シーズンの切れ目で参戦を検討していただくのもいいのではないかと。

――対戦予想も変わってくるのでそういう情報を追っていくのも楽しいかもしれません(笑)。

★山本氏:
 それと、「攻城戦TE」に関して。毎年このインタビュー時にYggdrasillワールドに移植しますと言っておきながらできていないのですが……。

――まぁ、「攻城戦YE」が落ち着き次第ということでしたからね(笑)。

★山本氏:
 はい。さすがにもう着手していかねばと。「忘れていませんからね! ちゃんと予定していますからね」ということだけお伝えさせてください。

■通常ワールドの季節イベントは3週間ペースで! メモリアルダンジョンやイリュージョンダンジョンの追加も予定!?

★中村氏:
 続いては通常ワールドのお話をさせていただければと思います。先にイベントのことになりますが、季節イベントに関して、2021年は基本的には3週間の開催、その後1~2週のインターバルを置く感じで全体的な組み直しを行っているところです。間が空くこともあるかとは思いますが、そういう場合には1~2週の短いぷちイベントを挟むなどして遊んでいただけるようにしていきたいなと。

――なるほど。たしかにこれまでは同じ季節イベントでも開催期間に違いがありましたね。メインの季節イベントは3週間と決められていればプレイの予定も立てやすいですね。

★中村氏:
 日常でのキャラクター育成や、装備の獲得などは、アップデート時に実装されるコンテンツで行っていただけているという認識で、その上で、テーマを明確に打ち出したイベントを行っていく感じになります。ですから、比較的長期……半年から1年くらいの周期でいろいろなジャンルのイベントを開催し、プレイヤーの皆さんに楽しんでいただく予定です。具体的には2月に予定しているイベントからそんな感じの調整を行っています。

――これまでは、コンテンツが多すぎてどれをメインに楽しめばいいのか迷ってしまうイベントもありましたね。熟練者はいいのですが、初心者や復帰者が「で、どうすりゃいいの?」と戸惑う声もあったりしました。

★中村氏:
 例えば、昨年「ブートキャンプ」を行ったというのも、そういうイベント調整のお試しの一環でもあったんですよ。あれは育成を前面に押し出したイベントになっており、いろいろなやり方で育成が可能になっていました。今年は、どういったイベントを行えばプレイヤーのみなさんに喜んでいただけるのか、そういった声にも耳を傾けつつ、イベントを展開していきたいなと思っております。

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★中村氏:
 一方、合間合間に予定している「ぷちイベント」に関しては、アップデート自体に焦点を当てるイメージで行っていきたいと考えています。例えば昨年、イリュージョンダンジョンの獲得経験値20倍イベントを行ったように「最近のアップデートのココに注目」とか「今ココで遊ぶのがお得」といった期間を、ぷちイベントとして用意していく感じですね。合わせて「ドーナツお姉さん」のような、いわゆる“3%回復剤”も用意させていただく予定です。

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★中村氏:
 通常ワールドにおけるアップデートに関しては、今お伝えできる内容として、2021年は主に3つ用意しています。ひとつ目は「グラストヘイムメモリアルチャレンジ」です。このメモリアルダンジョンでは、グラストヘイムに関する新たなストーリーも見ていただけると思います。イメージ画像の上のほうにいるのがボスなんですが、これ、実は宣伝用のプロモーション動画にも登場したりしています。

――「グラストヘイムメモリアルチャレンジ」は具体的にどんなコンテンツになるのでしょう。

★山本氏:
 既存の「グラストヘイムメモリアル」と、「グラストヘイムメモリアル(ハード)」がありますが、そのさらに上に位置するコンテンツという感じです。まさに「チャレンジ」していく内容になっているんです。マップなど、基本的なところは同じと言えば同じなのですが、ギミックやモンスター、そしてもちろん報酬が異なります。また、「グラストヘイムメモリアル」と言えば時空エンチャントなど、印象的なエンチャントが思い出されますよね。そういった新たなエンチャント、新たな装備なども実装される予定になっています。

