毎年恒例になっている『ラグナロクオンライン』運営チームの年頭インタビュー。もちろん今年も取材におうかがいさせていただきました。ご対応いただいたのは、おなじみ、『RO』運営チームの中村聡伸氏と山本兼寛氏。

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▲ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社、『RO』運営チームの中村聡伸氏(左)と山本兼寛氏(右)。夏のキャンペーンでプレゼントされたグラスを掲げての1枚。お酒っぽく見えますが実は中身はジュースです(笑)。

 昨年のインタビューをお読みいただいた方であればおわかりになると思いますが、2024年を振り返ってみると、特にYggdrasillワールド関連で実現できていないコンテンツが多数ありました。今回のインタビューでは、なぜコンテンツ制作が遅延してしまったのか、その詳しい理由も明かされることになりました。実は水面下では我々プレイヤーの想像を上回る“戦い”が繰り広げられていたようで……。

 なお、今回公開された画像やアップデート内容などは予定のものであり、実装時に変更される可能性があります。ご了承くださいませ。


■レベル上限解放アップデートやUI改良で『RO』がより遊びやすく進化した2024年

――今年も年頭インタビューの季節になりました。よろしくお願いします。さっそく2025年の施策についてうかがいたいところですが、まずは順を追って2024年の振り返りからお聞きしたいと思います。

★中村聡伸氏(以下、中村氏):
 2023年末に拡張4次職が実装されまして、基本的な職業はすべて横並びに成長できるようになりました。2024年はそこに合わせて4次職・拡張4次職向けのコンテンツを実装していきました。主なものですと、4月に「EPISODE EDDA:生体工学研究所」「INFERNO UPDATE:並行世界のヒメルメズ」の拡張アップデートを行い、それぞれ4次職対応のモードが追加されました。8月にはレベル上限解放を含む「Ragnarok Online Extended update 上限解放-260-」を実施し、BaseLv260、JobLv55まで成長できるようになりました。

――上限解放の際にはスキル調整も行われましたね。

★中村氏:
 4次職や拡張4次職実装の際には少し使いにくかったスキルや、他のキャラと連携が取りにくかったスキルなどを含め、大規模なアップデートを行わせていただきました。このアップデートにより、新しい戦い方が実現できるようになったのではないかと思っています。2024年はあわせて、システム調整なども随時行わせていただきました。例えば重量ペナルティの緩和などですね。重量50%以上でHPSPの自然回復が停止していたのを、70%まで引き上げました。このような感じでより遊びやすくなるような調整を行っています。

――長年手が加わっていなかった部分が改良されたので驚きました。

★中村氏:
 重量ペナルティなどは『RO』運営初期から変更のなかった部分でしたからね。ごぞんじの方もいるかもしれませんが、私はβテストの頃からアーチャー系をメインでプレイしていたので、矢に重量がつくという変更があったときは軽く絶望しました(笑)。それまで矢は30,000個持つのが当たり前でしたから。

――当時のアーチャー系あるあるですね(笑)。だいぶ経って矢筒というアイテムも実装されましたが、矢の重量問題は相変わらずなところがありますね。

★中村氏:
 そんなところも、今回のアップデートで少しは緩和できたのではないかなと。重量ペナルティ緩和と同時でしたが、「ミミミのミッションマスター」も更新を行いまして、クリア後の追加要素として、「グレイウルフシリーズ」、「雪花シリーズ」など、便利な装備が手に入るようになりました。BaseLv250あたりまでの育成において、最低限の装備は整うようになったのではないかと思います。

――先のエピソードのマップで必要となる属性耐性のある防具は非常にありがたいですね。

★中村氏:
 そのエピソードアップデート「EPISODE:ISGARD~死なない者~」も9月に実施しました。なんとか「ラスガンド」を封印するところまでこぎつけて、これからどうなるのか。……というのも本日お話しする予定ですが。

――あれからどうなるのか、ちょっと想像がつかないですが、あとでうかがおうと思います。

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▲「EPISODE:ISGARD~死なない者~」。宿敵「ラスガンド」を封印したはいいものの、予断を許さない状態が続いています。具体的には週2ペースで叩きのめす必要があるくらい。

★中村氏:
 2024年のアップデートとしては、BaseLv220~239帯のキャラで経験値報酬が得られる新たな「幻想叢書」も実装しています。3つの新しい「幻想叢書」を遊ぶことで、次のレベルに必要な経験値の20%ぶんを稼ぐことができます。デイリーコンテンツとして遊んでいただきつつ、経験値の底上げにご利用いただければと。最近の『RO』はBaseLvを先行して上げていき、JobLvはゆっくり上げていただくバランスになっています。というのも、スキルの攻撃力にはBaseLvに影響を受けるものが多く、まずはBaseLvを上げていただき、強さを実感していただこうかなと考えているからなんです。

――なるほど。そういう意図があったんですね。

★中村氏:
 はい、Base経験値多めでお送りしております(笑)。「幻想叢書」の話に戻りますが、ストーリーについても反響を多くいただきました。「私と私」ではレハール君の黒歴史が明かされたりして……。

――ちょっと可哀想な気もしますけどね(笑)。

★中村氏:
 なぜ日記を修道院に残してきてしまったのか。一方で、「クリトゥラ実務ガイドブック」は社会人の方には身に染みるものがあるかもしれません。

――結構繰り返しプレイしているはずなのに、初めて遭遇する応対イベントがあったりして、かなり細かく作り込まれていますよね。

★中村氏:
 そうですね。毎日遊ぶコンテンツでもあるので、変化があるといいかなと。そして、10月には久々となる「英雄の痕跡」の新メモリアルダンジョン「悔恨の墓」を実装しました。「呪いの剣士」の続編ということで、あのあと「ティアラ姫」はどうなったんだろうと思ったらあんなお姿に……。

――立派な亡者に……。すごく気になるのですが、実力不足で挑戦できていないのが悔しいです。そもそも入場可能レベルがBaseLv260以上ですし、ストーリーが気になるけれど、挑戦できない、そしてクリアできないという方もいるのではないかと。

★中村氏:
 BaseLv260で入場できたとしても、難度も高くなっていて、まさにチャレンジコンテンツという位置づけなんですね。新装備の「ポエニテンティアシリーズ」が手に入ることもあり、ぜひ頑張って挑戦していただきたい内容になっています。

――さきほどもチラッと話が出ましたが、2024年はUI関係の改良も多く行われた印象です。

★中村氏:
 そうですね。ダメージ表示の変更だったり、2024年後半には自分以外のキャラクターを半透明化できるようになったり。「スペシャルアイテムショップ」のリニューアルも大きな変更点ですね。また、年内ギリギリになりましたが、4次職&拡張4次職の見た目をひとつ前の職業コスチュームにできるアップデートも行いました。その少し前に「スタイリングショップ」のアップデートが行われましたが、こちらで一括して見た目の変更ができるようになっています。

――昨年おうかがいしていたアップデートですが、2024年内にちゃんと間に合った感じでしたね。プレイヤーにとっても待望の機能でしたし、かなり話題になっていました。

★中村氏:
 話題になったと言えば「RO×料理研究家リュウジのバズレシピコラボ」なんです。もともとリュウジさんご本人が昔『RO』をプレイされていたということで、Xのポストがバズったりしていまして、コラボのお声がけをしてみたところご快諾いただいたという流れになります。内容的にも、普通だったらゲーム内の料理を再現してみようとなるじゃないですか。でも今回は逆で、リュウジさん考案の料理をゲーム内に実装するというコラボでしたからね。せっかくだから「ペコペコの肉」も実装しちゃうという。結果的に、みなさんに楽しんでもらえたようでなによりでした。

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▲「RO×料理研究家リュウジのバズレシピコラボ」ではリュウジ氏考案の料理「ペコペコのモロク風煮込み」がゲーム内に永久実装されました。

――ペコペコ系モンスターのドロップテーブルが変更されたのもビックリでした。

★中村氏:
 そして、22周年のアニバーサリーイベント「22ndアニバーサリー ラグナロクワールド」では、Gravity社さんにテーマパークのようなマップを作り込んでいただきました。地面にポリンの模様が隠れていたり、ゲートをジャンプ系の移動スキルで越えることで、パスを買わずに入場できてしまったりと、いろいろ仕掛けも施されていました。アトラクションの分量もかなり多めになっていて、こちらも楽しんでいただけたと思います。

■あのZenyのデュープ騒動の裏側が今、語られる!?

★中村氏:
 ……で、ここまでが2024年に実現できたことのご紹介でした。一方で、ごぞんじのように、実現できなかったコンテンツも結構ありました。まずはそれらがなぜできなかったのか、ということを説明させていただきたいと思います。一番大きかったのは、やはり2024年の年初に発覚した露店代行サービスの不具合()なんですね。こちらについて、詳細を聞きたいという方もいらしゃるだろうと思いまして、今回少し説明させていただければと。

露店代行サービスの不具合
 Noatunワールドの露店代行サービスに不具合があり、非常に特殊な手段でZenyを増殖(デュープ)できるようになっていた件。2024年初頭に発覚し、大きな問題となった。もちろん現在は対処済み。

――どこまで聞いていいやらと思っていたのですが、実は気になっていました。ぜひお願いします。

★中村氏:
 まずこれは言っておかなければならないのですが、不正対策の内容につきましては、不正を行う人物に対処法を悟られてはいけないというか、不正対策の対策を取られる可能性もあり、なかなか詳細をお話しできない部分も多いんです。ですので、申し訳ないのですが、話せる範囲でのご説明となります。

――はい、わかりました。

★中村氏:
 まず、この露店代行サービスを発端とした不具合というのは全世界の『RO』に内在していたものでして、たとえば日本運営だけで対策を行ったとしても、他国でまだ可能だというのがわかると、一気にそちらが攻撃対象となり「対策される前にできるだけやっておこう」と大規模な不正が行われてしまうおそれがあったんです。ですので、対応状況などを公表する前に、全世界で足並みを揃えて不具合修正などの対策を行う必要がありました。日本で告知をすぐに出せなかったのはそういう理由からなんです。また、告知内容についても、Gravity社さんと密に連絡を取り合って慎重に進める必要がありました。

――今回の不具合、具体的にはZenyがデュープできるというのが発覚したのは日本の『RO』が最初だったんでしょうか。

★山本兼寛氏(以下、山本氏):
 そのあたりは私のほうから説明させていただきますね。発覚というか、不具合の事象に気がついたのは日本の『RO』が最初ではあるのですが、遡ってみると実際に不具合を悪用されたのは別の国の『RO』だったりしたんです。

――そういう経緯があったんですか。

★中村氏:
 ですので、日本側がうかつに対策の告知をしてしまうと「じゃあこっちの穴を試してみよう」と別の国で運営している『RO』が攻撃を受けることになりかねませんでした。また、対策後にも相手は再び不正行為を試してくるであろうというのはわかっていましたので、対策と並行して、開発側でないと見られない特別なログを出力できるようにし、日々確認を行うようになりました。

――同時に監視も強化しなければならなかったという感じですか。

★山本氏:
 不具合を突く行為というのはいきなりできるものではなくて、あれをやってみてこれをやってみて、こうしたらできたので本格的にやってやろう、みたいな“行動”が残るわけなんですよ。ただ、厄介なことに、他の国の『RO』でいろいろ試してから日本の『RO』で実行するという流れの場合、下手をすると一気に致命的なところまでやられてしまう可能性もゼロではありません。こうなると対処が遅れてしまいます。これを期に、というわけではないですが、かなり強力な監視体制を構築することになりました。

――予想以上に大きな話で驚きました。

★山本氏:
 不正対策はもちろんですが、増えた分のZenyもキッチリと回収しなければなりません。そういったところで、日本運営もGravity社も再び大きなリソースを割くことになりました。とはいえ、現状では回収はほぼほぼ完了している感じです。

★中村氏:
 デュープされたZenyのうち、流出したZenyはもちろんなんですが、流出する前に止めたZenyというのが10倍くらいありました。

――うわ、危なかったんですね。

★中村氏:
 Zenyの回収については、不正に直接関わっておられないプレイヤーさんについても「回収された」という方がいらっしゃったと思います。Zenyの回収という言い方は少し語弊がありまして、実際には不正によって複製されたZenyを使った取引を無効にするという作業になるんですね。例えば不正な10億Zenyと「楯無の鎧[1]」を交換した取引があったとします。その場合、不正な10億Zenyを戻して「楯無の鎧[1]」を返すという作業になります。ただ、今回の場合、ただ単に不正なZenyを渡すだけという無償取引がほとんどだったんです。

――それは不正を行ってZenyを増やした犯人が配っていたということになるのでしょうか。

★中村氏:
 いえ、不正者のアカウント自体は真っ先に対処していますので、そのアカウントが所持していたZenyはすべて凍結され、なかったことになっています。ですので、流出したZenyはそれほど多くはなく、市場のインフレも起きませんでした。流出したZenyについても回収率は……今どのくらいでしたっけ。

★山本氏:
 90%を越えていますね。残りのZenyというのも、アカウント内に回収の満額のZenyが残っているわけではないので、回収予定としてZenyが入り次第回収される流れになっている方が何名かいらっしゃるという感じです。

――まだ残っていることは残っているんですね。

★山本氏:
 そうですね。市場全体からすると影響は少ないにしても、個人のZenyと考えると相当な額を受け取っていらっしゃる方もおりましたので。

――そのままそのアカウントは捨ててしまうという方もいらっしゃるのでは。

★山本氏:
 基本的にはそういった方の行動ログはちゃんと追っています。実は私自身がチェックしていたりします。

――あっ、そうなんですね!?

★中村氏:
 別のアカウントに資産を移して、言い方は悪いのですが、なんとか逃れようとする方もいましたので、そういう行動もチェックしています。

★山本氏:
 この一連のZenyデュープというのは……我々が断言することはできないにせよ、ほぼRMT()絡みだろうなと考えているんですね。RMTを利用してZenyを買われている方も後ろめたいところがあるのでしょう、なんとか隠そうという行動が見受けられます。それには人によってもいろいろなやり方があって、行動ログを見ると傾向がわかってきます。Zeny回収を行うにしても、たとえば、RMTで購入したZenyをフレンドさんから借りたZenyの返済に充てたという行動が明らかになった場合には、フレンドさんに渡ったZenyではなく、支払ったアカウントの方から回収を行うなど、臨機応変な対応も行っています。そういった細かい対応を行っていった関係上、すごく時間がかかってしまったという経緯もありました。

RMT
 リアル・マネー・トレードの略。ゲーム内のアイテムや通貨を現実のお金で売買すること(ここでは公式側が提供しているシステム以外のものを指す)。日本におけるほとんどのオンラインゲームでは規約によって禁止されているが、直接的に取り締まる法律は制定されていないため、個人や外部組織が勝手に取引を行っていることがある。しかし、不正な手段を含む過度なゲーム内通貨の産出によるバランスの偏りやインフレ、また現実における詐欺、アカウントハックなどの重大なトラブルに巻き込まれることが多く、非常に危険。買うのも売るのもゲーム運営側から処罰対象になるため、絶対に行ってはならない。