――なるほど。「グラストヘイムメモリアル」も実装当時は高難度コンテンツでしたし、今回もなかなか手強そうですね。

★中村氏:
 実は、「オスカー」という、バルムントとは別の意味で次元を超えることのできるNPCが登場したおかげで、いろいろな時代のグラストヘイムを見せることができるようになりました(笑)。今回もそんなコンテンツのひとつだと思っていただければ。

★山本氏:
 今まで戦えなかった敵と戦えるようになったりとか……。

★中村氏:
 グラストヘイム関連のNPCは人気も高いので、ストーリーの点でも注目していただけると思います。

――なるほど確かに。登場から日が浅いにも関わらず、「オスカー」自体も人気投票本戦に出場していましたし。

★中村氏:
 それと、新しいイリュージョンダンジョン「イリュージョンオブアンダーウォーター」が実装予定となっています。これは「イズルード海底神殿」をモチーフにしたイリュージョンダンジョンですね。

★山本氏:
 これまでのイリュージョンダンジョンの傾向を踏襲している感じで、海底神殿にいる「スロフォ」などの亜種モンスターが登場する予定です。

★中村氏:
 また、さらにメモリアルダンジョンの追加も予定しています。こちらは「タナトスの記憶」という名称です。

――「タナトスの記憶」ということは「タナトスタワー」を元にしたメモリアルダンジョンですか?

★山本氏:
 そうです。とはいえ、現時点では、まだあまりお話しできることはないのですが……。実装の順番としては挙げさせていただいた通りになる予定です。それぞれのコンテンツに共通しているのですが、元となるダンジョンがありますので、方向性としては同じ感じになっていく予定です。

■2021年末から2022年第1クォーター、日本の『RO』にもいよいよ4次職がお目見え!?

★中村氏:
 新たな実装コンテンツのひとつとして、韓国のほうでは新たな「英雄の痕跡」シリーズなども発表されたりしています。ただ、それらは、実はBaseLv200以上向けのコンテンツだったりするんですね。現状の日本の状況ですと、すぐにはローカライズできません。そのBaseLv200というのも目の前に見えてきているという状況もあって、4次職の話が出てくるわけなんですね。

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▲巷ではちょこちょこと情報は流れてきていたものの、『RO』運営チームからの正式な情報はこれが初となる4次職。日本でも2021年末から2022年を目処に実装予定とのこと。(クリックで画像拡大)

★中村氏:
 振り返ってみますと、3次職のアップデートには2年半くらいかかっていたんですね。ただ、4次職に関して言えば、システム的なアップデートは3次職実装時よりも少なめなので、そこまで長くはかからない想定です。すでに検証作業は始まっていますが、ご覧の通り職業数が多いので約1年くらいはお時間をいただくことになると思います。その過程で、お見せできる情報があれば随時発表させていただければと考えています。

 韓国では2020年9月16日(水)に4次職が実装され、イラストなども公開されています。日本における実装時の名称も決まりつつあります。まだ正式決定というわけではないのですが、だいたい上の資料のような感じになると思いますので、今回のインタビューで先行してお伝えさせていただければと。

 この中で、メカニックの4次職のマイスターに関しては、ABRというメカを操ることができるようになります。これはシルバースナイパーやマジックデコイといったFAWシリーズの進化系になっています。今回のABRは、一緒に戦ってくれるキャラクターのような感じです。結構ドットも作り込まれていますよ。

――FAWですか。魔導ギアの進化系ではないんですね。

★山本氏:
 魔導ギアの進化系はキャラクターの横にいる、ちょっと浮いている感じのドットキャラになります。

――身に纏う系になった!?

★山本氏:
 はい。そんな感じです。

★中村氏:
 修羅の4次職のインクイジターって何ってよく聞かれるんですが、審問官とかそんな感じの人ですね。怪物や異教徒を狩るために襲いかかってくる某キャラみたいな……(笑)。ジェネティックの4次職はバイオロとなりまして、横に描かれているのは、アルケミスト時代に「バイオプラント」で「ジオグラファー」や「フローラ」を出現させて戦っていた発展型と言いますか……。

――ホムンクルスとは違うんですね。これとは別に、ホムンクルスやホムンクルスSなどはこれまで通りに使えるんですか?