――ああ、ちょっとよくわかっていなかったんですが、“流出したZeny”というのはRMT経由という感じですか。つまり不正者がRMTで売るなどして、購入者によってそのZenyが流通していた、と。しかし、取引内容についてはそこまでチェックされていたとは驚きました。

★山本氏:
 使われたZenyはそのアカウントの方が個人的に使ったものなのか、渡した相手はただ受け取っただけの無関係な人なのか。そういったことも判断しています。

★中村氏:
 受け取ったZenyがデュープされたものであったとしても、まったく無関係な方からZenyを奪っていくわけにはいきません。露店でアイテムを売った方は無関係ですから、不正な行為で得たZenyを使って購入した方に「そのZenyは回収します」とお知らせをしたということになります。すべての取引も確認した上で、対象のキャラクターを決めて回収を行うという流れでやっていました。

★山本氏:
 今回は本当にマズい不正なZenyということになりますので、かなりしっかりと回収させていただきました。たとえば、Zenyを受け取った方が回収対象になって、「もういいや、『RO』やめよう」ということになって、そのまま本当にやめられてしまった場合には回収自体は難しいのですが、そういう方って、再度誰かにZenyや資産を渡そうとすることがあります。「引退するからこれあげるよ」とか。そうなると、その資産を受け取った方が回収対象になることもありました。また、RMTでZenyを購入するような方ですと、引退時に少しでもリアルマネーを回収しようとして、今度はZenyをRMTで売るわけです。そしてそのZenyをRMTで買う人がいるわけですね。そうなると、今度はそのZenyを購入した人が回収対象になるわけです。とにかくすべてを回収するように心がけました。その結果が現状の9割越えの回収率ということになっています。

――話を聞いただけでも気が遠くなる作業ですね……。

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■2024年後半にはBOTとの戦いが勃発!? しかもその不正利用者は……

★山本氏:
 不正のお話ついでにもうひとつあるのですが、露店代行サービス関連の不具合を塞いで不正が行えなくなった結果、おそらくは同じ方が今度はBOT(自動でキャラを動かして狩りをしたり資金を稼ぐ不正プログラム)のほうに力を入れるようになってきたんですね。

――ええっ!? 同じ人なんですか?

★山本氏:
 10月あたりから、プレイヤーさんの間でもBOTの話題が取り上げられてきていると思うんです。「ミミミのミッションマスター」のイベント会場にBOTらしきキャラがいるとか、運営側にも多数通報をいただいていました。そちらのほうの対処も行っていまして……。

――稼げる狩場のモンスターの再出現時間が延長されたりすると「BOT対策なんだろうな」と思ったりもしていましたが……。

★山本氏:
 はい。プレイヤーさんからはBOT対策、取り締まりをやっていないんじゃないか、などと言われたりもしていますが……。

――いやー、それはわかっていても不満をぶつけたいだけなんじゃないかなと……。

★中村氏:
 いえ、実際、WEBヘルプデスクなどの投稿でも「全然BOT対応されてないんですけどー?」と言われてしまうことも多いんですよ。

――うーん、そうなんですね。BOT対策がイタチゴッコなのはわりと知られているのかなと思っていましたが。

★中村氏:
 一応改めて言っておきますと、対応はしているんですね。対応を行うといなくなるんですが、わずか1~2時間くらいで帰ってきちゃうんですよ……。

――RAGホーダイが実施されるとBOTが増えるというウワサもありましたね。

★山本氏:
 結局のところ、頻繁に対策(編注:アカウント停止などと思われます)しているんですが、1~2時間後には同じ数のアカウントが作成されて戻ってきてしまうので、対策をしていないように思われてしまうんです。

――キャラ作成から戦えるようになるまでの育成時間の短さというのが逆にマイナス要素になってしまっているというのもありますよね。

★中村氏:
 そういう面もあったので、プレイ利用権のないアカウントでは「ミミミのミッションマスター」を進められないように調整しまして、ここでだいぶ数は減らせたのかなとは思います。ただ、また新しいタイプのBOTが放たれまして……。

★山本氏:
 ええ、「ミミミのミッションマスター」で育成ができなくなったので、初期の育成込みで狩場を見つけて放たれていますね。

――な、なるほど……。

★中村氏:
 大規模な対策を行って、ごっそり減らせたと思ったのもつかの間、アカウントが簡単に作れる仕様上、どうしても手を変え品を変え新たなアカウントが投入されてしまいます。いっそのこと、アカウント作成の際に個人情報とガッチリ紐付けることができれば根本的な対策にも繋げられるのですが、昨今、なるべく個人情報をお聞きすることなくサービスを行わねばならず、抜本的な水際対策は難しいんですよね。『RO』は常時無料でログインできるわけではないので、まだ少ないほうだと思うのですが、プレイ利用権なしでログイン可能なRAGホーダイなどが実施されてしまうとどうしてもBOTが増えてしまいますね。

★山本氏:
 我々も、アカウント作成を止められないからといって諦めているわけではなく、常にほかの手段を考えています。狩場のモンスターを減らしてしまうと、不正者だけでなく、普通に遊んでいらっしゃるプレイヤーさんにもご迷惑をおかけしてしまいます。なるべくそういった手段は取りたくはないんですが……。そういった手段に頼らないシステムを検討しつつも、場合によってはまたプレイヤーさんにご協力をいただくこともあるかもしれません。ともかく、引き続き対処を行っていきたいと考えています。

――BOTに関しては昔から対策が難しいところですよね。

★山本氏:
 実は見えないところではそういった不正プログラムが動く余地をかなり締めているんですよ。締めてはいるのですが、そういうところを越えて別の手段を編み出してくるBOTが投入され続けています。その新型BOTをどのように対処していくか、そんなことの繰り返しを長年続けてきています。

――まさにイタチゴッコですね。

★山本氏:
 今回に限らず、BOT使用者というのは今はもう一般プレイヤーさんではなく、不正にお金を稼ごうとしている人がほとんどなんです。

――いわゆる業者ってヤツですか。別の犯罪で得たお金の資金洗浄が行われているというウワサもありますよね。

★山本氏:
 こちらからは断言も言及もできないのでお察しいただく感じになります。ともかく、いわゆるRMTに関連していることはほぼ間違いありません。逆に言えば、RMTでZenyを買うプレイヤーさんがいなければ売る人もいなくなるんですね。一番の対策はすべてのプレイヤーさんが健全に遊んでいただくことなんですよ。そうなれば不正対策に労力を割くこともなくなりますし……って、対策はもちろんしなければなりませんが、ここまで力を割くことはなくなるんじゃないかなと。もっとイベントとか……あっ、これからYggdrasillワールドの施策についてもお話しするつもりなんですが、昨年は不正対策に時間を取られすぎてYggdrasillワールドの施策がほとんどできなくて……。この労力がすべて正しく遊んでいらっしゃるプレイヤーさんに対して費やせれば……という思いは常にありますね。

――ちょうど昨年の年頭インタビューで、Yggdrasillワールド関連の開発メンバーがUI周りとか、根本的なプログラム改修に駆り出されることが多いという話をうかがったので、2024年はそっちのほうがお忙しいんだろうなと思っていましたが、不正対策がかなりの重さを占めていたんですね。

★山本氏:
 まさにそのとおりだったりします。昨年の1月くらいに「モンスターハウスYE」の作業に手をつけ始めた頃に露店代行サービスの不具合と不正が発覚してまして、当然ながら全員全力で対策に奔走することになりました。その後の対策強化についても、すべてが一発でうまくいくというわけではありませんから、いろいろと試行錯誤を繰り返したりして、プレイヤーのみなさんにもご迷惑をおかけすることもあったと思います。たとえば、ワープリンクをくぐったときに少し時間がかかるようになったじゃないですか。あれも不正対策の一環だったりするんですよ。

――ああ、あれもそうなんですね。ワープリンクで時間がかかるようになったのって、露店代行サービスの不具合からかなり経ってのことですよね。そんな時期にも不正対策を構築する必要があったわけなんですね。

★山本氏:
 不正対策だけでなく、対人戦において無敵状態が継続する不具合についても対策したりしています。少しストレスがかかってしまうのですが、入れざるを得ないという結論になりまして、導入させていただいています。

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■不正対策をこなしながらUI改善などもこなすYggdrasillワールド開発チーム

★山本氏:
 そういった調整などを行っていたら、年の後半は先ほど言ったようにBOT対策に手を取られることになったわけなんです。

――ああ……。Yggdrasillワールドの開発をやっている暇がないですね……。しかも2024年はナビゲーションシステムなど、UIに大きく手が入った点もありましたよね。

★山本氏:
 そうですね。不正対策にかかりっきりとはいえ、システムやUIの改良も行っていかなくてはなりません。そういった内容でいうと、メモリアルダンジョンの待機時間を短くしていきたいという思いがずっとありまして。特にBreidablikワールドですよね。実感されている方もいらっしゃるかもしれませんが、メモリアルダンジョンの待機時間はかなり短くなっていると思うんです。現在はメモリアルダンジョンの作成にかかる時間はこれ以上は短くしようがなくて、限界ギリギリなんです。が、その生成を並列作業できるようにして、2023年から比較すると2~3倍の処理数がこなせるようになっている感じなんです。

★中村氏:
 平たく言うとスーパーでレジを増やして流れをスムーズにしました的なイメージですね。

――なるほど(笑)。昨年の時点でもメモリアルダンジョンの生成をこっそり強化しているというお話がありましたが。

★山本氏:
 その4倍くらいのスピードになっているはずです。あの時点では処理の高速化を行っていて、すべてのワールドで恩恵があった感じです。今回は並列作業なので、メモリアルダンジョンの作成数が多ければ多いほど実感できる対策かもしれません。200とか300の待機数を解消するのに1~2時間とかかかっていたと思うんですが、今は30分くらいで順番が回ってくるようになっていると思います。

★中村氏:
 とはいえ30分かかってしまっていますからね。そこをできるだけ短くできるように進めています。プレイヤーさんには各ワールドに分散していただきたいなと思いつつも、やっぱり人あってこそのゲームだとは思っていて、無理にほかのワールドで遊んでくださいというのも違うかな、と。人気が集中して人が集まる、ゆえに重くなるというのは仕方がないとは思いつつ、それで我慢してもらうというはおかしな話ですよね。できるかぎりのことはやっていきたい。サーバーのプログラム上の問題もあるので、できる範囲で対策を進めた結果が今の状態。もちろんここで満足しているわけでもありませんし、もっと快適に遊べるようにということで、開発元のGravity社さん含めてプログラムやサーバーの改善をしています。

――メモリアルダンジョンが任意で削除できるようになりましたが、待ち時間対策にも影響は大きいのでしょうか。

★山本氏:
 大きいですね。メモリアルダンジョンの削除機能は、負荷対策としても以前からGravity社さんにお願いをしていたんですよ。そもそも機能自体はかなり前からあったのですが、そのままでは入れられない事情もあったんです。もともとはパーティーを結成してメモリアルダンジョンを作成したら、それ以降はパーティーリーダーの移譲やパーティーへの新メンバー追加ができないという仕様でした。日本だと、とりあえずパーティーを作って、あとから来た人を加えて一緒に遊ぼうとかあるじゃないですか。そういう遊び方ができない仕様だったんですよ。(仕様の変更の)要望を最初に出してから5年くらいかかりましたかね……。

――相当前になるんですね!?

★山本氏:
 メモリアルダンジョンって、パーティーを解散すると見えなくなるだけで、裏では規定の時間まで保持されているんですね。今のシステムが導入されたことで、自発的にメモリアルダンジョンの削除を行っていただければ、そのぶんサーバー側の負荷も減少します。運営としては「ようやく入れられたかー」という感じですね。

――こまめに削除することでサーバーの負荷も減らせるなら不要なメモリアルダンジョンはできるだけ削除するに越したことはありませんね。

★山本氏:
 そんな感じで、不正対策やUI改修を行っていた結果、YggdrasillワールドはBaseLvとJobLvを解放してRJS()を1回開催できたという感じで……。

「RJS」
 正式名称はRagnarokOnline Japan Siege wars。10週にわたって行われる攻城戦YE(マッチング戦)でポイントを集計し、参加ギルドの順位を競う大会。

★中村氏:
 あっ、擁護というわけではありませんが、「攻城戦YE」では旗の復帰のタイミングを調整したりとか、細かいルールの変更は随時行ったりもしていました。

――決戦の際の対戦マップも調整されましたよね。

★山本氏:
 試合を見ていて上位ランクのギルドさんとミドル帯のギルドさんではやはり戦い方やセオリーなどが違うんですね。なので、お互いのセオリーでぶつかった場合に調整するにはどうしたらいいかということになったんです。結果的に、旗復帰のクールタイムを入れるのがいいのかなと。細かく見て、できることは調整していこうという感じでした。

――動きにくい中でも、可能なかぎりのことをやっていたという感じですね。

★山本氏:
 そういう点では「ティアマト攻城戦YE」の人数調整なども行わせていただきました。参加人数が増えたことによって、(重すぎて)遊べなくなってしまうというのは避けたかったんですね。負荷的な問題もありますし、とりあえず一回制限させていただきたいかなと。

――レベル上限解放が実施されたあとは、特にYggdrasill2ワールドのInfernoは参加人数も爆上がりしましたからね。そして人数制限が実施されると今度はYggdrasill(1)ワールドのExtraの会場が人気になったりして。それを受けてもともとExtraを少人数で攻略されていた方たちが別のYggdrasill3ワールドで新たに少人数でExtraの攻略を始められたりして……。いろいろ難しいなぁと感じたりもしています。ところで、私はもともとInferno勢で、700人程度の人数だと特に問題なく遊べる気がしているのですが、Extraを遊ばれていた方からすると700人だとすごく重いという感想が聞かれたりしています。そのあたりは人によって結構変わってくるものなんでしょうか。

★山本氏:
 うーん、システム的なお話になるのですが、上位2次職までのキャラと3次職以降のキャラでは使うスキルが違いますよね。実は使うスキルによって重さが違ってくるんですよ。

――ああ、内部的に、広範囲にオブジェクトを生成するスキルは重くなるというのを聞いたことがありますね。

★山本氏:
 はい。そういったスキルを多く使う必要のある上位2次職中心のExtraと、3次職、4次職のスキルを中心に使うInfernoだと、人数とは別に処理的な速度に差が出てきてしまうんですね。なので、そのぶん重く感じるというのはあるかもしれません。