★中村氏:
 はい。そちらはこれまで通りです。最後に、ソーサラーの4次職はエレメンタルマスターとなりまして、使役できる精霊のグラフィックもご紹介しています。

――あの、なんか精霊が1種類増えているんですが。これは闇属性ですかね? ほかの4種は地、水、火、風の精霊の発展型かなと思うのですが。

★中村氏:
 これは毒属性ですね。

――毒属性の精霊!? どんな効果があるのか気になりますね。

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▲ルーンナイトの4次職「ドラゴンナイト」。

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▲アークビショップの4次職「カーディナル」。

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▲ギロチンクロスの4次職「シャドウクロス」。

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▲ワンダラーの4次職「トルヴェール」。

■4次職では新たな「特性ステータス」を成長させることに!

★中村氏:
 4次職になって最も変化するところは、「特性ステータス」の実装だと思います。4次職に転職すると、通常のステータスポイントは獲得できなくなります。その代わり、特性ステータスを伸ばすことのできる新しいポイントが獲得できます。特性ステータスは、通常のステータスの強さへの影響度をさらに高める内容になっています。具体的には画像をご覧いただければと。特性ステータスを割り振ることで、通常のステータスによってカスタマイズされたキャラクターのどこをより伸ばすかが選択できる感じです。カスタマイズの幅がより広くなると認識していただければと思います。

――元のステータスありきでいろいろ変わってくるんですね。なかなか難しい感じになりそうですね。

★中村氏:
 例えば、今までStrを上げて攻撃力を上げていたわけですが、4次職になったら今度はPowを上げることで、今まで伸ばしていた攻撃力について、さらに割合で強化するという感じになりますね。今回からクリティカル時のダメージをアップさせる「C.Rate」といったステータスも加わりますので、気にされる方も多いかもしれません。

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▲まだ翻訳されていないためちょっとわかりにくいかもしれませんが、上段のステータスによって得られた強さを下段の特性ステータスでさらに強化していく感じになっています。(クリックで画像拡大)

――これまでのステータスというのは3次職の時点で一応の完成となり、4次職への転職後はBaseLvのレベルアップ時には“特性ステータスポイント”のみが獲得できるようになるということですか?

★山本氏:
 そうです。

――ということは、4次職に転職できるようになるBaseLvは決まっている?

★山本氏:
 現在、韓国で実装されている仕様は、BaseLv200に到達することで4次職に転職が可能になるというものです。ですので、BaseLv200までのステータスポイントがこれまでのステータスに割り振れます。BaseLv201以降で獲得できるのは特性ステータスポイントになり、以後は特性ステータスを伸ばしていくということになります。

★中村氏:
 もうひとつ、特徴的なものが「AP」と呼ばれるパラメータです。これはHPとSP以外の要素になりまして、足元に新たにゲージも追加されます。そもそも4次職のスキルには2種類ありまして、「APが増加するスキル」と「APを消費するスキル」になります。APは自動的に増減することはありません。「APを増加させるスキル」を使ったときに増え、一定値以上に到達した際に「APを消費するスキル」を使えるようになるという感じです。

 4次職の新スキルには、例えば新しい状態異常を与えるスキルなどが予定されています。今まで使えなかった不死属性の魔法スキルなどもありますね。また、自身の周りの敵に継続的にダメージを与えるスキルなんてものもありまして、このあたりは拳聖の「~温もり」系スキルをイメージしていただくとわかりやすいかもしれません。

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▲4次職のキャラクターには新スキルに関連した「AP」というパラメータも追加される。(クリックで画像拡大)

★中村氏:
 スキルそのものの挙動の確認など、検証中ですので、具体的な数値などはまだお話しできませんが、そういった方向性のものが多数用意されています。

――APが自然増加しないということは、イメージとしてはここぞというときに使うスキルなのかなと。

★山本氏:
 そうですね。アクションゲームなどではよくあると思うのですが、攻撃をしていくとゲージが溜まって大技が使えるようになるイメージでしょうか。

――必殺技ゲージ的な。

★山本氏:
 はい、そんな感じです。

★中村氏:
 4次職に関しては2021年の年末から2022年の第1クォーターくらいの時期の実装を目指して進めていきたいと思っています。

――資料の中に「テストサーバーを設置」とありますが、これはプレイヤーも参加可能なテストになるのでしょうか。

★中村氏:
 そのあたりもまだ検証中でして、現時点では検討中という感じです。というのも、そもそも4次職に関して、中途半端な状態でお見せしていいのかどうか、また、テストを実施するとなると、別途クライアントプログラムの配布やインストールの必要も出てきます。はたしてそういったことが可能かどうかなど、現時点ではまだ確認するべきことが多くあり、明確にお答えできる状況にないんです。ただ、4次職に関する情報の公開は、できるだけ切れ目のないようにやっていきたいと考えていますので、続報をお待ちいただければと思います。