――言われてみればそうですね。なるほど。

★山本氏:
 話はちょっと変わりますけれど、Extraって上位2次職までのキャラで挑むコンテンツだからそのぶん簡単でないとおかしいじゃないかと思っている方もいらっしゃるかもしれません。でも、「ティアマト攻城戦YE」も「蜃気楼の塔YE」もそうなんですが、Extraって、現行のギリギリのラインを攻めた難易度になっているんですよ。ですから、無茶を言っているかもしれませんが、参加者が全員協力しないとクリアが難しいモードにさせていただいているんです。

――「蜃気楼の塔YE」のExtraは2024年の11月に初めてクリアされましたよね。

★山本氏:
 はい。ひと安心しました(笑)。

――ひと安心(笑)。

★山本氏:
 ずっと様子は見ていまして、いつかはクリアされるだろうと思ってはいたんですよ。とはいえ、あまりに長期間に渡ってクリアできないコンテンツになってしまっているのもどうかなと思っていたので。実際にクリアされてホッとしています。

★中村氏:
 Yggdrasillワールドとしては、導入予定のコンテンツは予定通りに入れられませんでしたが、楽しんでいただける環境にはなっているかなというところではありますね。そのぶんと言ってはナンですが、通常ワールドのほうのアップデートで予告していなかったコンテンツを導入したりもしていった感じです。ということで、2024年を通してみた点数は70点くらいかな……と思っています。これ、点数を言うといつも「そんな高得点ではない」って怒られちゃうんですけど。アップデートとして、一番反響が大きかったのは「extended update 上限解放-260-」の際のスキル調整でしたね。スキルによって若干方向性が変わったものもありましたが、基本的にはマイナス調整はしない方向で行わせていただきました。プレイヤーさんには楽しんでいただけたのかなと思っています。

■2025年には「生命の殿堂」や「バルムントのバイオスフィア」などハイレベル向けコンテンツを次々に実装予定!

★中村氏:
 ここからは2025年の施策についてお話しさせていただきたいのですが、まずは1月にアップデート予定の「生命の殿堂」から。こちらがイメージイラストになります。

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▲「生命の殿堂」イメージイラスト。

――お、いつぞやのイベントで拝見したお顔が。

★中村氏:
 「リゲル」さんですね。「星座の塔」などでもおなじみの「ベテルギウス」のように、星の名を冠する竜のひとりになります。ストーリー的にはルティエから始まります。ルティエに次元の狭間が出現しまして、「リゲル」を含めて、「オスカー」や「レティシア」も調査にやってきます。気になった冒険者もちょっと見てくるかという感じで足を運んだところ、頼まれ事をされると。その結果、“季節を司る神獣”が登場するメモリアルダンジョンに挑むことになります。

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▲春の神獣。

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▲夏の神獣。

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▲秋の神獣。

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▲冬の神獣。

――それぞれ四季と関係している感じですね?

★中村氏:
 そうですね。ストーリー的には並行世界の要素なども出てきますが、詳しくはプレイしてみてからのお楽しみということで。

――ちなみに難易度的にはどのようなイメージですか。

★中村氏:
 ……高めですね。全コンテンツの中でも最高難度に近い感じになるかと思います。入場可能レベルも……現在調整中ですが、おそらく260になるのではないかと思っています。「星座の塔」をクリアできていないとちょっと……という難易度になりますので、そのぐらいを想定していただければと。

――そのレベルですかー。

★中村氏:
 「最近の実装コンテンツってハイレベル向けのものしかないじゃないか」と言われることもあるんですが、それまでのレベル帯のコンテンツって充実してきているんですね。最新のコンテンツを追いかけたい方は新コンテンツにチャレンジしていただければと思うのですが、遊ぶものが何もないという状況ではないので、自分のキャラのレベル帯に合ったコンテンツを遊んでいただき、装備などを少しずつ充実させていったりレベルを上げていくという遊び方をしていただければと思っています。こういったインタビューなどでは、どうしても最新のコンテンツを紹介することが多いので、「行けないんだけど?」と言われてしまうことも多いんですが。

――確かに。一部上がりやすさに波はあるにせよ、実際レベル上げなどの導線は整っていますよね。

★中村氏:
 ふたつめのご紹介は、夏の暑くなる前くらいに実装予定のコンテンツ「バルムントのバイオスフィア」です。「バルムント」と言えばお騒がせなおじさんという印象かもしれませんが、そこは大賢者ですのでいろいろ高度な技術を持っていたりします。メインストーリーでも邸宅が出てきますが、そこで新たな施設が発見されます。これが「バイオスフィア」というものです。もともとは「バルムント」が自然環境とモンスターの観察を行うために作った施設でした。ただ、本人も不在になってしまい、作りっぱなしで封印されていたんです。このたび、その封印を解くためのマスターキーが発見され、ならば中を調査してみましょうということで入ってみたらあら驚き、長らく過酷な環境のまま放置されていたために中にいたモンスターは異常な進化を遂げていました、と。

――隔絶された環境でずっと放置されちゃっていたんですね。

★中村氏:
 そうなんですね。こちらは4つの環境が用意されていました。

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▲草原の環境。

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▲極寒の環境。

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▲火炎の環境。

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▲死の環境。

★中村氏:
 いずれの環境も進化しきった強力なモンスターが潜んでいる状態です。こちらは本当に難度高めのチャレンジコンテンツのひとつとして実装予定になっています。ポイントとしては、メモリアルダンジョンではなく通常のマップになります。ボスなども徘徊しており、モンスターも熟成された蠱毒のような状態になっている感じです。

――見た感じ、属性耐性が重要になりそうなマップですよね。とはいえ、最近は複合した属性が必要になったりもしますから、見た目だけで決めつけられないのかも……(苦笑)?

■七王家から始まった長編ストーリーはエンディングへ! 次のストーリーや新職業も開発中!?

★中村氏:
 そしておなじみエピソードアップデートも予定しています。こちらは秋予定です。エピソード名はまだ仮称ですが「英雄の時代(仮)」です。ストーリーの内容としては、タイトル通りになる感じです。物語は「ラスガンド」を封印したあとから始まります。強大な力を得てしまった「ラスガンド」ですが、封印しながら少しずつ力を削り取っている状態で、倒すまでには至っていません。これをどうすればいいのかと考えた結果、はるか昔にヨルムンガンドを封印した時代の英雄たちからヒントを得られないものかという話になります。そこで登場するのがルーンミッドガッツ王国の建国に関わる“英雄の時代”ということになるわけです。こちらがイメージイラストになります。

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▲「英雄の時代(仮)」イメージイラスト。

★中村氏:
 各キャラの頭上の背景に描かれている紋章、以前見たことがあると思うのですが、ルーンミッドガッツの七王家の紋章になっています。ということで、こちらのエピソード、「七王家とユミルの心臓」からずっと続いている長編ストーリーの完結編になります。今回、ヨルムンガンドを封印した時代に飛んでその封印から知識を得ようとするわけなんですが、「英雄の痕跡」などでもわかるように、過去というのは変えることはできません。とはいえ、その方法を学ぶことはできるんじゃないかということで、過去にヨルムンガンドを封印した方法で、現在の「ラスガンド」を完全に封印できるのではないか、とストーリーが進んでいきます。実際、過去の世界を冒険することになるので、いろいろなマップが用意されています。

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――船があってさきほどのイラストには船長っぽい方もいると。これは「ドレイク」の在りし日の姿ではありませんよね?

★中村氏:
 実は骨になった船長っぽい謎のイラストもあるんですが、モンスターの「ドレイク」ではありません。ちゃんと建国メンバーのひとりです。ストーリーを好きで追いかけてくださっているプレイヤーさんも多いですし、とりあえず長らく続いてきたストーリーはここでいったん区切りになるというお知らせをしておきたいなと思いまして。「魔王モロク」編が8年、「七王家とユミルの心臓」から9年になりますので、だいたい同じくらいのスパンになっていますね。ここまでの物語がどんなエンディングを迎えるのか、楽しみにお待ちいただければと思います。もちろん、開発元のほうでは新たなストーリーの開発も始まっていますので、ストーリー自体はまだまだ続きます。ご安心ください。

――なるほど、今回はいったんの区切りという感じなんですね。

★中村氏:
 はい。今回、主なアップデートのご紹介はその3つになります。もうひとつ、既存コンテンツのアナザーストーリーとして、「名もなき島」をテーマにした企画をGravity社に提出しています。こちらは春ごろにお見せできるようになるかもしれません。

――「名もなき島」と言えば大人気を誇った狩場ですし、思い入れが強いプレイヤーさんも多い場所ですよね。楽しみにしている方もいらっしゃると思います。

★中村氏:
 22年サービスを続けてきた中で、新たなストーリーや成長要素を実装していくのは大切ですが、それと同じくらい、思い出も大事にしていきたい気持ちもありますからね。もちろん、これら以外にも、2024年に導入していたシステム系のアップデートや、韓国ではすでに実装されているものなど、プレイヤーさんから「便利なのでコレを入れてほしい」というご要望をいただいていたりします。そういったものは随時導入していく予定です。ちなみに、一番要望が多いのは「アイテムスロットバー」というものですね。ショートカットバーって装備や消耗品以外入らないじゃないですか。それ以外に、スキルに使う触媒などの残数がわかるようにしておきたい場合などもありますよね。そういったちょっとしたスロットバーみたいなものになります。

――ショートカットとは別に2個だけあるスロットに特定のアイテムの残数がわかるように入れているなどありますよね。そういった感じに便利に使える新たなスロットという感じですか。

★中村氏:
 そうですね。残数確認用になんでも登録できるスロットになります。クエストで収集するアイテムの個数確認用に一時的に入れておいたりもできます。アイテムウィンドウを開きっぱなしだと間違ってアイテムを捨ててしまう可能性もあったりして危ないですよね。

――確かに。かといって記憶に頼っていると集めるアイテムが1個足りなかったりして、また狩場に行くことになったりしますからね。そういったミスも減らせるかもしれません。

★中村氏:
 また、韓国ではスキルなどで召喚できるモンスターなどのグラフィックが変更されていまして、そちらも導入していきたいかなと。

――告知は以前出ましたよね。公式ブログ上でのことでしたが。

★中村氏:
 はい。きっかけは「コスたま」で実装された衣装装備ですね。あの衣装装備はアップデート後の植物モンスターがモチーフになっていまして、そのまま実装すると「この子だぁれ?」ってコトになりかねないので、アップデート後の新グラフィックをもとに作りましたというご報告をさせていただきました。2025年にはそちらの新グラフィックも実装していこうかなと考えています。あとは、便利機能として、移動できないセルにカーソルを合わせたときにはカーソルの形を「ここには移動できません」という感じにわかりやすく表示する機能なども導入予定です。そういった感じで、様々な調整も定期的に導入していきたいと考えています。あと……国内ではまだちょっと先になるかと思うんですが、実はこういったものがありまして……。

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――いや、何もわかりません(笑)。マル秘ってなんですかその封筒!?

★中村氏:
 Gravity社さんから画像だけお見せしてもいいですよと許可をいただきまして、今回特別にお見せできることになったんです。それがこちらです。

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――おお、ついに新規職業が! 韓国情報を追っている人だと見たことあるという方もいるかもしれませんね。コレ、男女セットになっていない画像もあって、どういうものなのかよくわかっていなかったんですよね。

★中村氏:
 この画像は海外ではよくあるVIPユーザー向けのイベントで発表されたものなんです。日本ではプレイヤーさんを区別するようなことはしていませんので、情報だけ出させてほしいとお願いしたところ、画像だけなら公開してもいいよという許可をいただけました。新規職業であることだけはわかるのですが、職業名などの詳細はまだ秘密です。

――本当にこの画像のみの情報なんですね。

★中村氏:
 下の画像も正確に言えばドットキャラになっていませんからね。ただ、完全新規となると、4次職などとはまた別になるじゃないですか。ドラムが実装されたのが2018年ですから、それ以来の新職業系列になるのかなと。どんな職業になるのかはご想像いただくしかありませんが、ともかく開発はしているぞ、という感じです。通常ワールド関連のアップデートの話題は以上になります。

■2025年の「RJS」は半自動化で順次大会を開催!

――では次はYggdrasillワールド関連の話をお聞きしたいと思います。

★山本氏:
 そうですね、Yggdrasillワールド制作チームとしましては、通常ワールド側のシステム関連は引き続き協力して進めていく感じですし、さきほど話したような不正対策も行わなくてはなりません。しかし、2024年に導入していこうと思っていたコンテンツもほとんど実装できていませんので、まずはそこから手を付けていかなければと思っています。

――まずはどのあたりからお話ししていただけますか。

★山本氏:
 では対人戦の「RJS」の話題からいきましょう。実を言うと「RJS」については毎年、開催しようと予定していた回数を開催できていないんですね。3回やるよと言っておきながら2回だったり。ちょっとこれはよくないでしょうということで、自動的に……いや、半自動的という感じでしょうか、期日が来たら切り替わって「RJS」の大会モードになるような仕組みを入れようかと。それを、今年の1月28日(火)から始めようと思っています

――もうすぐですね!

★山本氏:
 ですので、今年は確実に3回の大会を開催できると思っています。1月の大会が終わって、5月と9月にも切り替えタイミングを設定するつもりですので、ゴールデンウィーク、シルバーウィークを避けた10週の大会をしていただくと。大会以外の期間は通常の「攻城戦YE」として遊んでいただいて、報酬も今までと同じものをお渡しする感じです。この自動化の仕組みは確実に入れられると思います。

――おお……。

★山本氏:
 自動化することで、大会が確実に開けるということは、「RJS」でないと獲得できない報酬が定期的にプレイヤーさんにお渡しできるようになるわけです。プレイヤーさんにとってはそういったメリットがある反面、Webで特設サイトを作るですとか、企業さんに協賛いただいて賞金を出すだとか、これまで行っていた上位チームへのインタビューを行うなど、人の手が関わるような施策が連動できなくなります。ですので、そのあたりはいったん休止せざるをえません。こういった点はプレイヤーさんにとってデメリットになると考えています。とはいえ、定期的に大会を開催したほうが、メリハリというか、モチベーションにもつながると思うんです。そういうわけで自動化に踏みきることになりました。

――「RJS」では大会ごとに細かくルール変更などを行うこともありました。自動化されるということは、そういった細かい変更は行われなくなる感じですか?

★山本氏:
 通常のアップデートというかたちで、この職業のこのスキルが強化されましたみたいなことはあると思います。それはYggdrasillワールドにも導入していくでしょう。ただ、たとえばBaseLvの上限解放やスキルの調整が行われたとしても、大会期間中であればそれは反映させないようにしようと思っています。また、節目節目で報酬自体は調整していきたいなと考えています。本当は報酬については参加してくれた方全員に分け隔てなくお渡ししたいんです。が、中には仕様のギリギリを突いてあまりよろしくない戦い方をされる方というのもいらっしゃって、そういうわけにもいかないのが実情です。

――うーん、たまに無気力試合などのウワサも聞きますからね。

★山本氏:
 普通に戦いを楽しんでいただけるのであれば、報酬は全員にお渡ししたいんですけどね……。大会の様子を見て、都度報酬の調整は必要になってくるのかなと。報酬自体は5月や9月の大会前に調整を行う可能性があるというのをお伝えしておきます。

――なるほど、参加者は告知を要チェックですね。

■韓国など海外の攻城戦事情は日本とまったく違っている!?