――4次職が年末から来年頭あたりということは、韓国の流れを参考にするならば、BaseLv200までのレベルキャップ解放というのも予定されているのでしょうか。

★山本氏:
 それも、現時点ではまだなんとも言い難いというのが正直なところなのですが……。4次職実装において、システムとしてBaseLv200以上へのレベルアップが必須だということになれば解放することになると思います。

――4次職への転職にBaseLv200が必須ではなくなる可能性もあると?

★山本氏:
 可能性はありますが、そこも含めて検証中です。現状の流れとしては、「4次職実装に当たってBaseLv200以上へのレベルアップが可能になるように準備をしている段階」です。具体的にBaseLv200以上へのキャップ解放がいつになるかは、早ければ4次職実装前、遅い場合は4次職実装と同時ということもあるかもしれません。ただ、今考えている理想としては、4次職実装前にBaseLv200までを解放し、育成を行っていただきつつ、4次職実装に備えるという感じですね。

――なるほど。

★山本氏:
 さきほどもチラッとお話しましたが、韓国などではBaseLv200以上が対象のコンテンツというのも結構あるんです。例えば、アインベフやアビスレイク、オーディン神殿などのマップ拡張も予定されているのですが、そういったエリアはすべてBaseLv200以上のコンテンツになっているんですね。日本の『RO』運営チームとしてもBaseLv200のコンテンツと合わせて実装していきたいと考えています。4次職実装にあたって、BaseLv200以上へのキャラクターの成長が必須であると判断できれば、プレイヤーのみなさんがキャラクターを成長させられる環境を整えつつ、BaseLv185から先に進んでいただくというロードマップを敷いていきたいと思っています。

★中村氏:
 現状ですと、BaseLv180を目指していただいて、その先はゆっくり育成していただけたら……という感じの経験値配分になっています。BaseLv200までの拡張が入ったなら、もちろん、そのあたりの調整も必要かなと思っています。とはいえ、調整と言いましても、経験値テーブルを変えるというのではなく、遊べるコンテンツを増やしていくというのが正しい流れなのかなと思っています。そういった新たなコンテンツを楽しみつつ、BaseLv200を目指していただくという流れでしょうか。

――経験値テーブルを変えないということは、さらに経験値を稼げるようなコンテンツを追加していく感じでしょうか。

★中村氏:
 例えば、現状でもイリュージョンダンジョンなどは、高レベル帯のキャラクター向けに、デスペナルティのないダンジョンで経験値を稼いでいただく目的で作っています。そういった感じで、BaseLv200に向けたコンテンツを追加していきつつ、遊んでいただければと考えています。

 4次職の話が出てはいますが、まだ先の話になります。「4次職が実装されたらムダになるかも」とご心配されている方もいらっしゃるかもしれませんが、そういったものはないと思うんですね。4次職というのは新たに上積みされていくものですので、今使っているスキルや装備というものに関しても、そのまま使いつつ、プラスアルファとして4次職というコンテンツが加わっていくことになります。

★山本氏:
 装備などに関しても、例えばBaseLvが増加するごとに強くなるものなどは今後も強くなっていくでしょうから、継続して使用していけると思います。

――言われてみればそうですね。BaseLv200を超えるとよりいっそう強くなりそうですね。

★山本氏:
 実は、以前にインタビューでお答えしたこともあるのですが、もともと韓国ではキャラクターの育成はBaseLv200までを予定していると伺っていたんですね。我々もそういったロードマップを考えていたのですが、現状、韓国では4次職実装でBaseLvが250まで成長できるようになっています。もともとのステータスというのは現状でだいたい頭打ちにしておかないと、いろいろ大幅な修正が必要になってしまいます。そこで今度はどのように育成していくことになるのか注目していたところ、今回ご紹介したような特性ステータスという方式になりました。我々も、最初に聞いたときは驚きました。現状、そういった状況で検証を行っている最中でして、まだ日本での具体的な仕様についてはお話は難しいのですが、まずは実装に向けて検証と準備を行っていくという決意表明のような感じをお伝えできればと思った次第です。