★山本氏:
 対人戦の話が続くのですが、韓国では「ヘロスリア攻城戦」というものが実装されています。これって、なんと言いますか、非常に海外色の強い攻城戦なんですよ。

――海外色が強いと言いますと?

★山本氏:
 日本の攻城戦のように防衛ラインを構築して押し引きするみたいな戦術が存在しない感じなんですよ。海外の攻城戦というのは「見たか! 俺のキャラはこんなに強いんだぞ!」みたいなノリ。ひとりで突っ走って敵陣へ突撃して、今回何人倒したぞ、みたいな活躍を競う感じですね。そういうのを誇らしく思うプレイヤーさんが非常に多くて、極端な話、勝敗よりも自分が活躍したかどうかが重要なんです。

――ああ、お聞きしたことがありますね。

★山本氏:
 もともとの攻城戦自体、そういう雰囲気がありまして、中でも「ヘロスリア攻城戦」はそういった個々人が活躍するような戦いをしやすいモードになっているんです。ですので、そのまま導入したとしても、日本のプレイヤーさんとしては楽しく遊べないんじゃないかなと考えています。

――そうなんですね(笑)。

★山本氏:
 きっと日本では「なんでこれを実装しようと思った?」って言われちゃうと思います。ただ、面白いシステムもあって、使用できる装備が限定できるようになるんです。今の日本では攻城戦に特化した装備を揃えようとすると、ものすごくZenyがかかったりして、そもそも手に入らないという方もいると思うんです。日本では(海外の「ヘロスリア攻城戦」で利用されているような)新システムやレンタルアイテムなどを組み合わせて遊びやすい攻城戦する予定です。

――日本の「攻城戦YE」でも装備のレンタルなどが導入されるかも?

★山本氏:
 はい。装備だけの問題ではなく、実はギルドスキルが変わったりもしているんです。日本でよく使われる「緊急招集」などもショートカットに入れられるようになっていたりして、使い勝手がよくなるとか。そういったシステムの詳細なども検討してみて、日本の攻城戦に導入していけそうなものは導入していけたらなと考えています。

――それは気になるところですね。ところで海外の「ヘロスリア攻城戦」のマップを使用しない場合などは、別のイベントで使われたりするのでしょうか。

★山本氏:
 そのままの仕様ですと、日本の攻城戦には合わないというだけですね。今の攻城戦プレイヤーさんがストレスなく挑戦できるようにマッチング戦に追加する予定です。「ヘロスリア攻城戦」がどんなマップか、一例をお話しすると、まずはだだっ広い障害物のないフィールドがあるんですね。マップのまんなかにモニュメントみたいなものが設置されていて、その東西南北にバリケードがあります。それを4か所すべて壊したらモニュメント内のマップに入れる感じです。こういうマップだと、防衛ラインも組みようがないんですね。言ってしまえば“本物の攻城戦”なのかもしれません。四方八方から城攻めをするわけですから。

――どこから攻めてもいいぞみたいな感じですか。

★山本氏:
 海外でその攻城戦が成り立つのは、そういった空間でも、自分が目立つために、勝利よりも敵キャラめがけて突撃していくからなんですね。日本のプレイヤーさんだったら敵なんて気にせずにバリケードを効率よく破壊して味方戦力を城内にいち早く送り込むことを優先しますよね。

――日本ですと、「攻め有利で守りが不利じゃないか」と文句が出そうですね。

★山本氏:
 そもそも守るという考え方はまずないんですよ。最後にタッチダウンした人が勝ちという感じ。

――昔のレーサーの攻城戦(ギルドが防衛を行っていない砦のエンペリウムに単騎で突撃し、いち早く壊した人が勝ち)みたいな?

★山本氏:
 レーサー時代の攻城戦は通路などがあって、対抗を妨害することもできたじゃないですか。でも今お話ししているのって、だだっ広いフィールドの中央にぽつんとエンペリウムがあるみたいなイメージなんですよ。

――いっさい守りようがない、と。

★山本氏:
 守るのは難しいと思います。

★中村氏:
 海外の遊び方に合わせたマップなんですよね。日本で提供するなら遊び方も調整が必要になるかなと。たとえば競走していち早くエンペリウムを壊しましょうみたいな。

――ビーチフラッグ的な。

★中村氏:
 そうですそうです。

★山本氏:
 これも日本では導入していないのですが、海外では昔「ポリン対戦」というPvPのミニゲームも実装されていて、「ヘロスリア攻城戦」はそれに近いものなんです。当時、「ポリン対戦」も日本のプレイヤーさんの趣向に合わせるのが難しく、導入を見送っていた過去がありました。

★中村氏:
 「戦場システム」も結局入れませんでしたからね。

――昔のカンファレンスでその名称を聞いた覚えが(笑)。

★山本氏:
 「戦場システム」もやっぱり同様で、拠点を落とすのは同じなんですけど、途中に守れる場所があるわけでもなく……という(笑)。

――強い人が突っ走っていって叩き壊す?

★山本氏:
 そんな感じです。当時は導入するかどうか、検討チームを作って議論していたんですよ。その結果、「あ、これは日本には合わないな」と判断して。でもそのシステムを流用して生まれたのが「RJC」(RagnarokOnline Japan Championship)だったりするんですよ。

★中村氏:
 あと、「バトルコロッセオ」なんかもそうですね。実は過去の「戦場システム」を流用させてもらった部分もあるんですよ。

――そうだったんですね。

★山本氏:
 ムダになっているわけではないんですが、そういう過去もありましたという感じですね。話がだいぶそれましたが、そんなわけで、海外の「ヘロスリア攻城戦」については内部的なシステムを積極的に導入していきたいと考えています。もし間に合うようであれば、4月くらいにシステムを一部導入して、5月の大会から使っていきたいかなと。

――なるほど、最終的にどんなシステムが導入されるのか気になるところですね。

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■「バトルコロッセオ」は7月を目標にプレオープンを予定

★山本氏:
 もうひとつの対人戦「バトルコロッセオ」()のお話なんですが、こちらも2024年に再開すると言っておきながらできていませんでした。2025年はこちらももちろん再開していきたいと思っています。「バトルコロッセオ」の報酬としてしか手に入らないエンチャント素材などもありますからね。こんなに延期することになるとは思っていなかったので、できるだけ早く再開したいと思っています。

「バトルコロッセオ」
 5人vs5人の小規模PvP。あらかじめパーティーを組んでエントリーする以外にも、個人でエントリーしてランダムマッチングで戦う形式など、気軽に参加しやすいように設計されており、対人戦の中でも非常に人気が高いコンテンツ。スキルの効果なども通常ワールドとは大きく異なり、装備もレンタル形式なのでわざわざ通常ワールドで現物を用意する必要はない。1戦1戦が短時間で終わるほか、ランキングによる称号や獲得ポイントによる報酬など目標となる要素も多数。

――待ち望まれているプレイヤーさんも結構多いと思います。

★山本氏:
 そうなんですよね。コンテンツとしては週2回、火曜日と金曜日、20時~22時を予定しています。曜日はほぼほぼ確定で、開催時間などは調整するかもしれませんが、今のところはそんな開催頻度でいこうかなと考えています。テスト中は毎日開催していたのですが、それはナシかなと。

――去年そんなお話をうかがいましたね。

★山本氏:
 毎日開催してほしいというご意見もいただくのですが、『RO』のコンテンツは「バトルコロッセオ」だけではないので、いろいろなコンテンツのひとつとして遊んでほしいなという思いがあります。以前のテスト開催時に導入していたように、段位システムや称号、報酬などもしっかりと用意しようと思っています。で、問題となっていたのは昨年のインタビューでもお話ししたように、装備のコスト制限とその設定なんですよね。

――はい。そこに時間がかかるとおっしゃっていましたよね。

★山本氏:
 実装までのスピードを短縮するためにも、まずは全部コスト1で導入するだけ導入しておいて、調整はあとから行うしかないのではと思っています。そんな感じで7月あたりにプレオープンというかたちを取らせていただけないかと。前のテストから2年くらい経過してしまいましたが、コストの設定作業さえ考慮しなければ、その間に実装された装備を導入するだけで稼働できると思いますので。

――なるほど、まずは稼働を最優先で進めるわけですね。

■10月実装目標の「モンスターハウスYE」は高難度コンテンツ!?

★山本氏:
 対人戦はそんな感じで、9月くらいまでに導入を完了できるようなイメージで進めつつ、次は「モンスターハウスYE」()ですね。先ほどメモリアルダンジョンの負荷のお話をしましたが、サーバーの負荷全体を見渡したときに、いよいよ切り詰めるところがなくなってきていて、通常ワールドの「モンスターハウス」を一刻も早く撤去してYggdrasillワールドに移さねばならんという状態になってきているんです。

「モンスターハウスYE」
 100名(予定)の参加者がモンスターの激湧きするマップを進んでいくPvEコンテンツ。「ティアマト攻城戦YE」とは違い、戦闘不能になっても蘇生してもらえれば復活可能。「蜃気楼の塔YE」とも違い、スタート地点に戻っても再度マップを進めば前線に復帰可能なのだが、報酬が少し減るなどのペナルティがあるとのこと。他のYggdrasillワールドのコンテンツと同様に、Normal、Extra、Inferno、Ultimateの4つのモードを選んで参加することになる。なお、「モンスターハウスYE」実装後、通常ワールド側の「モンスターハウス」は撤去予定。

――内部的には通常ワールドの負荷を下げたいという思いも強い、と。

★山本氏:
 そうなんです。システム系だけでなく、ストーリーも含め、何らかのアップデートが入ると、当然ながらそのぶんリソースが増えます。少しでもサーバーの負荷を軽くするためには、通常ワールドにある、このバカでかい負荷のかかる「モンスターハウス」をどうにかしないといけない。対人戦関連を9月までに一段落させて、「モンスターハウスYE」を10月くらいに実装したいというのが目標です。

――10月ですか!

★山本氏:
 「モンスターハウスYE」に関しては、導入時期を考えるとけっこう高難度コンテンツになると思っています。ルール的には「ティアマト攻城戦YE」と「蜃気楼の塔YE」の間くらいなんですが、難度としてはそのふたつよりも高くなるかもしれません。高レベル帯のキャラで遊ぶ場所になると考えていますので。

――おお、そうなんですね。

★山本氏:
 特にInfernoとUltimateは完全に高レベル帯向け。Extraはより切り詰めた遊びになるかと。

――またExtra勢のチャレンジコンテンツが増えるわけですね。

★山本氏:
 そのとおりです。

★中村氏:
 制限された中でどうやってベストを出していくかというのは、一部としては昔からずっと続いているチャレンジ要素ですからね。『RO』のプレイヤーさんの中にはそこが楽しいんだと言っていただける方も多くいらっしゃいますので、期待にお応えすべく導入していきたいなと思っています。

★山本氏:
 Yggdrasillワールドの主なコンテンツアップデートとしては、年内はそのあたりが限界かなと。以前お話した「不夜城」()を気にされている方もいらっしゃると思うのですが、現状、システムのアップデート作業などを抱えたままですと、とても手がつけられない感じなんです。

「不夜城」
 Yggdrasillワールドに実装予定になっている、ギルド単位で挑む新コンテンツ。不死種族の支配するダンジョン「不夜城」に挑む。参加するためには「攻城戦YE」(マッチング戦、小規模戦)で勝利する、「小為替」(Zeny)で参加権利を競り落とす、NPCに話しかけて「運」で参加権を得るなどの方法があり、「力」「金」「運」というコンセプトワードに基づいて構築される予定。

――「不夜城」は大きめのコンテンツになる予定とうかがっています。

★山本氏:
 そうなんですよね。「匂わせばっかりしていて結局できないんじゃないか」と言われそうですが、そこは正直に言っておかないと。今年は確実にムリです。申し訳ありません。

――なるほど。残念ですがこればかりは仕方がないですよね。

★山本氏:
 そのぶん、と言ってはナンですが、システムの拡充であるとか、利便性向上アップデートであるとか、そういった面はよりいっそう強化していきたいと思っています。そんな感じでYggdrasillワールドの施策としては……それほど大きくはないのですが、以上のコンテンツを中心に実装していこうかなと。

――Yggdrasillワールドのコンテンツというのは、導入さえされてしまえば、やること的にはだいぶ増える印象がありますからね。個人的には、それほどいろいろ一気に入ってもという気持ちはあります。

★山本氏:
 そうですね。どれも常設コンテンツですので、実装されればずっと遊んでいけるものになっています。

★中村氏:
 育成したキャラでどんな遊びをしたいか。そういったところにコンテンツを実装していきたい、実装していかなければならない、と考えています。そんな感じで2025年も運営していこうと思っております。『RO』はサービス開始から23年目になりますが、人によっては20周年からだんだん盛り下がっていってしまうのではと危惧されていたかもしれません。しかし、むしろ逆に上がってきている感じなので、ここからもこの勢いを落とすことなくアップデートを続け、毎日楽しんでいただけるように新たなコンテンツなども実装していくつもりです。そのうえで、不便なところは随時手を入れていくなど、運営チームも毎日コツコツとやっていきたいと思っています。ぜひプレイヤーさんにもご期待いただければと思います。

★山本氏:
 2025年においては、昨年同様システム面のアップデートなどで利便性を上げつつ、一方ではYggdrasillワールドをしっかりアップデートしていきたいと考えています。プレイヤーのみなさんにお楽しみいただけるコンテンツを導入していきたいですね。ここ最近あまりにもYggdrasillワールドのコンテンツアップデートがなかったので、今年こそは本当にどうにかして新しいコンテンツを入れなければ! ぜひともよろしくお願いします。

――将来的には「不夜城」も控えていますからね!

★山本氏:
 そうなんですよね。気持ちだけは毎年「年内に実装するぞ」という意気込みなんですが……。

★中村氏:
 いろいろなものに阻まれてしまうんですよね……。

★山本氏:
 そうなんです……。目の前に降ってくるものを片付けていると年が終わってしまい「今年もダメなのか」と……。プレイヤーさんとしても「今年も入らなかったのか」とがっかりされると思うんですけど、我々も「作れなかった……」とガックリうなだれています。

――気持ちとしては同じ感じ(笑)。

★山本氏:
 そうかもしれません。ということですので、まずは今年こそは言ったことを実現できるように頑張っていきたいと思います。

――期待しています。本日はありがとうございました。