★中村氏:
 4次職に関しては、とにかく要素が多いので、今から真剣に取り組んでいこうという心構えがありますし、いざ20周年を迎えるときに4次職がしっかりと動いているほうがいいよねというのもありますからね。今年は19年目ではありますが、4次職実装という大きな目標を掲げて、頑張っていきたいと思っています。

――ひとつ気になったのですが、3次職系統の職業には4次職が実装されますが、拡張職はどうなるのでしょうか。また置いていかれてしまう感じですかね……?

★山本氏:
 現状、韓国でも拡張職における4次職相当の職業は用意されていませんので、今のところ、韓国準拠になった場合はおっしゃるとおりの状況になってしまいます。ただ、日本で実装される際にどうなるのかといった点は未定ですので、韓国側と交渉して、BaseLvだけは上げられるようにするであるとか、以前のスーパーノービスのようにスキルの拡張を行うであるとか、そういう可能性もゼロではありません。我々としましても、せっかく拡張職が追いついたこの状況で、また置いていかれてしまうというのは、攻城戦などにも影響が出ますし、避けたいところではあります。しかし今のところは「日本ではまだ決まっていない」としかお答えできない状況になります。

★中村氏:
 日本で4次職の実装準備をしている間であっても、韓国側でのアップデートは行われていますので、そこで拡張職の成長要素が追加されるようであれば、日本でも早期の実装を進めようという流れになっていくと思います。

★山本氏:
 以前あったように、状態異常緩和ポーションなど、補助的な対策はいくつかやりようはあるとは思いますが、なるべくならそろってレベルが上がるほうがいいですからね。そこは努力していきたいです。

――そうですね。星帝やソウルリーパー実装から1年程度でまた差が開いてしまうのは悲しいですし、いろいろ期待したいところです。では最後にプレイヤーのみなさんにメッセージをお願いします。

★中村氏:
 2021年は『RO』のサービス開始から19年目です。まずは20周年に向けて大きな足がかりを作っていきたいという想いがあります。これまで通りの『RO』らしい、毎日楽しんでいただける演出で盛り上げていきたいなと。いろいろなものを実装し、お楽しみいただけるように運営を続けていきますので、19年目もまたよろしくお願いします。

★山本氏:
 18周年を終え、19年目を迎えて、かなり老舗なゲームになってきていると思うのですが、まだまだこれから新しいものを導入していく予定です。4次職はもちろんのこと、こんなに年数を重ねているゲームなのに新しいステータスが追加されるなんて、なかなか珍しいのではないかと思っています(笑)。この先の20周年に向けて、Yggdrasillワールドも含め、みなさんに楽しんでいただけるよう、引き続き頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

――本日はありがとうございました。


 4次職に関しては、韓国での実装状況が伝え聞こえていた程度で、まだ明確な実装予定などは明かされないのかなと思っていたのですが、意外にも年始のこのタイミングで情報が飛び出したので驚きました。まだ具体的な内容は検証中ということなので、引き続き新たな情報に期待したいところですね。

 また、季節イベントの見直しなども気になるところ。シリーズものとして楽しめていた反面、「ハイハイ、いつものアレと同じね」というイベントも確かに増えてきていたので、マンネリ感の払拭と、新しい風を吹き込んでくれる予感に期待しています。

 19周年というのは難しい年であることは確かですが、老舗オンラインゲームである『RO』は、ある意味独自の路線を突き進んでいるとも言えます。これまで同様、新しい要素をふんだんに取り入れつつも、2021年も、変わらないところは変わらずに、20周年という大きな節目に向けて、日々を積み重ねていってほしいと思っています。

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▲「グラストヘイムメモリアルチャレンジ」イメージ画像。